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戦後80年ということで、関連する番組が放送局各社から放映されています。 NHKが8月13日に放送したドラマ「八月の声を運ぶ男」もそのひとつです。 (8月20日に再放送) 「長崎に暮らし日本全国を渡り歩いて被爆者の声を集め続けたジャーナリスト伊藤明彦の実話に基づいた、原爆によってもたらされた数奇な出会いの物語。」 (NHKの戦後80年 番組紹介ウェブサイトより引用) このドラマでは、被爆者の証言を録音するために主人公が持ち運びする、可搬式のオープンリールテープレコーダーが登場します。 いかにも重そうなテープレコーダーを全国津々浦々に持ち運んで被爆証言を集めたというのは、かなりの労力を要したことでしょう。しかも行った先で証言を拒否されることもあり、徒労に終わることもあったとのことで、その労力は、今ではちょっと考えられないほどです。しかも、時間も経費もすべて自主自前だったとのこと。 ドラマの中で使用され、実際に稼働しているオープンリールテープレコーダーを調べてみました。映像では、NHKらしく、メーカーロゴの部分は文字が読めないように処理されていましたが、形状から見て、この機種のようです。 SONY TC-365 「オーディオの足跡」 https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/portable/tc-365.html このドラマの時代背景は、1970年代初頭のようです。当時、すでにコンパクトカセットを使うモノラルタイプのポータブルテープレコーダーは存在していたようですが、まだ、音質や信頼性が充分ではなく、オープンリールほど普及していなかったのでしょう。 カセットテープは1970年代以降、急速に性能が向上し普及していくわけですが、当時は登場してまだ年数が浅く、一度きりの貴重な証言の「証拠」とするには、まだ信頼できなかったのかもしれません。 ちなみに、カセットテープのオリジネーター PHILIPS は世界初のカセットテープレコーダーを1962年にヨーロッパで発売したとされていて、日本の国産初のカセットテープレコーダー(モノラル)は、1966年6月に発売された AIWA TP-707P型のようです。 話が変わりますが、このドラマの登場人物で俳優、阿部サダヲさんが演じる「被爆体験者」は、クラシック音楽が好きな人物として描かれています。 その自宅にはステレオセットがあり、ベートーヴェンの第九交響曲のLPレコードがプレーヤーにかけられ、第4楽章が鳴っているシーンがあります。 赤いLPのジャケットがステレオセットに立てかけられているのが映っていて、日本語で「合唱」という文字が見えます。はて、この音源は日本のオケなのかしらん? 私には分かりませんでした。 また、ショスタコーヴィチのオラトリオ「森の歌」の合唱部分が鳴っているシーンもあります。 「森の歌」は、今でも演奏される機会があまりない曲で、ショスタコの他の曲に比べても録音された音源は多くないと思います。 推測ですが、まだ当時は国内のオーケストラではこの曲の録音がなく、おそらく輸入盤のLPでしょう。ムラヴィンスキー指揮、ソヴィエト国立交響楽団ではないかと推理します。 【8/19 訂正】 最初の投稿時、音源のオーケストラを誤ってレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団と記していましたが、正しくは「ソヴィエト国立交響楽団」でした。訂正します。 この ムラヴィンスキー指揮、ソヴィエト国立交響楽団盤の「森の歌」のLPレコードは、今から40年ほど前(1986年頃)、職場の先輩から「いい曲だから聴いてみて」と言われて借用し、自宅でカセットテープにダビングした思い出があります。 初めて聴く曲ながら、歌詞の内容は別として、独唱や少年少女合唱が素晴らしい曲だなと印象に残りました。 ショスタコーヴィチがこの曲を作曲した当時と、その後のソビエトの状況を色濃く反映していることはよく知られていますが、そのような政治色を差し引いても、音楽的に大変優れた作品であると日本の音楽家(指揮者)やクラシックファンに評されてきた歴史があります。 1970年代には「うたごえ運動」なる若者文化が花開いていて、この「森の歌」も、その中でもてはやされていたのでしょう。このドラマでは、その頃の時代考証もされているようで、なるほど、と感じた次第。 ちなみに、現在私が所有しているのは、フェドセーエフ指揮・モスクワ放送交響楽団の盤で、LPのほうではなく、CDです。 [No.743] 2025/08/17(Sun) 23:02:31 |