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○22-00419-01:里樹澪:ビギナーズ王国 ○「約束をした青年」 ○1999文字 /*/ あるところに、盛大なお祭りをすることで有名な国がありました。 祭り好きな王様がいつもお祭りを開いていたのです。 国中に太鼓が鳴り響き、通りは踊り子が練り歩き、広場にはお店が溢れていました。 しかし、あるとき王様が変わりました。 新しい王様はお祭りが大嫌いだったのです。 すぐにお祭りをすることを禁じてしまいまいした。 兵隊に命じて、お祭りをしようとするものは皆捕まえてしまったのです。 太鼓の音は聞こえなくなり、踊り子は通りに出なくなり、お店も広場から消えました。 国に住む人たちは、お祭りが出来なくてさびしい気持ちになっていきました。 静かになってしまった国に、お祭りが好きだった一人の青年がいました。 彼はいつも思っていました。 もう一度太鼓が鳴り響く音が聞きたい。 あの踊りをもう一度見たい。 広場に溢れるテントが、そこに集まる人の笑顔をもう一度。 青年はそう決めました。 彼にはお金はないし、賢くもありませんでしたが、身軽さと祭りを思う気持ちだけは国一番でした。 なんだ、二つもあるじゃないか。青年はそう思いました。 そして、歩き出したのです。 青年は太鼓の名手だった人に会いに行きました。 彼は困っていました。子どもが屋根の上から降りられなくなってしまったのです。 屋根に上るのは青年には簡単なことでした。なんなく子どもを助けてあげました。 太鼓叩きは喜んで、青年にお礼を言いました。 でも、自分には太鼓を叩くくらいしかできないし、今はそれができないとも言いました。 青年はそれならばお礼の代わりに、僕が死んだら太鼓を叩いて送ってくださいと言いました。 太鼓叩きは不思議に思いながら、それくらいならと青年と約束しました。 青年は次に、国一番の踊り子に会いに行きました。 彼女も困っていました。家にねずみが出たのです。 彼女はねずみだけは大の苦手でした。 青年は笑いながら、すばしっこいねずみを退治してあげました。 踊り子は青年にお礼を言いました。 でも、自分には踊りしかないし、今はそれができないとも言いました。 青年はそれならばお礼の変わりに、僕が死んだら踊りで送ってくださいと言いました。 踊り子は首をかしげながらも、それでいいのならと青年と約束しました。 青年はそのあとも、身軽さをいかして、自分にしか出来ないことで国中の人を助けてました。 そしてそのたびは「自分が死んだら」と約束をしました。 皆縁起でもないと言いながら、首をかしげながら約束をしてくれました。 そして遂に、国の中で青年と約束していないのは王様だけになりました。 青年は、最後に王様に会いに行きました。 王様は青年がお祭りを好きなことも、皆と約束していたことも知っていました。 王様はそれに怒っていました。 青年はすぐに捕まえられて、死刑にされてしまったのです。 その前に、青年は王様とも約束しました。 僕が死んで王様は嬉しいのなら、一つだけ約束してください。 もし、今日の夜にお祭りが開かれたら、お祭りを認めてください、と。 王様は笑いながら、いいともと約束しました。 何を約束していようとも、兵隊たちが捕まえてくれると思っていたからです。 青年は最後に笑顔になって、約束ですよと言いました。 それが、青年の最後の言葉でした。 その日の夜。 青年が死刑になったという話は国中に広がりました。 でも、皆兵隊を怖がっていました。。 いつまでたっても、誰も青年との約束を守ろうとしませんでした。 王様は自分の思ったとおりだと笑いながら、ベッドに入って寝てしまいました。 最初に響いたのは太鼓の音でした。 太鼓の名手は子どもが寝顔を見て、子どもを助けてくれた青年を思い出したのでした。 そして、子どものために約束を守ろうと思ったのです。 太鼓の音に導かれるように、国一番の踊り子が通りに躍り出ました。 久々に聞く太鼓の音に、どうしても躍りたくなったのです。 手に持った鈴でリズムを取り、太鼓に合わせて躍りながら歌いました。 二人が通る後ろから、次々に人が現れました。 太鼓に合わせるように笛吹きやバイオリン弾きが出てきました。 踊り子の弟子も仲間も、かつてのように踊り始めました。 もう立派なパレードです。 パレードが広場に着いたら、テントがいくつも立っていました。 煌びやかに飾り付けられ、人を呼び込む声が響き渡り、かつての活気が溢れていました。 パレードはそれを見て、一層大きく演奏し、美しく躍りました。 お祭りが戻ってきたのです。 騒ぎを聞きつけた王様はベッドから転げ落ちました。 そして、窓の外を見て驚いて、すぐに兵隊を呼びつけてなにをしているんだと怒りました。 兵隊たちは言いました。青年と約束していたのです。 お祭りを始めてもだれも捕まえないようにと。 それを聞いた王様はついに観念しました。 青年との約束どおり禁止令は解かれたのです。 こうして、一人の青年のおかげで国にお祭りが戻ってきました。 そして、もう二度とお祭りがなくなることはありませんでした。 /*/ [No.100] 2008/06/20(Fri) 23:27:30 |