散り続ける花へ

 星月夜(84) 2019/05/05 
愛していたと
今ならわかるよ

荒野にひとり
心臓の歌を聴く



 かすれた音(83) 2019/05/05 
僕という存在を
更新して
重ねてゆくことより
留めてもらうことを
選んだんだよ

ありがとう
たくさんの花をくれた人達へ
蒼い星をひとつ
その胸に



 心音と歩幅(82) 2018/04/28 
鼓膜から、外界を切り取るヘッドホン。
遠くに見えた、人影のまばらな、上りの各駅停車。
四角い明かりが明滅するかのごとく薄闇に浮かんでは、ガタゴトと柔らかく軋みながら走り抜けていく。
久し振りに聴くあの音楽が穏やかに孤独を歌い、心は焼き切れたみたいに穏やかだった。
まだ浅い夜の感触。
まだ狂えないままの鼓動。



 終わり(81) 2017/01/03 
こわばった指先の艶やかさを
ずいぶんと浅くなった暗闇に
じっと佇んで観た

冷凍保存した過去はいつか砕けて
温度のない痛みにこの胸は灼けつくのだろう

醜い肉塊になる前に
さよならができてよかった

さよならができてよかった



 風切り(80) 2015/09/04 
僕らは鳥を待っていた

点と点とを繋ぐ線


夏の残滓みたいな青空を
ぬり潰す白い鳥



 砕く(79) 2015/07/15 
凍えて目蓋も動かせない

こんな真夏に
そんな冷たい指先で
縋るものさえわからぬ君の

じくじく
傷みながら刻んでる心臓の熱さを
僕が
引きずり出してあげよう

さあ期待して
胸を開けよ



 イタム(78) 2015/05/16 
零れてもう触れることができない
青空へ昇り雲に融けた煙みたいに
もうどこにもいない君が
確かにいたことを証明し続ける
危ういこの心拍が残る限りは



 そうして僕等は(77) 2015/03/10 
暗闇を濃藍に
白けた朝を虹色の黎明に
痛む胸の摩擦を尖った星屑に
すり抜けた手のひらの虚しさを 憧れに



 睡蓮(76) 2013/06/09 
6月の昼下がり
眼を閉じると真っ白になる世界
温い身体

こういうもののために
僕は



 亡骸(75) 2013/01/22 
いよいよ失った
そうして 長針が回るのを見てる

小さくて四角い穴を手ずから掘った
きみの居場所を作るために
あんな小さな窖の居心地が果たして良いのかどうか なんて
わからないけれども 僕らは
君を思って穴を掘ったよ

皮膚のしたの肉越しに触れた 白い骨を
この眼で眺めて ああ 大体想像していたとおりだと
そして全く生前の君から遠いなと 蓋を閉じた

永遠に失くしてしまった
だからもう 永遠に
失くしてしまうことはない
君なら何度だって 失くしたって構わないのに

何度嘆いても 君に触れるよろこびを選ぶのに






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