14日の最終日に観ていました。 登場人物が多めのオリジナルのマクベスに、一人の男が酒場で上演しているマクベスの世界に取り込まれてしまう、という仕掛けを与えたこと、血生臭いマクベスのストーリーにそぐわないような推進力のある音楽などで、最初とっつきにくい印象がありましたが、頭と眼と耳がなじむにつれて違和感がなくなり、芝居の最後の瞬間まで一気に引っ張られる感じで観終えていました。 生活にくたびれてよれよれした会社員風の「男」を登場させた上で、彼がマクベスと同化してしまうまでのプロセスを丁寧に描いていたこともあってか、観終えたあと、夢・妄想と現実の境が少しあやふやになっていくような不思議な後味が残って、出来ればもう一回観たかった。 バンクォー暗殺の場面とマクベス即位の祝宴の場面を同時にみせる演出、「この場にバンクォーがいたら良かったのに。」というマクベスのセリフを聞いて嬉しそうな顔をする薄気味悪いバンクォー(幽霊)、妻子を捨てたマクダフの行動に「男」が注釈を入れたりするところ、不思議な浮遊感があって耳に残る「いいはわるいで〜」の歌、貫禄充分のヘカティーが登場したときの、気押されている感じのある魔女3人の少し情けない表情、舞台を広く使った迫力のある殺陣、夫人の遺骸にとりすがるマクベスの慟哭(奥さんを見そめたころを回想しているような美しい音があてられていた) などなどが好きです。 観に行ってよかったです。ありがとうございました。
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No.2942 2016/02/21(Sun) 11:48:45
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