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【テンプレート】 ○15-00752-01:久遠寺 那由他:ナニワアームズ商藩国 ○「…@ずーっと友達でいます。」 ○テキスト文字数 1814 /*/ マリーは小さな女の子。 生まれてから何度目かの誕生日の朝、マリーはおばあさんから素敵なプレゼントを貰いました。 それはマリーの家に代々伝わるという魔法のぬいぐるみ。 つやつやしたビロードのチョッキにぴかぴかした金のボタン。 首には素敵に輝くサファイアのチョーカー。 それから海のように深い色の綺麗な目。 このぬいぐるみの名前を…といいました。 マリーはこの素敵なプレゼントに大喜びして、箱から取り出した…にご挨拶しました。 「初めまして。わたしはマリー、これからずーっとお友達よ」 「ごきげんよう。小さなマリー。僕達はずーっと友達だとも」 お返事があったのでマリーはびっくり。 そう、…は喋るぬいぐるみなのでした。 その日から二人は大の仲良し。 お喋りしたりおままごとをしたりおやつを食べたり。 それから夜に眠るときまで。 いつでも二人は一緒です。 そんなある日。 マリーが泣きながら部屋に入ってきました。 「どうしたんだい?小さなマリー」 「大変なの。お隣の子が大事にしていたフルートを壊してしまったの」 「では僕のチョッキから金のボタンを外してお金に換えておいで。 そのお金で新しいフルートを買って返してあげなさい。 それから、お隣の子とはきちんと仲直りするんだよ」 「うん!ありがとう…」 マリーは…のチョッキから金のボタンを取って涙を拭うとフルートを買うために部屋から出て行きました。 …はお隣の子と仲直りしたと言って笑うマリーを見て幸せな気持ちになりました。 それから暫くしてマリーは学校に通うようになり、…と一緒にいる時間は少なくなりました。 それでも…はマリーが帰ってきて学校の出来事を聞かせてくれる時間が大好きでした。 そんなある日。 マリーは学校から帰ってくるなりベッドに泣き伏してしまいました。 「何があったか僕に話してごらん。小さなマリー」 「卒業式のパーティで着るドレスが買えないの。 パパもママもお金を出してくれないって」 「そうか。なら僕の首についているチョーカーをお金に換えておいで。 そのお金で新しいドレスを縫って貰いなさい。 パパとママにはちゃんとお話ししてくるんだよ」 「本当に!?うれしいわ、…」 マリーは嬉しそうに…の首からチョーカーを外し、ドレスを仕立てに行きました。 …は出来上がったばかりのドレスを着てはしゃいでいるマリーを見て幸せな気持ちになりました。 学校を出たマリーは両親の仕事を手伝うようになり、家に戻らない日が多くなりました。 それでもクリスマスと両親の誕生日の度に帰ってくるマリーから仕事の話や恋人の話を聞くのが…には何よりも楽しみなのでした。 そんなある日。 久しぶりに家に戻ったマリーはとても取り乱していました。 「久しぶりだね。小さなマリー。 何か困っている事があるのかい?」 「ああ、どうしましょう、…。 私の娘が遠い国で病気になったのに、飛んでいくことも出来ないの」 「それはとても大変だ。なら僕の両目をお金に換えておいで。 それで今すぐ旅に出なさい。 娘は優しくだきしめてあげるんだよ」 「…、なんとお礼を言ったらいいの」 マリーは泣きながら…の両目の宝石を取り、大急ぎで部屋を出て行きました。 …にはもう、小さなマリーの顔を見ることも出来ません。 それでも遠い異国で娘との再会を喜ぶマリーを思い、とても幸せな気分になりました。 それから、それから。 どれくらい長い月日が過ぎたのでしょう。 あの小さなマリーの部屋でマリーの思い出を抱えて時を過ごしていた…の耳に懐かしい足音が聞こえました。 「ごきげんよう、小さなマリー。 元気に暮らしているかい?」 「ごきげんよう。…。 夫は随分前になくなったわ。 娘達も今は遠い国で暮らしているの。 私、独りぼっちになってしまった」 「いいや、違うとも。小さなマリー。 僕はずーっと小さなマリーの友達だ。 さあ、小さなマリー。 僕を膝の上に抱き上げてごらん。 あの頃のように」 もう金のボタンもチョーカーも綺麗な目もない…はそれでも。 そっと触れたマリーの手に柔らかな温もりをくれました。 そうしているうちに…の頭に温い滴が落ちました。 とめどなくあふれるマリーの涙を受け止めて…はこの上なく幸せでした。 「人間とはなんと素晴らしいのだろう。 暖かく、そして不思議に満ち満ちている。 君と友達になれて僕は幸せだ。小さなマリー」 マリーは涙をこぼしながらしわの出来た手で大切な友達をなで続けるのでした。 いつまでも、いつまでも。 二人は、友達なのですから。 おしまい /*/ [No.84] 2008/06/20(Fri) 13:17:21 |