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花の鏡 其ノ二

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日本の伝統演劇における語り / こっこ
京都造形芸術大学さんの方から案内をいただきました。
研究会のようですが、一般の方も予約不要・入場無料で参加できるようです。
狂言の方は明日ですが。。。
実演もあるようですのでご都合がつく方は是非!

舞台芸術の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点
テーマ研究?T「近代日本語における〈声〉と〈語り)

第一回 日本の伝統演劇における〈語り〉1:狂言の場合
2013年9月6日 18時開場 18時半開演
京都芸術劇場 春秋座

ゲスト講師 野村万作 モデレーター 渡邊守章
演目 釣狐 語り 野村万作
   奈須与市語 深田博治
トーク 野村万作 渡邊守章
●入場無料 申し込み不要

また10月4日に能についてのお話があります。

第3回 日本の伝統演劇における〈語り〉2:能の場合
2013年10月4日 18時開場 18時半開演
京都芸術劇場 春秋座

ゲスト講師 観世銕之丞 片山九郎右衛門
      竹本幹夫(早稲田大学文学学術院教授・能楽研究)
朗読 後藤加代(俳優)
モデレーター 渡邊守章
●入場無料・予約不要

■お問い合わせ 京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター 075−791−9437

No.161 - 2013/09/05(Thu) 21:18:33
2013年9月2日  世阿弥シンポジウム(報告)第1回 世阿弥の舞 / 兎谷
1部を中心に当日のメモ書きを公開します。
聞き漏らし、間違い等あると思いますので、だいたいそんな話だったのか・・という程度にご覧下さい。


★第1部15:30〜17:33

松岡心平が司会進行。
・現在は旋回する天女舞のような呂中干形式のものを舞と呼び、道成寺の乱拍子を異端としているが、そちらの方が原型に近いのではないか?
・前回の宗家の『檜垣・乱拍子』は乱拍子の後に舞があったが、今回(10月公演)は乱拍子のみとなる、その背景、また『檜垣』という曲について。
などを沖本幸子、横山太郎、小林康夫に語ってもらう予定と説明。
順に発表。

沖本幸子:白拍子と乱拍子の系譜
○白拍子と乱拍子
「白拍子」というと芸能者を差すが、元々はリズムの名称。
「今様」「朗詠」などのメロディの時代から、リズムの時代へと当時の流行が変わって行った。白拍子と乱拍子は別の芸能で、それぞれ流行ったがその大きな要因は「鼓」が使われるようになったこと。寺院での延年の時の乱拍子をする稚児の絵にも鼓を持つ人が描かれている。(「天狗草紙」興福寺巻 延年の乱拍子)
乱拍子=乱れ舞。即興的で和歌に合わせて足拍子を踏みつつ勇壮に舞う。能でいえば『安宅』に延年があるが、このイメージに近い。
『翁』の千歳、三番叟の「もみの段」でも足拍子が重要、これらも乱拍子の系譜ではないのか?

○白拍子舞と乱拍子の結びつき
白拍子舞は「白拍子」という歌謡に合わせた舞(リズムに合う、漢詩調)と「セメ」という即興で和歌を歌い、鼓に合わせて足拍子を踏みつつ廻る部分で構成されている。
・静御前の白拍子舞(「義経記」巻六、頼朝の前で)
「…しんむじやうの曲、半らばかり数へたりける所に、祐経心なしとや思ひけん、水干の袖を外して、セメをぞ打ちたりける。…」を紹介。
「水干の袖」という事から、ここで打ち方が変わり、激しくなることが分かる。
この「セメ」の部分の鼓が乱拍子に繋がる。
「今様之書」鼓ウツヘキ様 の中の延年の稚児舞の説明に「セメ」と「乱拍子」は同様に打つとある。
これらのことから、白拍子のセメの部分が乱拍子だと言える。
ただし、今の能の乱拍子のようにつま先を上げる様なものではなく、もっと激しかったと思われる。乱拍子=乱れた拍子と書くが、闌拍子とも書くように、能の乱拍子は洗練されていったのかもしれない。


横山太郎
現在の『檜垣』は三老女の1つとして、「序ノ舞」が舞われ、抽象的な世界。
道成寺の乱拍子は鐘を落とす呪いのようなエネルギーの蓄積、それを『檜垣』の中にどうやって入れるのか。
○2006年にも上演し、調べた事など、
・16世紀には『道成寺』『住吉詣』などの「乱拍子」が完成しているが現在は『道成寺』にしか残っていない。幸流系統の伝書にはある。
・室町の頃、『檜垣』に乱拍子は有った、これは宮増弥左衛門が観世宗節から相伝を受けたと記録がある。(『道成寺』『檜垣』だけでなく『住吉詣』『草紙洗』もかも)
・宗節が檜垣の乱拍子を廃した理由は徳川家康が老女なので乱拍子より舞の方が良いだろうと言った事きっかけ。これまでは乱拍子か舞かの二択だったのだろう。この話は観世文庫の資料の中にある。
・そもそも、能の乱拍子は白拍子が舞うもの。『草紙洗小町』は小町だが、ラストの場面で烏帽子をつける。これは白拍子的と言える。また『住吉詣』は稚児の乱拍子を参照している。
・1600年頃、『鐘巻』から『道成寺』へと変わり、もう少しマイルドなダンス的な型から、鐘入などの工夫とともに変化した。
○世阿弥時代の『檜垣』
・その頃はまだ「序ノ舞」は存在しない。大和猿楽、物まねの舞だった。(近江猿楽が入り、だんだんそちらに変わるが)白拍子を表現するために、白拍子のまねと、その舞を取り入れた。つまり乱拍子の方が白拍子を表現出来る。
・檜垣の女は老いているが、所望されて舞を舞う。その痛々しさ、芸に体する思いが序ノ舞よりも乱拍子の方がふさわしい。
・古くは、老女ものは面や装束も古いものを使っていた、それが様式化して、綺麗なものを使う様になっていった。舞の方が良いと言った家康の意見もその流れだろう。


小林康夫
○海外公演でも檜垣をしたが、その理由
18歳の頃、坂口安吾の「青春論」を読んでいたら、『檜垣』の話が出てきて衝撃を受けた。それ以来自分にとって檜垣は特別な曲。
○『檜垣』という曲について
檜垣ではたった一つの和歌「としふれば…」で出来ている。さらに言えば「みずはくむ」ここに女の秘密が凝縮しているように思う。
「みずはぐむ」=「水を汲む」、実際に水を汲む型があるが、水は諸行無常を現し、女はそれを理解出来ないでいる。女のパッションがそれを邪魔している。
檜垣の女は所望されて舞うが、その時女にパッションが有ったのかどうか、その解釈によって、静に悟るように舞うのか、それとも激しい思いを表すのか。
私は老残の身でありながら、昔の様にまだ舞えるのではないかと舞う(老いを受け入れない、無常の理を理解出来ない)=罪なのではないかと思う。
檜垣=火ガキとも書けるし、「みづはぐむ」「みづ」を入れ替えると「つみ」だし、火と水の曲というイメージがある。


松岡心平
小林さんに言われてしまったが、檜垣は火と水の曲と言える。
『道成寺』も火と水が謡によく出てくる。檜垣の女というと采女的な水汲みの女だと思う。
檜垣の時代には「つるべ」は無かったかもしれないが、ともかくもつるべの縄が燃える=火の女。ワキが女の家をたずねていく時も家には火が灯っている。これも火のイメージ。

「白拍子」の「セメ」=囃子によって身体が責められ極限の状態
どの段階で「白拍子」に「セメ」が入ったのか、「白拍子」は「セメ」と言うが「乱拍子」とは言わない。僧の延年でも白拍子があるが、その稚児舞も同じとして良いのかなど問題もある。

多武峰の「摩多羅神面」で『翁』を宗家がした時、鼓が1人だったから『道成寺』との関係が良くわかった。
「却来華」に延年の白拍子の謡の話の最後の部分に翁が出てくる。(「能を読む」4巻 P495)この時代に翁舞の中にすでに乱拍子的なものが有って、「白拍子的」なものと世阿弥の中では同じ流れと捉えているのではないか?
「序ノ舞」は「序」は小鼓によって囃される。これが乱拍子の名残ではないか?
『江口』の「平調返」「干(甲)之掛」には足拍子(足使い)がある。乱拍子と天女舞をくっつけたものが「序ノ舞」である。

休憩10分をはさんで宗家を交え座談会。
*『檜垣』は火と水のほかに「白川」「白拍子」「白髪」など「白」も頻出する。舞の直前には「紅」。サシは「青」のイメージ。など。
*下間少進の枕元に檜垣の女の亡霊が立って、乱拍子を教えた、そのお礼参りをした、という克明な話が伝わっているが、紙に書かれたものは存在しない。
(このあと歴史的な話が続いたが、メモがあやしいので割愛)

休憩1時間をはさんで第2部。
18:30〜21時頃

翁、道成寺、置鼓が同じ手である、序ノ舞の「序」も良く似ている、この比較実演。(観世清和・藤田六郎兵衛・大倉源次郎・亀井広忠)
・「翁」:天の拍子の部分
・「道成寺」:ワカから舞の角に出るとこまで。(乱拍子は省略版)
・「置鼓」(省略版)
・小鼓の手「一ツ頭」の説明
・「檜垣」の乱拍子(省略版)
・「延年」
・「序ノ舞」の序の部分
・甲之掛(干之掛とも書くが、宗家は「甲」の字が好きだと言っていたので)

最後に全員で座談会

No.160 - 2013/09/04(Wed) 11:29:21
イベント情報です。 / アートコンプレックス・センター 白鳥
J-LOUNGE ACT能

アートコンプレックス・センターでもワークショップを開催してくれている佐々木 多門先生による能舞台。
能楽堂以外でお能を見れることは滅多にありません。
日本の伝統芸能を現代アートの画廊で味わう異色の公演。是非その空間ごと楽しんでいってください。

演目は「敦盛」
現在大河ドラマで話題となっている平清盛の甥にあたる平敦盛の話。
平家物語の敦盛最期がもとになっており、優美な中之舞が見所です。

曲目に入る前に解説もしてくれるので、お能初心者の方にも楽しめるプログラムになっています。

++++++++++++

2012年12月11日(火)
OPEN 18:30|START 19:00-20:30
前売り 4500円/当日 5000円 (共に1drink付き)

喜多流能楽師 佐々木多門
曲目:敦盛

++++++++++++

◆チケット受付、お問い合わせはこちら↓
The Artcomplex Center of Tokyo
アートコンプレックス・センター
〒160-0015 東京都新宿区大京町12−9
TEL|03-3341-3253
MAILbinfo@gallerycomplex.com


イベントURL
http://www.gallerycomplex.com/jlounge/n.html

ご高覧、ご掲載のほど何卒よろしくお願いいたします。

No.159 - 2012/11/25(Sun) 13:38:40
ザ・学校狂言 東京公演 / こっこ
こんばんは。お久しぶりです。
さて茂山千五郎家主催のザ・学校狂言。(東京公演は11月4日)
申し込み締め切りが9月末だったのですが、10月25日まで延長になりました。
無料で会員でない方も申し込みできますのでよければご応募ください。
詳しくは茂山狂言会のホームページ公演情報を。
http://www.soja.gr.jp/schedule/item.php?id=3216

No.158 - 2012/10/03(Wed) 21:29:13
イベント情報 / 小林わかば
8月18日(土)18:30〜
仙台市天文台プラネタリウムにて「星と能楽の融和」というイベントを行います。
http://starandnoh.web.fc2.com/

満天の星空の元、謡と笛をお楽しみ下さい。
出演は山中ガ晶先生・小野寺竜一先生です。

入場券は一般1000円学生500円です。
当日発売になります。仙台市天文台→http://www.sendai-astro.jp/index.html

東日本大震災復興チャリティーのイベントです。ご来場をお待ちしております。

No.157 - 2012/07/24(Tue) 11:31:53
イベント情報 / 兎谷こと小林わかば
東日本大震災復興チャリティーのイベントを開催します!

☆『星と能楽の融和」

日時:1月29日(日)
11:30〜、13:20〜、15:10〜(開場は30分前。1回50分。3回とも同じ内容です)
会場:タイムドーム明石(東京都中央区立郷土天文館)

内容:プラネタリウムで和名の星の解説と、星を見ながら、謡を聞けます。

出演:解説員・渡辺美和 謡・近藤乾之助

入場無料(募金箱設置)。
申込不要。各回先着80名。

ギャラリーで、能絵と星図の展示もあります。
http://starandnoh.web.fc2.com/

どうぞ、お誘いあわせの上、おこし下さい。



☆能楽公演・ワークショップinパレットおおさき『星と能楽の夕べ』

日時:2月12日(日)17時〜18時半。
会場:大崎生涯学習センター(ぱれっとおおさき)プラネタリウム館(宮城県大崎市)http://www.palette.furukawa.miyagi.jp/space/Default.htm

内容:狂言・能(略式)の上演と星空解説

出演:シテ・八田達弥 笛・寺井宏明 狂言・大蔵千太郎 ほか

入場無料(募金箱設置)。
要予約(整理券を発行します。日程はまだ未定です)

問合:『星と能楽の融和』実行委員会・小林わかば
noh@kurousa.jp

No.154 - 2012/01/17(Tue) 01:45:42

1月29日。イベント無事終了しました。 / 兎谷
ご来場の皆様、ご協力の皆様、ありがとう御座いました。

ご来場者数は93名。募金は86343円集まり、「集まれ星たち」キャンペーン実行委員会に送金しました。
http://atsuboshi.nao.jpn.com/event.html

その後の募金先は、「集まれ星たち」キャンペーン実行委員会で決定し、HPで報告されます。
http://atsuboshi.nao.jpn.com/report.html

No.155 - 2012/02/07(Tue) 03:33:03

2月12日。イベント大盛況でした。 / 兎谷
ご来場の皆様、ご協力の皆様、ありがとう御座いました。

パレット大崎、能楽の心と癒しプロジェクト、との共同開催イベントでした。

詳しくは「能楽の心と癒しプロジェクト」ぬえさまのHPに掲載されると思います。
前日の気仙沼、石巻訪問記事もぜひ御覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/nuenokai

No.156 - 2012/02/29(Wed) 03:28:25
11年7月6日  定例公演(国立能楽堂)  (感想) / 兎谷
『雨月』野村四郎・野村昌司・福王茂十郎・茂山逸平・一噌庸二・幸清次郎・安福建雄・井上敬介

前シテは、四郎さんにしてはしっとりと、我が強くない感じで美しい。
実は四郎さんの『雨月』はあまりイメージ出来ないでいたし、『雨月』は個人的にとても好きな曲なので、ハードルは高いはずだが、とても綺麗だった。
しかし、後はちょっと大人し過ぎるというか、老けたなぁ…という印象は免れられない。
『序ノ舞』を『立廻り』に省略していたが、それさえもちょっと元気がなくて、無理して『序ノ舞』にしなかった判断は正解。
地謡もしっとりと綺麗で、最近がっちり流行りの謡の中で、やさしさの有る地謡が聴けたのでホッとした。


他に狂言『樋の酒』茂山正邦・茂山七五三・茂山宗彦。

No.153 - 2011/11/23(Wed) 03:08:47
11年7月3日  轍の会(国立能楽堂)  (感想) / 兎谷
『通盛』本田光洋・本田芳樹・宝生欣哉・深田博治・藤田次郎・大倉源次郎・亀井広忠・観世元伯

前半はゆったりと丁寧。
後シテはとても雅な男、という雰囲気で、戦をする気がまったく無さそう。。それはそれで良いし、空しげで、でもどこかに苛立ちの様な複雑さのある『カケリ』も良かったが、最後は地謡と型が揃い過ぎ。
後半はもったりとした地謡だった事も有って、余計に通盛の思いが感じにくく、残念。


袴能『采女』櫻間金記・工藤和哉・石田幸雄・一噌隆之・曽和正博・安福建雄

シテの『呼掛ケ』は弱々しく、消えてしまいそうで、病み上がりで声が出ないからだが、哀れな采女のイメージには合って、違和感がない。
さすがに、息が続かない部分も有ったが、気品のある姿はそれらをカバーして十分に楽しめた。
小書はナシだが、観世の『美奈保之伝』方式で、『呼掛ケ』で登場。省略ありでちょっと残念だったが、仕方ないし、良い内容だったので満足。


他に狂言『横座』野村万作・石田幸雄・中村修一。

No.152 - 2011/11/23(Wed) 03:06:48
11年7月1日  古希記念亀井忠雄の会(観世能楽堂)  (感想) / 兎谷
『三番叟』野村萬斎・一噌幸弘・亀井俊一・林吉兵衛・飯田清一・亀井広忠

舞台を控えているからだろうが、ひげがある萬斎さんの姿はちょっと不思議な感じ。
しかしそんな時だからこそか、おめでたい会だからか、いつもにも増して丁寧な三番叟で、万作さんと重なって見えた瞬間も有って、とても良かった。


『関寺小町』観世清和・観世三郎太・宝生閑・森常好・宝生欣哉・殿田謙吉・藤田六郎兵衛・大倉源次郎・亀井忠雄

シテの謡い出しが無理に抑えているのか、無骨に聞こえ、小野小町のイメージとはちょっと違う。
しかし、その姿は上品で、進んでいくと、謡いも自然になって美しい。
地謡『クセ』「こいしの昔や」で顔を上げると、感情の波が押し寄せる様に、一瞬で強い思いが伝わり、今年のベスト1の能かも!と、この瞬間は思った。
ところが、子方の酌を受けた後、扇を閉じて下げるのが素早く、乱暴に感じて、私の評価は一気にダウン…すごく些細な事なのだが。
舞の二段目でシテ柱に手を付いて座り、もたれかかる様に休息する姿がとても可愛く、再びどんどん良い雰囲気で素晴らしい出来だったと思うが、上品で老女らしい雰囲気であれば有るほど、細かい部分での若さが目に付いた。それでも若い演者の老女物としては、かなり良かったと思う。


半能『石橋』片山九郎右衛門・観世喜正・観世淳夫・関根祥丸・森常太郎・杉信太朗・観世新九郎・亀井忠雄・観世元伯

白獅子(片山九郎右衛門・観世喜正)はゆったりと雰囲気に威厳は有るが、力強さがもうちょっと欲しい。
綺麗では有るが、足をかけたり大きな型が大変そうに見えてしまうのも残念。
赤獅子二人は若者らしく爽やか。


他に、連調『高砂』亀井実・三王清・内田輝幸・飯島六之佐・原岡一之・亀井洋佑・亀井保雄・和久荘太郎・亀井雄二。
一調『 笠之段』浅見真州・山本哲也(山本孝から変更)、『花筐』大槻文蔵・幸清次郎。

No.151 - 2011/11/23(Wed) 03:04:48
11年6月28日  2011アジア能楽公演ツアー(国立能楽堂) / 兎谷
新作英語能『パゴタ』大島衣恵・ジュビリス・モーア・エリザベス・ダウト・ユイス・バルス・大島輝久・槻宅聡・滝沢成美・高橋奈王子・大倉栄太郎・桜井均

あらすじ:父親の形見のお守りを持って旅をする青年(ワキ)が、父の故郷、中国東南部を訪れる。
とある仏塔の前で、母親(シテ)と娘(ツレ)が現れ、娘は仏塔を案内して昔を語り姿を消す。(中入)
そこに漁師(アイ)が現れ、仏塔にまつわる母子の事を話す。母親は美鈴という名前で、飢饉のために旅立った息子を待って、この仏塔に登り、舟を待ち続けていたが、それも昔の事となった。
その美鈴の息子こそ、青年の父親だった事が判明する。
夜が更けると、美鈴と娘の幽霊が再び現れ、青年は形見のお守りを見せる。
美鈴は息子の死をなげくが、当時多くの子供たちが、飢饉で命を落とした事を思い、わが子が長く生きられた事、このお守りの力でこうして出会うことが出来た事を喜び、姿を消す。


英語能と言う事で、どんな感じか興味深々だったが、ごくごく普通に『次第』が囃され、ワキが常座で『次第』を謡う…フシも普通の『次第』の通りで、聞き取れない日本語の能を聞いている気分。
ワキのセリフが多く、説明的だし、地謡もワキの代わりに謡ったりするので、ワキが主役っぽく、どちらかと言えば、前ツレがナレーター的な感じ。
『クセ』の地謡が五線譜に書き起した謡を謡っているのではないかという感覚がしたが(やたらしっかりとしていたので)、それ以外はまったく普通の能を見ている感じがして、油断すると英語である事を忘れてしまいそうなくらいだった。(アイだけは普通に英語で話すのでそこだけ英語劇の感覚。)
外国人の出演者も型としては綺麗に決まっていたが、シテは英語でも悲しみや思いが伝わり、だんぜん上手かった。
客席は外国人はもちろんだか、“能”初心者の日本人も多いようで、どこで宣伝していたのか不思議だったが、普段から見に来ている能楽愛好家が見ても、違和感なく見られるので、もっと見に来ていても良いのにと、思う反面、あまりに違和感がないのが拍子抜けでもあった。


他に、半能『高砂』大島政光・長島茂・舘田善博・江崎敬三・則久英志・和田英基・槻宅聡・大倉源次郎・高橋奈王子・大倉栄太郎・桜井均

No.141 - 2011/10/24(Mon) 03:19:58
11年6月25日  観世会素謡会(観世能楽堂) / 兎谷
素謡『景清』木月孚行・北浪貴裕・高梨良一・阿部信之

謡いだしのガラガラした声は好きではなかったが、それは一瞬の事で、どっしりと空しげな雰囲気が良い。
しかし「今はこの世に」のあたりは、趣が有るものの、少々弱すぎる気がしたし、続く地謡は変化をつけていたが、やややり過ぎな気がした。
シテ「ただ今は」と品があり、以降抑えて美しく、「景清心に」としみじみと気配に思いが伝わり、地謡も最後はしっとりと綺麗だった。


素謡『野宮』高橋弘・岡久広

上品さと高貴な雰囲気は出ていたが、どこかに男っぽさを感じ、思いが伝わりにくく、聞いていて世界に入り込めない感じ。メリハリのある地謡も綺麗だが、引き込まれるほどではなかった。


素謡『通小町』中島志津夫・下平克宏・武田尚浩

ツレ・下平さんの伸びやかな謡いだしが良く、ワキの武田さんも良い声で、威厳がある。
シテも始めは恨めしげで、迫力が有り、後半は切なく美しかった。


素謡『恋重荷』観世清和・野村昌司・武田宗和

とてもどっしりとしたシテの謡は老人らしくは感じがしないが、激しい思いに圧倒される。
メリハリが有って、地謡とのバランスも良く、かなりしっかりとした印象だが楽しめた。



他に仕舞『高砂』小檜山浩二、『玉鬘』坂井音雅、『舎利』坂口貴信、『弓八幡』河西暁子、『草子洗小町』岩屋稚沙子、『鐘之段』山階弥次、『山姥キリ』津村聡子、『西王母』岡本房雄、『経正クセ』小川博久、『松風』小川明宏、『松虫クセ』鵜澤郁雄、『車僧』田邊哲久、『通盛』津田和忠、『江口キリ』谷村一太郎、『隅田川』坂井音重、『船弁慶キリ』関根知孝。

No.140 - 2011/10/24(Mon) 03:16:16
11年6月19日  正門別会(観世能楽堂)  (感想) / 兎谷
『鸚鵡小町・杖三段之舞』観世恭秀・森常好・一噌庸二・大倉源次郎・亀井忠雄

『問答』はそれなりの貫禄と思ったが、全体にまったり。
『クセ』のあたりは若く見えたり老けて見えたり安定しない感じで、どっちでも良いから安定したキャラを望む私には納得がゆかず。
舞の休息は眠っているみたいで綺麗だったが、老体といえ、地味過ぎる印象で残念。


『烏帽子折』観世清和・観世三郎太・観世芳伸・福王茂十郎・三宅右近・三宅近成・高澤祐介・三宅右矩・前田晃一・角幸二郎・清水義也・野村昌司・坂井音雅・武田祥照・林宗一郎・武田宗典・関根祥丸・武田文志・木月宣行・津田和岳・坂井音隆・坂口貴信・武田友志・坂井音晴・一噌隆之・観世新九郎・亀井広忠・金春國和

三郎太くんはかなりしっかりで、凛々しく、シテとのやり取りも文句なし。
後半もテンポ良く、あれだけ大人数が出て、マズい人がいないのは観世ならでは、という気がしたし、謡などの観世らしくさにも好感が持てた。
終演後の拍手が子方の卒業を祝う祝福の拍手に聞こえ、会場が一体となってとても良い会だった。


他に仕舞『道明寺』武田宗和、『松風』高橋弘、『隅田川』木月孚行、『藤戸』谷村一太郎、『歌占キリ』山階彌右衛門、『実盛キリ』野村四郎、『定家』関根祥六、『鵜之段』寺井栄、『弱法師』坂井音重、『網之段』岡久広、『鐘之段』角寛次朗、『山姥キリ』武田志房。
狂言『蟹山伏』三宅右矩・三宅近成・金田弘明。

No.139 - 2011/10/24(Mon) 03:13:38
11年6月18日  梅若研能会(観世能楽堂)  (感想) / 兎谷
『放下僧』古室知也・青木健一・野口能弘・三宅近成・成田寛人・幸信吾・大倉栄太郎

前シテはどっかりと年長者の雰囲気が良いが、「行く」という割りに行く気がなさそうに見える。
後は2人とも凛々しく登場したが、だんだんちょっと余裕が有りすぎて気迫みたいなものが弱い雰囲気に…。
“鞨鼓”の部分も型と言う感じがしたし、地謡はしだいにしっかりと迫力が増すものの、シテは泰然とし過ぎて、ちょっと迫力にかける。


『通小町』梅若万佐晴・梅若泰志・野口敦弘・一噌庸二・古賀裕己・亀井実

正直、ずーっと暗くて微妙だ…と思ったが、最後の「月の盃なりとても、戒めならば〜」のところで小町を見つめる視線というか、姿がすんごい未練たらたら(笑)で、飲まないのはあなたの為って、思いっきり主張してて、絶対成仏出来ないなぁ、という感じだったが、すごく小町を思う感じが有って、とても美しく輝いて見えた。
やっぱりキリではツレのみが爽やかで成仏出来た感じがしたが、シテは暗い様子に戻ってしまい、残念ながら成仏してなさそうでしたが…。


『天鼓・弄鼓之舞』梅若万三郎・工藤和哉・三宅右矩・一噌隆之・幸清次郎・國川純・助川治

小書のため、『一セイ』から『上歌』なし。
「誰にて渡り候ぞ」とゆっくりの登場はとても暗く、「仰せ畏まって」とワキの方を向く様子が老人らしく、寂しげ。
『サシ』以降、しっかり目でも、寂しくつらい思いが根底に有って、耐え忍ぶ様な雰囲気も良い。
「打てば不思議や」と1つ打って驚く様子も自然。

シテが『中入』すると正先の“羯鼓台”を少し下げた。
後シテ『一セイ』は嬉しげだが抑え目で、しっかりとした大人の雰囲気。
「嬉しやさては」と、積極的な感じで、舞の途中から楽しげに変化して、“羯鼓台”の前を通るなど、興にのった感じで、一気に昇華されていく気がして、面白かった。


他に狂言『昆布売』三宅近成・前田晃一。

No.135 - 2011/09/28(Wed) 03:52:23
11年6月4日  二人の会(喜多能楽堂)  (感想) / 兎谷
『松風・見留』塩津哲生・香川靖嗣・宝生閑・山本泰太郎・一噌仙幸・大倉源次郎・柿原祟志

ワキの『次第』が、やや重めだと思ったら、シテも塩津さんとは思えないしっとりとした上品さで、遠くを見つめる姿や、汐を汲む様子もゆったりと美しい。
床几にかけ、ワキの話で『シオル』のも自然で、ツレと一緒だったり、シテだけが『シオ』ったりと二人の違いの現れのようで面白い。
シテ「かけてぞ頼む」で立ち、「せめくれば」と右に回って崩れるように座り、地謡「悲しき」と両手で衣を高めに上げるのが、頬を寄せる様で印象的。
シテ「あら嬉しや」と心底嬉しそうで、すっと立ち上がると、ツレは冷静に止めるが、シテはもうツレの事なんてどうでも良い感じで、地謡「たち別れ」でも、同時に動いてすれ違うのではなく、シテが先に『橋掛リ』に向かって、少し遅めにツレが動くので、もうそこでツレの存在感はなく、ただシテ一人の世界という感じで、ちょっと地味な印象。
さらりでも思いがこもった舞を舞うが、松の前を通る時に引っかかってしまい、丸台を少し引きずったのは惜しかった。


他に狂言『二人袴』山本東次郎・山本則俊・遠藤博義・山本凛太郎

No.130 - 2011/09/17(Sat) 04:27:08

Re: 11年6月4日  二人の会(喜多能楽堂)  (感想) / 神宮の者
十二月の二人の会に行けないのが、残念です。
No.134 - 2011/09/18(Sun) 17:59:58
11年6月17日  定例公演(国立能楽堂)  (感想)   / 兎谷
『通盛』梅若玄祥・梅若紀彰・宝生欣哉・御厨誠吾・高澤祐介・松田弘之・曽和正博・白坂保行・金春國和

地謡が銕仙会メンバーだったので、がっちりの地謡だろうと思ってしたら、梅若風の綺麗な地謡…こんな風に謡えるなら普段からそうして欲しいと思うが、そうしないという事は、銕仙会は主義としてがっちり揃いまくりの謡なのだと改めて実感…あの謡い方があまり好きではないので、ちょっと残念。

さて、玄祥さんは前場はしっとりと静か。
地謡「御衣の袖に」とシテが右手を出すと、ツレはさっと舟を下りて座り、飛び込んだ感じが有る。
シテはそれを止めようとするが、空振りする様に右を向くのが、空しげで、「底の水屑と」と舟を下りてゆっくりと沈む様に座り静かに中入するのもとても綺麗。
地謡『サシ』はしっかりで、『クセ』はどっしりと抑えて、シテは観念したような、疲れた様な、いかにもどっかりとした気配が良い。
「後ろ髪ぞ」と本当に髪を引っ張られる様にのけ反って下がるのは、やり過ぎな気もしたが、『カケリ』で時が昔に返る様に、合戦の緊張感が感じられ、その後、謡いに合わせた型はさらりでもしっかりで良い感じ。
キリの地謡は抑え目でもはっきりとして、「菩薩も」と導かれる様に『正先』に出たりと、見えない力が作用している雰囲気も出ていて、さすが。

他に狂言『音曲聟』三宅近成・三宅右近・三宅右矩・前田晃一。

No.133 - 2011/09/17(Sat) 04:37:29
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