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○35-00688-01:ウル:ゴロネコ藩国 ○「掃除をした猿」 ○テキスト文字数:1867文字 (以下、テキスト本文) 遠い遠い場所のお話。 そこには多くの猿が住んでいて、とても便利な国でした。しかしその国は便利を求めるあまり、汚れがどんどんひどくなっていったのです。そこで猿の王さまは、一匹の猿に国の掃除を命じました。 「我が国は非常に有害なゴミが溜まっている。君にはそれを取り除いてもらいたい」 一匹の猿は、王の命ならとそれをありがたく受け入れました。 まず一匹の猿は王宮と街の掃除をしました。 王宮と街はみるみるうちにきれいになっていき、王さまはとても喜びました。街の猿たちも大喜びで、一匹の猿をほめたたえました。 次に一匹の猿は川へ行き、岸辺や川の中を掃除して、魚が住めるようにしました。これに漁師たちは大喜び。これでまた魚が取れると一匹の猿に感謝しました。 その調子で猿は、旅をしながらどんどん国をきれいにしていきました。 しばらくして一匹の猿が街に戻ると、街はとても汚れていたのです。 王様と街の猿たちは声をそろえてこう言いました。 「早く掃除をするんだ。このままじゃ大変なことになる」 街の猿たちは、一匹の猿が掃除するのをいいことに、自分たちは掃除をせず、便利ばかりを求めていたのです。そのせいで、街だけでなく川も森も海も山も汚れてしまっていたのでした。 一匹の猿は言います。 「まずは、自分たちの場所を自分たちで掃除してみてはどうでしょうか? みんなでやればきっとすぐにきれいになりますよ」 すると、猿たちは言い返します。 「何を言っているんだ。掃除は君の仕事だろう。私たちは便利になりたいだけなんだ」 それを聞いた一匹の猿は打ちひしがれ、悲しみのあまりその場を逃げ出してしまいました。 逃げる一匹の猿を捕まえようと、街の猿たちは追いかけました。しかし、汚れた地面は猿たちの足止めをし、一匹の猿は足元のゴミをうまくよけながら逃げて行きます。 「追いかけろ、追いかけろ。とにかく捕まえるんだ」 猿たちは躍起になって追いかけますが、とうとう一匹の猿を見失いました。 /*/ 夜がすぎ、朝がすぎても、息を切らせて一匹の猿は走り続けました。深い森に入ってしばらくすると、一匹の猿は森の空気が変わっていることに気付きました。 いままで淀んで汚かった空気が、いつの間にか澄んでいたのです。 一匹の猿は走るのを止め、ゆっくりと歩いて辺りを見回しました。 「どうしてだろう。今まであんなに汚かったのに、ここはとてもきれいだ」 森を抜けると、美しい湖が広がっていて、何匹かの猿が湖のほとりでくつろいでいました。 一匹の猿は驚きました。そこには汚れのない、綺麗な自然のままの場所が残っていたのです。 なぜこんなにもここはきれいなのかと尋ねたところ、森の猿たちは当然のように答えました。 「そりゃあ、自分たちで掃除しているに決まっているじゃないか。君は猿の国からやってきたのかい? だとしたら不思議に思っても無理はないね。あそこは誰も自分で掃除しなかったからさ」 森の猿たちは、むかし国に住んでいたが汚いのが嫌になって出てきたんだ、と一匹の猿に話しました。 一匹の猿も事情を説明すると、すぐに森の猿たちは一匹の猿を褒め、感謝しました。猿の国にも自分たちのように掃除をする猿が出てきたことが、とても嬉しかったのです。 森の猿たちはここでしばらく過ごしていくと良いと一匹の猿を歓迎し、寝床を与え、一緒に暮らすことを提案しました。一匹の猿はその提案に感謝し、一緒に仕事もさせてほしいと頼みました。 森の猿たちの暮らしは、とても当たり前なものでした。朝早く起きて田畑の手入れをし、交替で食事を作って、それをみんなで片付けたあと、また仕事に戻る。森を切り開いたり、逆に種を植えたりして、自然と共存していました。 その当たり前なことが、一匹の猿にはとても素晴らしいことのように思えました。当たり前のことを当たり前にするのは、実はとても難しいからです。 数週間の後、一匹の猿はこの森に住むことを決め、それを森の猿たちにお願いしました。 森の猿はそれを喜び、その日の晩に湖のほとりで宴会が行われました。そしてその席で、一匹の猿は森の猿たちにこれから一緒に歩んでいく仲間として受け入れられたのです。 その後、一匹の猿は一匹ではなくなり、森の猿の一員として暮らし始めました。大変だけど、とても楽しい当たり前な日常を過ごしました。 /*/ …ちなみに猿の国はどうなったか? 国は汚れすぎて一度滅びました。でも、何匹かの猿がその跡を掃除して住み始めたらしいですよ? 今はどんな国になっているのか。 君たちは綺麗な国と汚い国、どっちの方が好きですか? きっと、それが答えです。 [No.55] 2008/06/15(Sun) 19:22:13 |