独りごと


0616
世界が色づく理由





五時間目が終わったあたりからなんとなく、わたし達は付き合った方がいいと思っていた。

「鳥田、付き合って」
消しゴム貸してみたいな感覚。別に彼もそんなに変な顔はしてない。
「うんイーヨ。」はい終了。今日から、私とあなたはそういう関係。

ベッドのなかでまあるく温まって、私は鳥田のことを考える。
メールくれないかなあ・・・くれないよなあ・・・まあいっか。

「鳥田、」

(。就寝)

あくる日目が覚めて、鳥田からメールがきてないか確認して、やっぱ来てなくて、
鳥田とメールしたいなあと思いながら学校に行く。

鳥田のことなんで好きなんだろう?
わかんないけど、でも確かにすきなんだ。

「鳥田ーあ、」

手を振ると鳥田が嬉しそうに手を振る。

好きの確証がないと不安だな。
どうして好きなんだろう?でも君いがいだめなんだ。

0615
きみのその長い指があたしのからだをあますところなくふれてくれるならあたしはもうなにをしたっていい




あたしのお隣の席の鴨川君は、指がふにゃって細こくて可愛い。
腕の血管もすんごい出てて、なんかよう知らんけどすごい可愛いなって思う。

あたし最近あの人の手に齧りついてみたくて仕方ない。

「なー鴨川君」
「なにぃ」
「あんな。今コクゴの時間やん。」
「うん」
「・・・あたしな、コクゴのきょーかしょ忘れてんな」
「へえ」
「・・・」
「・・・」
「見してよ」
「・・・なら最初からそう言いぃな」
「・・・」

ごめんて、とあたしは言う。
鴨川君はこっちも見んと机をよせてくれた。教科書はんぶんこ。

「鴨川君ごめんなあ」
「何がや」
「教科書見にくいやろ」
「見にくいな」
「うん。ごめんな」

鴨川君は累計3回もごめんと言われて怯んだらしい。ちょっとこっちを見ると、まあすぐに目をそらして、いいよって言った。

がりがり。鴨川君とあたしは黒板を写すのに必死。
この作者は何が言いたいんやと思うー?ってセンセが聞いた。
ハイじゃあ鴨川。なんでやろ。おぉ。鴨川君が当たった。ガンバレ。

「・・・」あ。鴨川君分からへんのや。
あたしが答えをこっそり教えてあげると、鴨川君はちっちゃく会釈した。

そのあと、鴨川君はありがとうって言ってくれた。
「えぇよ。お礼。」
「何の」
「え。 教科書見してくれたやん。」
「・・・」

あぁあ、別にそんなん。と鴨川君は言う。

「鴨川君。」
「なに」
「あたしな鴨川君の腕から手にかけてめっちゃ好きやねんけど」
「・・・何それキモいわ」
「えっ。めっちゃええ腕から手にかけてしてるよ」
「長い。長いことにこだわりとかを感じてキモい。」
「うわあめっちゃ傷つく。なあさわらしてよ」
「はー?!」
「えぇやん減るし」
「減らへんわ」
「あ、じゃあなおえぇやん」
「・・・いや、えぇけど」

するりと差し出されたその細っこい腕。あー可愛えぇな。
あたしは触る。あ。なんて顔してんの鴨川君。もう嫌や、めっちゃ可愛えぇなああんた。

0615
感染するらしいヒロイニズム






ヒロイニズム病。
最近ニホンで急速に広まりつつある、気分障害の一つである。
気分障害であるが、その症状がウイルスによるもので、ウイルスが無くなると同時に症状も回復するのが特徴。

感染経路は基本的に飛沫感染。ウイルスが体内に入ると、訳もなく自分が「可哀想」になったり、涙が出るなどの行動をしてしまう。ニホンで流行している「アニメ」のヒロインにありがちな行動をとるためこの名前がついた。
ヒロインという名を冠しながらも、男女ともに罹患する。(男性の危機意識が低いことが同時に問題になっている。)

0612
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・love


きみは早く、
あいをたすけて

0612
したいこと
して
たのしかった?

0612
世界のむこうのむこう



世界のむこうになにがあるのって、
泣いたすぐあとに彼にきいたら、

何もないのだって言った。人は眠る。そこで死んだように眠る。
そうして世界のおわりになったら楽園にいくんだよ。
そう彼は言った。

宗教なんて下らないわ、あたし何も信じたくない。
怖いじゃない、楽園にいけないのは恐ろしいじゃない。

彼は困ったように笑うと、
そうじゃないよって言う。
楽園にいくのが目的じゃないよ、神様を信じられたことがもう素晴らしいんだ。

ナアニそれ意味分からない。理解できない。

あたしは首を振って笑った。彼も笑った。ところで彼はついさっき死んだそうだ。

バスタブですっ転んで頭打って即死。馬鹿みたい。
ねえあたしのこと覚えてるの?眠ってるの?ならあたしの夢を見てよ。
ねえ世界のむこうのむこうはどこにあるの?あんたはどこにいるのよ。

世界のおわりとやらが来たら、そしたら楽園にいけば会えるの?
ねえ、
どこにいるのよ。

0612
夜に答えたわたしの朝




夜になるほどにあたしの思考は停滞する。
もうやめようって何回も考えた。

「・・・」

はじけてしまったこの黒い染みが、
あたしをサカナにする。
死んでうつろになっても誰かの糧でいたい。
それだけが本望だと言い切る私でいたい。

・・・剥いて口にいれた甘夏がしみて、
あたしは口内炎ができていることに気づく。

「ねえ。」

あたしは誰に話しかけるんだろう。
誰を救ってあげたいんだろう。
救うなんておこがましいことを、なぜできると思ったんだろう。

あたしは不意に気づく。ああ。
あたしは天使にはなれない。angelもte-n-shiも不格好だ。
羽がはえた人魚になりたいんだろうか?

君を救ってあげたかった。
あたしは垂れる血をティッシュで拭う。
そのもどかしい夢を知り得なかった。

(言い訳だね、君を救えなかった自分を正当化したいだけだよ。)ごめんね。

夜明けがきたらみんな忘れていて、
あたしはまた誰かを救えないかと考えるだろう。

0610
空模様は荒れ模様




雨がやまない。たぶん、もう雨宿りしても意味ない。
アタシは傘すらも買えない乏しい残金を恨みつつも、打つように痛い、つめたい雨の中にとびだした。


うすっぺらい布きれ一枚でつつまれたアタシの躰。
いますぐに眠ってしまいたいなあ。
いぶくろのなかに包まれた今朝食べた予定の全てが
常套句の輝きであたしにささやく。

「ねえ」

アノコもアタシも毎日に必死なだけなんだよね
ぢくりとヨコバラが痛んだ。

難しいことを、アナタは言う。アタシも理解しようとがんばる。
このままで生きていけるわけがないのに、停滞した意識のなかでよどんでいるのが心地よいとおもった。

くちびるから血が流れる感触。
なまぬるい液体、 固体にすらおもえる酷い鈍痛とその感触のやわらかさを、
あたしは腫れた頬のうちがわを舐めながら、
一生わすれないだろうとおもった

0609
あたしたちあいしあってる!!!



ふんわりと風にたなびいたスカート。
今日は夏のお手本みたいなキレイな日。

あたしはくるっと後ろをふりむく。

ねえ、今日ってLOVELY DAYよね!なんて、英語の授業で今日やったばかりのことばを嬉しくて連発。What a lovely day、!

ねーねーこれでさモンシロチョウが飛んでたら完璧じゃない?え、モンシロチョウって春だっけ?アハ。もう馬鹿、だって夏にチョウチョ(butterfly)ってとんでそーじゃない。馬鹿、そんなにゆわないでよ。あーもう。馬鹿!(stupid!)

ぷいっとして空(sky)ばっかりみてたら太陽(sun)がまぶしくて目がつぶれた。
それから足がもげた。手ももげた。
なんでだっけ?って思った、あーあれだよ政府のあたらしい悪いお薬、って君が言う。なるほどねー。当たっちゃったのか。
ありゃりゃって思ったけどもうお姫様だっこもできないって気づいたら(notice)
あたしはだんだん悲しくなって大声でわめいた。

やだようやだよう。瞬間移動なんかできなくていいから、分子になんかなりたくないの。やだやだ助けて。あうあうあうあう。
あ、ダメだとける。(melt)脳みそがとけちゃうよ。
あともうちょっとで人間じゃなくなっちゃうよ失敗の研究はもうやめたほうがいいよねえ愛してるってゆって。ねえあいしてるってゆって。ねえあいしてるってゆって。

あたしの足もう見えないね。あ、そりゃそっか。あたしの目はもうないんだね。

ねえ君、ここにいる?って聞いたら、いるよっていつものキレイなダイスキな君の声。ああ。嬉しいなあ。

What a lovely day、
こんなに日常と乖離してるっていうのにあたしも君も怖くない。
隣にお互いがいたらそれだけでいいのよね。

そうだよ。
あたしたちあいしあってる。


自転車。bycicle。あつい。hot。太陽。
キス。とろけるようなキス。
身体の瓦解。世界の崩壊。

楽園はあるのでしょうか?

君が死んだあと、行く場所にいきたいな

0609
無条件



「あのね。わたし思ふのだけれど。」
うつむいた彼女の頭にはティアラと、昨日染めたらしいさらさらした金色の髪の毛が光っている。

「世界はだうしてあなたとわたしだけじゃないんで、せう?」

白々しい独白だけど、と彼女は呟いてまたうつむく。
その白い背中からいつか、猛獣のような白い羽が生えてくるのではないだろうか?
僕はいつも、それを疑ってしまう。
 だから僕はそんなときいつも彼女を抱きよせるのだ。

「ア。」

彼女の細い手首は僕の醜い手で、いとも簡単に折れてしまいそうだ。
僕はどれくらい痛くすれば彼女が泣き喚いて手首を折らないでと懇願するのか試したくなる。だけどそうすればきっと彼女は羽をはやして消えて行ってしまうのだ、猛獣と一緒に。

「痛いです、ねエ。チョット。離して、ねえ、」

彼女が僕の中でもがいている。
たぶん彼女は僕のことなど好きではないのだと思う。
口先でどうとでも言える薄っぺらい愛を振りかざして、僕にも同じ愛を寄せろと喚く彼女を、僕はいとしいとおもう。

「ねエ、好きよ、愛してる、だからね離してよ。痛いわ、」

無条件で降伏せざるを得ないのだ。
僕は彼女に愛される資格がない。理由がない。なにひとつ僕は持っていない。

だけど彼女という美しい人はいま、僕だけのものなのだ。

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