『Fly Up!』の第三章まで読ませて頂きました。 紅月様の作品の中でも圧倒的な長さの長編ということで、少々読むのを敬遠していましたが(ごめんなさい!)、読み進めていくと本当に丁寧にプロットが立てられていて、小説の世界に引き込まれてしまいました。 先日インデックスを整理されたとのことで、読む側としても区切りが分かりやすくなって良かったと思います。
小山との試合、刈田・早坂との試合、吉田と西村の試合…。たくさんのバドミントンの試合が書かれていますが、一つ一つの試合に、プレイヤーの特徴や新たな成長が描かれていて、どの試合も面白かったです。それらを全て書き分けられるのは、紅月様の小説の優れた技量と、バドミントンの経験の豊富さなのかなと思いました。 私は運動がめっきり苦手で、元々バドミントンにも疎いので、カタカナのバドミントン用語が分からない箇所もありましたが、それでも試合の迫力は楽しむことができました。 自分の知らない世界に触れられるのも、小説の醍醐味ですね。
小山や刈田など、試合前には少々不快感を覚えた相手でも、試合後にはすっきりと和解できるストーリーは、読んでいて気持ちがいいです。そのような不快感を引きずらず、相手の気持ちを汲み取ろうとする武には好感が持てました。
武はもちろん、武の成長を見守る吉田や早坂、由奈といった周りの人物にまで繊細な心理描写がされていて、どの人物にも感情移入ができました。 武を中心とした三人称から、途中で早坂や吉田視点の三人称に切り替わる箇所もありました。個人的に三人称でも視点切り替えの技法はあまり好きではないのですが、それに違和感を感じなかったのは、やはりそれぞれの人物の心理描写が徹底していたからだと思います。
武の中に迷いが生じたり、何か勘違いをした時に、それを理解して助言してくれる仲間がいるのは幸せなことですね。武がバドミントンプレイヤーとして成長していけるのは、本人の才能と努力はもちろんのこと、周りに理解してくれる仲間がいたことも大きいんだろうなと思います。 これからも一読者として、武の成長を見守っていきたいと思います。また区切りのいいところまで読み進められたら、感想を書かせて頂きますね!
最近は掌編・短編しか読み書きしていなかったので、非常にいい勉強になりました。私もいつかこんな風に長編を書けたら…と思います。 長々と乱文失礼しました。
[No.1422] 2011/11/04(Fri) 00:46:01 |