わたしは個人的にツアー中(笑)、前日まで広島、博多と転戦、 5時には起き、傷だらけで 博多から、飛べばいいものをひたすら地面を伝って新潟まで。 途中、自宅に立寄って九州土産と洗濯物を降ろすやまた電車に乗って、 でも地元で1本電車を逃したため、東京駅での新幹線乗り換え時間はわずか3分! 必死で走って3分を制しましたとも。 昼下がりの新潟行き新幹線は1時間1本で、逃すとかなりつらい。
百鬼夜行2days、実はわたし、全部聴くのは今回がはじめて。すごく楽しかった。 だいたいが、新潟は、県内だけで相当粒のそろったバンドが集まる上、客席も込みで雰囲気がいい。 今このレベルで地元only企画、しかも2daysができる土地は、広島と札幌ぐらいではないかしら。
アメリカツアーからの帰国後はじめてBLOWBACKのメンバーを見た瞬間、 皆、なんだかひとまわりたくましくなったように感じた。 もちろん、2ヶ月やそこらで見てくれが急に変わるわけではないのだけれど、 なにか、持ってる空気がさらに引き締まって、自然体の自信を感じさせる。 もともとBLOWBACKは、それぞれにほれぼれするようないい男揃いだけれど、 さらに面構えがよくなった。 あ、今の彼らの音が聴いてみたい、と、その顔見ただけで思った。 特にB.のスギちゃんとDs.健太郎さん。 健太郎さん、ひげなんか生やしてますます男っぽく、素敵になった。なんかまた筋肉がついたのでは? そういえば健太郎さんは12日新潟でBLOWBACK、 アンチノックで、もひとつやってるバンド羅生門、というとんでもないダブルブッキング、で、 新潟で早めのスタート、トップでBLOWBACKやったあと、新幹線でアンチにはしったそう。 ふつうありえないカケモチ・・・すごいなあ。
ひとつめが、元Bristol Chaosのゆずるくん(G.&Vo.)と、元Rustic Top DogsのDs.さんと、Scrum HalfのB.たつや氏の新バンド(トリオ)、The EQUALIZE。 この前わたしが新潟に来たときには、出るかもしれない、出られないかもしれない、という状態でまだメンバーが固まっていなかった。 もしかして出るとしたらトップかな、と思った勘が当たった。 ゆずるくんがずっと動きたくてなかなか動けずにいるの、時々きいてたし、 メンバーを探してるのも見てたから、 またステージに戻ったの見て、心から嬉しかった。 あー、新幹線に間に合ってよかった。 というか、このバンドが見れるよう間に合うめぐりあわせだったのだろうと思う。 音が出る前、ゆずるくんがステージから客席をひとりひとり指す。 その目を見て、ああ、ほんとにこのひと、またステージに戻れてよかったなあと思った。 わたし、この子、昔からなんか応援したくなるんだよね。 たぶん気質のどこかに一脈通じるものがあって、 実はいまだにひどい人見知りのわたしには珍しく、この子には人見知りが発動しない。 1回目のライヴとは思えないぐらい、曲もそろっていてちゃんと仕上がっていた。 前に彼がやっていたのより、ややR&R色が強くなった、テンポのいいPUNK。 これまでそれぞれに活動してきたメンツなだけに、ライヴ運びもきびきびきっぱり気持ちがいい。 最後「Thank you, Chelsea!」とゆずるくんが叫んでライヴが終わった。
あとで、ゆずるくんが言ってた。 「ライヴの終わりに、俺、「Thank you, Chelsea!」って言ったんだ。わかる奴にわかればいい。 どうしても、ステージから、言いたかったんだ」 ・・・新潟って、なんか泣かせる土地なんだよな。
この日はなんだかとっても楽しかった。 無理せず、わくわくと、そこにいる。 それに客席で、BLOWBACKのパイン君やすぎちゃんが踊ってるのか◎。 特にパイン君、極寒のときもしみじみ思うけど、このひとが客席で踊ってると、あたりがぱあっと明るくなるのよねぇ。大好き。
第一夜で一番ほれぼれしたのは、EVE(ええわたしは(パインさん曰く)隠れEVEのおっかけ(笑))、 ごつくてタイトで陰のある、いかにも野郎の硬派なPUNK。 また、なんかさらに音と存在感が引き締まったような気がする。
ホントは東京に戻って、アースダムでAKUTAREとVEIHAIZと復活PADLOCK聴こうかなーとも、来る前には思ってたんだけど、 あまりの楽しさに、そしてBLOWBACK見たさに、結局2日目も残ることに。 珍しく(ツアーのおまけではない個人参加ではたぶんはじめて)とことん新潟で飲みました。 CIDERのDs.ヒデさんの地元、能生(のう。富山のほうらしい)のバンドCONNECTIONS(ライヴも誠実な音で、好感が持てた)と、 子育て談義で大いに盛り上がるという不思議な展開。 それにしても、能生のおにいさんたちはいいひとたちだったな。 ぜひまたいつか、酒でも飲みつつ子育てを語りましょう(笑)
人見知りのわたしが、飲んでこんなに楽しかったのは、これまで、函館と時々広島ぐらいだったのでは。
で、飲み会がお開きになると、 ゆずる君が「お京さんどうする?ウチ来る?」と拾ってくれた。
ゆずる君宅で焼酎を飲みながら、 70年代初め頃のストーンズのライヴビデオなど見る。 五泉という土地で汲んできたという湧き水が絶品、焼酎がすんごくうんまい。 たいしたことを話すわけじゃない。 すっぴんのまま、話したければ話し、音に聴き入る時には聴き入り、全然気を使わずに過ごせる。 考えたら不思議だよなー。お互いフルネームも知らないし、連絡先も教えあわない(特に必要と思えない)。 まあ、わたしの場合、ほとんど誰に対してもそうなのだけれど。 それでライヴの時だけ顔合わせて、ごく短い間、ほとんど挨拶程度に話して、 それだけで時にはぴぴっと気持ちが通じて、時には相手の存在に慰められて、時には勇気が出て、 友達って言えるのかどうかわかんないぐらい淡い接し方だけれども、 お互い生きててよかった、と思える、 (たぶんお互いに)このひとには幸せになって欲しい、自分はこのひとを応援したい、と心から思える人たち。 気がつくと、そんなひとたちが、日本の津々浦々にいる。 こういうとき、わたしはお京でよかったなあと思う。
昔、わたしが外で最初に出会った「愛情」は、愛情の名のもとに、お互いを縛るものだった。 今ではあれが愛情だったのかどうかさえ、自分にもわからない。 でももしそうなら、わたしはあんなものは二度と要らない。 そうでなかったとしても、やっぱりわたしは、二度とそっちに踏み出すことはないかもしれない。 そのかわり、音を媒介に、他者の存在を感じ、他者を大切に思えるようになった。 わたしには、そのほうが向いているのかもしれない。少なくとも、自由に、ラクに呼吸できる。
「ライヴ後、うち泊まっていいよ。部屋ふたつあるから気を使わなくていいし。 いつもあわてて帰るから可哀想でさぁ」 だいじょぶ、すぐ帰ってまた次のライヴ行くんだから、とわたしは思った。 でも、ありがとう。
「ライヴはじまる10分ぐらい前に『お京さん来たよ』って言われて、よっしゃあ!と。連絡とかしてなかったしね」 (そもそもお互い連絡先知らない) 「うん。びっくり。でもなんかそんな予感がしてたんだ」 苦労の末に、つい1ヶ月ばかり前にかたまったメンバーは、とっても合ってるみたい(その後話したけど、実にいい連中だった)。 行けるところまで思いっきり行きな。 わたしはたぶんずっと、そういう君の味方だと思うよ。不思議なもんだね。
ストーンズのビデオ見てそのまま適当に眠る。 翌朝、ひもじくて目がさめるとひとりであたりを探検したりして。 関町、新潟からわずか二駅だというのに、みごとなまでになんにもない。 開いてる店なんか一軒もない。空き店舗も多い。 お年寄りが玄関先で座ってたり、おじさんが打ち水してたり、のどかな時間。 線路は単線で、コスモスみたいな黄色い花(でも黄花コスモスではない)が夏の光の中でゆれていた。きれい。 種まいたら横浜でも育つかしら。ふたかたまりほど種をとって、握りしめて戻った。 戻ってまた焼酎飲んで、うどん作ってもらう。ごちになります(笑) ごめん、わたし、すっげー食った。 他のメンバーも加わって、焼酎を飲みながらストーンズ⇒スライダース⇒ウィラード(笑)とビデオ三昧して、それから会場へ。 すでに身体のノリがハードコアでなくて、えらいゆるい(笑)
***
二日目。頭の中にはストーンズが回りっぱなし、 すっかりrock'n'rollノリになった身体に、GLITTERZの音が快かった。 前に聴いた時より、ずいぶん焦点が定まっていて良かった。
ま、この日は白状すると、わたし、BLOWBACKを見たいがために来たのです。
なんて音だったことか。1曲目の「すきとおる」から、 文字通り、一瞬一瞬がすきとおるようにあんまり輝いているので、子供のように泣きたくなった。 そして、心の底から笑いたくなった。なんだろう、この音にみなぎる喜びと輝きは。 これまでも彼らの音は大好きだったけれども、今はじめて、あらためて彼らの音に出会った気がした。 この音になら、向こう側にさらわれて燃え尽きてもかまわない。はじめて彼らの音でそう思った。
きびきびとたたみかけるように音が飛んでくる。 ケンタロウさんのドラム、ますますよくなった。心なしか、また音も大きくなったみたい。無駄がなく、そして自由。 スギちゃんがステージの端ぎりぎりに置かれたマイクで歌う、 わたしはそのどまん前で、マイクを蹴倒さないように踊る。 パイン君は何度も客席に飛び込み、お客さんが諸手をあげて迎え入れ、 マイクに鈴なりになって歌う。 差し伸べられる手、打ち合わされる手、光る汗、輝く笑顔。 なにもかもがいとおしく、なにもかもが笑ってる、そんな空間を、BLOWBACKの音と存在がつくりだす。
「どこに行っても、同じでした。出会うべきものと出会い・・・Necessity」 ミディアムテンポの、重い音。 音が、ただの音を飛び越えて、この世界へのいとしさそのものになる。 そんなありえない瞬間を目の当たりにしている、そう思った。 なんて懐の深いバンドになって帰ってきたんだろう、BLOWBACKは。 これまで海外ツアーに出たバンドはどこもそれぞれに充実して帰ってきてたけど、 BLOWBACKは特に、ものすごくよくなった。 外からの風をとてもいい方向に浴びて、刺激も受けて、これまでやってきたことに自信も持って。 彼らは本当に海外に出てよかった、出るべき時期に、出るべくして出たんだと思う。
もちろんアンコールがかかる。ゆずるくんがステージに飛び上がってマイクをつかみ、 「I like time! I like time!」と叫ぶ。 いったん引っ込んだパイン君も出てきて、もちろん「I like time」 誰も彼も跳ねまわり、誰も彼も笑ってる、 今この瞬間がいとおしくていとおしくて泣きたくなる。そう、心から「I like time」、 こんな夜が大好きなのさ!
この4日間、素敵なライヴをいっぱい見たうちで、これがダントツでかっこいいライヴでした。
そんなわけでお京のNo.1はMUSTANG、のはずが、 ここにきてBLOWBACKになるのか?(笑。結局極寒じゃん) 遅ればせながら、新潟に毎回通ってしまいそうな自分がコワイ。 極寒ワールドツアーとかやったら、今度こそ絶対見に行っちゃうよ!! そんな感じです。
ライヴが終わるとちょうど最終の新幹線に間に合う時間。 新潟のみなさま、ほんとうにありがと! ものすごく心がほぐれて、自由にハッピーに過ごせた二日間でした。
これまでも新潟来て損した!と思ったことは一度もないけど、 新潟だけの二日間はとても楽しかった。 それにその前の二日間のツアーも。 なんて無茶な、そしてしあわせな毎日だったんだろう。 やっぱわたし、お京になれてよかったかも。
伊豆から戻ってきた娘に「ウィラードのおまけDVD、友達んとこで見せてもらったよー」と言ったら 「ずるーい!!!ハハについていけばよかったーーー!」と本気で怒られた。 ・・・え。そんなにウィラードが好きかい。 いっそ、ウィラードでだまくらかして新潟デビューさせようかしら(笑) |
No.1146 - 2015/03/28(Sat) 18:17:58
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