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> ○国民番号:PC名:藩国 26-00500-01:月光ほろほろ:たけきの藩国 > ○「作品タイトル」 龍と姫君 > ○テキスト文字数 1901 昔々の事、まだこの世界に今よりもたくさんの種族が存在していたころのお話です。 とある王国の姫君が不治の病に犯されてしまいました。 姫君は穢れとされ、国に災いをもたらすと占い師は言います。 王国を守る為に病に冒された姫君は王様の命令でイケニエにされました。 地にあまねく生き物の中でも一番の邪悪と言われる黒龍にです。 洞窟の入り口に姫君を降ろすと、王国の兵士達は帰っていきました。 姫君は悲しい自分の運命を受け入れ、洞窟の奥へと向かいます。 その奥には、噂どおりの黒い1匹の龍がいました。 その鱗は深い夜のよう。その瞳は輝く月のよう。 黒い龍は姫君を見ると『死の匂いがするね。君は死の病に冒されている』と人族の言葉で言いました。 姫君はその声が思ったよりも優しいことを感じて、思い切って質問しました。 「黒い龍よ。貴方は私を喰らうのですか?」 龍は答えました。 『食べたいとは思わないよ 』 そうして、自分の前足に傷をつけると、血を姫君に飲ませます。 『これで病は快方に向かうだろう。飲み過ぎてはいけないよ。龍になってしまうからね』 事態が把握できず、首を傾げる姫君。でも心なしか、胸の奥がすっきりと澄んだように感じます。 龍は言いました。 『それよりも僕の友達になってはくれないだろうか。ここには話し相手がいなくて、僕は寂しかったんだ』 姫君は驚きました。そうして思います。 (こんなに大きな身体をしているのに、この龍はまるで子供みたいなことを言うのね)と。 姫君は少し微笑んで、頷きました 。 黒い竜も笑い返しながら言います。 『君の瞳はとても綺麗だね。空から見た、この星のようだ』 姫君は、こんな風に心を込めて褒められたのは初めてでした。 王宮の人たちは王様が怖くて姫君を褒めますが、それは心のこもっていない、ただの言葉でした。 (これからは自分の青い瞳を、もっと好きになれそうだわ)と姫君は思い、言葉を返します。 「貴方の瞳も、とても素敵。夜空に輝く、あの月のようね」 『嬉しいなぁ。それじゃあ、僕の瞳を見に行こうか』 黒い龍はそう言うと、姫君に背を差し出します。姫君が恐る恐る乗ると、落とさないようにゆっくりと、龍は洞窟の横穴から、夜空に羽ばたきます。 夜空には満天の星空。遠くに小さな黄金の月。 夜の空気を胸いっぱいに吸い込んでも、もう姫君が咳き込むことはありません。 空を舞いながら確かにその時、龍と姫君はお互いの思いを感じていました。 喜びに姫君が歌い、龍も音階をあわせます。 信頼は種族を超えて、歌となり大空に響きました 一人と一匹は仲良く暮らしました。 暮らしていく中で、たくさんのことを話しました。 これまでの事を、そしてこれからの事を。 次第に惹かれて、離れられなくなっていきます。 『今が永遠に続けば良いのにね』 一人と一匹は同じ事を考えていました。 今まではお互いがいなかったことなんて信じられない、とでも言う風に。 しかし、そんな幸せを突然響く大砲の音が引き裂きます。 王国の軍隊が無差別砲撃とともに現れたのでした。欲の深い王様は、姫君がまだ生きているなら他国への貢物に使おうと思ったのです。 無差別砲撃から姫君をかばう時に、龍は両目に深い傷を負います。 近くに生きる森の生き物をかばう時に、龍の翼はズタズタに引裂かれました。 驚く姫君の悲鳴が、何と言うことか、王国の軍隊に姫君の場所を教えてしまいました。 追っ手が迫ります。 潰れた瞳で龍は言いました。 『大好きな君を守りたい。けれども僕の力は強すぎて、兵隊を皆殺しにしてしまうだろう。我慢をするから、君だけはどうか逃げて。別れは本当に悲しいけれど』 目を潰されて、翼を引裂かれて、それでも相手を殺したくないと願う龍を見て、姫君の心は決まりました。 姫君は言います。 「いいえ、優しい私の思い龍。貴方のいない世界に、どんな意味があると言うのでしょう。 人族には愛想がつきました。私も龍になりましょう」 そう言うと手をとり姫君は龍をかばいました。 そこに王国の砲撃が迫ります。 しかし大砲の弾は、突如現れた白い竜によって弾かれました。 姫君は人族であることを恥じ、白く輝く龍になりました。 それは人族が龍の血を飲みすぎた結果です。 龍の血は姫君の病を治すと同時に、その身体を龍に作り変えていたのでした。 白い龍は黒い龍を守るように包むと 大空に飛び立ちました。人の手の届かない、遠く、遠くへ。 今でも空の果てには、白と黒の2匹の龍が仲むつまじく歌う歌が響くと言います。 /*/ 種族も、年齢もその他の何もかもも、愛の前には霞んでしまうという、これはそんな物語―。 [No.45] 2008/06/13(Fri) 01:31:48 |