| 「行こう、今から。 中川に会わせてやる。 但し連れて行けるのは、お前達のどちらか1人だけだ。」
どっちにする?今すぐ決めろ。と言って立ち上がった高耶の腕を、直江は思わず掴んで声を荒げた。
「何を言ってるんです!あなたは自分の立場がわかっているんですか!」
恐らく高耶は、中川が何か犯罪を起こすつもりでいると考え、ここにいる二人から情報を得たうえで、或いは二人と接触させた後の中川の行動から情報を得ようとしていたはずだ。 それはあくまでも中川に知られずに行うべきことであり、密かに見張るからこそ、泳がせる意味がある。 これほど当たり前の事が、わからないはずがない。 間違っても刑事が一緒に会いに行くなんて、そんなバカな事はありえないのだ。
「何をバカな。おんし、何を考えちょる!」
驚いたのは、直江だけでは無かった。 嘉田と兵頭が顔をしかめ高耶を睨みつけている。
「1人だけとは、どういう事じゃ。わしらを舐めとんか!」 「会わせてやるち、偉そうに!おんし、中川の何なんじゃ!」
三人の男達の非難を、高耶は平然と受け止めてアッサリ言い放った。
「バイク1台しか無いんだ。しょうがねえだろ。」 |
No.1851 - 2020/01/19(Sun) 22:23:05
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