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○43-00397-01:ヒオ・スクル・ヒルダ:愛鳴之藩国 ○「たいそう大きな黒猫の約束」 ○テキスト文字数:1994 昔々たいそう大きな黒猫がいました。 体がおおきく、生まれつき力が強かったので他の猫たちをよく怖がらせて遊んでいました。 だからどの猫も怖がってそのたいそう大きな黒猫に近づきませんでした。 ある日たいそう大きな黒猫は人間の女の子と会いました。 たいそう大きな黒猫はその人間の女の子にいいました。 「おれは強いぞ。怖いだろう。」 人間の女の子は首を振ります。 「あなたを怖いとはおもいません。」 たいそうおおきな猫はたいそうおおきな体をさらに大きくしてなぜだと問いかけました。 人間の女の子は答えます。 「私にはあなたよりもこわいものがあるからです。」 たいそうおおきな猫は目をまんまるにしてそれはなにかとききました。 人間の女の子は答えます。 「それは内緒です。あなたは旅にでて世界をみてみるといいでしょう。そして他の猫たちを怖がらせるのではなく力を貸してあげてみて下さい。」 「それをつづけて一年後またここで合いましょう。そのときその答えをあなたに教えると約束します。」 「一年後だな。わかった。約束だ。」 たいそう大きな猫はその日から旅に出ることにしました。 塀をつたい、木に登り、家々の屋根を飛び移り、旅をしていきます。 ある日。 長く歩いてきたのでたいそう大きな黒猫は、おなかが空きました。くんくんと鼻をかぐと、大好きな焼きメザシのにおいがします。 一目散に駆け寄り、焼かれていたメザシを全部食べてしまいました。 「うまいメザシだ。満足だ。」 満腹になった猫はごろんと寝転がり寝てしまいました。 そこへ家の主人猫が帰ってきて、たいそう大きな黒猫は箒でたたき起こしました。 「お前がメザシを食べたのだな。子供が楽しみにしていたのに!」 主人猫は何度も何度もたいそう大きな黒猫をたたきました。 騒ぎに気づいたその家にすむ小さな子供猫が、 「父様、あの猫様が可哀想だよ。ご飯は残念だけど、また作ればいいから許してあげて。」 と言いました。 主人猫はたたく手を止めました。 その隙にたいそう大きな黒猫は一目散に逃げ出しまいました。 そして幾日。 たいそう大きな黒猫は、かつて出会った人間の少女を思い出していました。 なぜ怖がらないのか、俺よりも怖いこととはなんだろうか。 いつも考えていました。 たいそう大きな黒猫はすこし前のことを思い出します。 お腹がすいていたのでおいてあったメザシを食べた。その持ち主だろう猫に箒で追いかけられた。 あのとき助けてくれた小さな子供猫には悪いことをした。 一目散に逃げ出してそれから会っていない。 たいそう大きな黒猫は、なにかあの子にしてあげたいと思いました。 この気持ちはなんだろう。たいそう大きな黒猫は首を傾げます。 ある日、次の街にいこうと山を越えていると七人の狼におそわれている猫の二人組を見つけました。 たいそう大きな黒猫は少女の言葉を思い出します。 手を貸してあげて下さい。 たいそう大きな黒猫は気高くにゃーんとひとなきして七人の狼を飛びかかりました。 キラリとひかる研ぎあげた爪で鼻をひっかき、真っ白な強くしっかりした牙で尻尾をガブリとかみつきました。 これはたまらんと思った七人の狼は逃げて行きます。 「黒猫様ありがとうございます。もうだめだと思いましたが夫婦ともに助かりました。」 「命を救っていただいたお礼としてはなんですが私どもがひとさまに誇れるのは料理だけでございます。この先に私どもの屋敷がございますので食事を振る舞わせてください。」 たいそう大きな黒猫は自分の食べ物以外のものを食べて大変な目にあったのを思い出して、その誘いは断りました。 そのかわりに質問をします。 「何故食事を振る舞おうとおもったのだ。」 「あい。黒猫様に命を救っていただいて感謝を形にしたいと思いました。」 「そうか。」 夫婦猫と別れて、たいそう大きな黒猫は考えました。 「きっと俺もあの猫達と同じ気持ちを持ったのだろう。」 そういって助けてくれた小さな子供猫を思い出します。 感謝のこころ。ありがとうと言う言葉。そして自分ができる手助けの答え。その糸口を見つけたと、たいそう大きな黒猫は思いました。 たいそう大きな黒猫が旅に出てから一年がたち、生まれ故郷の町に帰ってきました。 懐かしいと思いながら歩く故郷の道。程なくして人間の少女に出会った場所につきました。 そして行儀よく座り、少女を待つことにしました。 ・・・ 一週間後、人間の少女はまだ現れません。 ・・・ 1ヶ月後、人間の少女はまだ現れません。 一年が過ぎました。たいそう大きな黒猫は、人間の少女を探そうと考えました。 どうしても約束を果たしたかったのです。 色々なところを周り、人間の少女を探しました。 旅の間もたいそう大きな黒猫は約束を忘れません。 困っているものがいれば手をかし、いさかいがあればそれをどいにかする努力をしつづけました。 いつかあの少女との約束を果たすため。 たいそう大きな黒猫は今も世界を旅し続けているのです。 fin... [No.16] 2008/06/08(Sun) 23:44:21 |