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アリアスはただ一人、インベーダーの攻撃によって破壊されたはずの野球グランドに呆然と立っていた。 辺りは眩い日光に照らされ、黄金色の地面が揺らめくように熱気を放っている。 ―――なんで、ここに・・・? 「おい!ミヤタぁ」 不意に自分を呼ぶ声がした。懐かしい、まだ若い声だった。高校を卒業してから、自分を名字で呼ぶ仲間はいないはずなのにな、と不思議に思いつつも、声のした方向に振り返る。 そこには、アリアスの通っていた中学の野球部のユニフォームを着た少年が立っていた。馴れ馴れしく白球を両手の間でお手玉している。 と、なにかに気づいたようにアリアスは目を見開いた。 「お前・・・熊谷・・・か?」 そう、熊谷・・・中学時代にアリアスの失ったものを、再び自分に持たせてくれた、親友。 「そうだよ。何年ぶりだ?」 熊谷は日に焼けて赤くなっている顔に、ニッ、と笑みを浮かべた。 「お前・・・いきなりいなくなって・・・それで・・・」 アリアスは複雑な思いに動揺し、しどろもどろになった。なぜ?死んだ熊谷がここに? 「ああ、そう。俺は死んだんだ。殺されたんだ・・・。あの青い歩く機械にな」 熊谷は寂しそうな笑みを浮かべて、右手に持っていたボールをアリアスの方に投げてきた。 アリアスはそれを左手で軽く受け止める。中学時代には毎日のように見ていた光景だった。 「どうして、ここに?」言いながら、アリアスは曲線を描くように熊谷のグローブにボールを投げ込んだ。 「ん?・・・会いたかったから、なのかも」熊谷は受け取ったボールを再度こちらに投げてくる。 「死んだのか?俺」ボールを返しながら、アリアスは不安げな面持ちで尋ねた。 ボールをグローブの中に収めると、熊谷は鼻でふっ、と笑い、思いっ切り振りかぶる。慌てるアリアスをよそに、熊谷は突然に全力投球してきた。 そこらの人間なら取る事の出来ない速球である。しかしアリアスは反射的にボールを眼で追い、半ば叩くような腕の動きでそのボールを取った。 「ほらな」 「え?」 熊谷は一度帽子を被り直し、作ったような笑顔でこちらを見た。 「お前は強くなったんだよ。凡人よりはな。だからお前は死んでない。というか、死なない。 俺はもうこの通り、死んじまったから、背も伸びないしお前の記憶の中だけで生きてる。だけど、お前はまだこっちに来てないんだから人生も残ってるし、可愛い彼女だって作れるし、あいつらを倒す事だってできるじゃん。 な?だから、だから忘れないでくれ。俺を、俺のことを・・・!」 熊谷の表情が話しているうちにだんだんに崩れていき、眼から涙がこぼれた。薄汚れたユニフォームで目をごしごしと擦ると、帽子をとってアリアスに投げつけてきた。 「わかってる・・・。忘れない。絶対に・・・それで、あいつらを倒すから、お前の仇を討つからな!」 涙を流しながら、アリアスは地面に落ちた熊谷の帽子を拾い上げようとした。 しかし、手が帽子を掴む前に、アリアスはどうっ、と熱いグランドに倒れ伏してしまった。熊谷のスパイクと帽子だけが、アリアスの視界にうつった。 「ミヤタ・・・いや、アリアスか・・・生きてくれ、それだけでいい。俺はずっと見てる。お前をずっと・・・」 ずっと、ずっと・・・。熊谷の声が耳の奥で反響し、アリアスは涙が絶え間なく流れていくのを感じた。熊谷のスパイクが目の前から白く薄れてゆく。 気がつくと、アリアスはマザーのレーザーが降り注ぐ戦場に、ぐたりと横たわっていた。体を動かそうとするが、どこもかしこも激痛が走る。目の端には自分が流したのだろう、涙の水溜りができていた。 「う・・・うぅ、く・・・ま・・・たに・・・」 アリアスは苦しみながら手元の土を、力の限り握りしめた。 熊谷・・・熊谷、わかったよ。生きる。でも守りたいんだ。もっと強くなりたいんだ。絶対に死なない。俺は・・・EDFの隊員なんだ・・・! 怒りと悲しみで震えるアリアスの耳に、ゆったりとした足音が聞こえてきた。 視界に、その足音の張本人のブーツが見えた。それは、アリアスには今さっき見た熊谷の足に重なって見えた。 「く・・・また・・に?」 アリアスは体が動かないので、眼球だけを動かしてその人物の顔を見上げた。 その人物はEDF正式多機能内臓ヘルメットを深々と被り、血だらけのアリアスを悠然と見つめていた。 「く・・・!・・・アン・・タは?」 痛みに顔をしかめながら、目の前の男に手を伸ばしていた。 気づけばこの男、レーザーの絶え間なく降ってくる戦場で、よく平然と突っ立っていられるものである。 男の表情はバイザーでよく見えないが、隠れていない口元に微かに笑みを浮かべた気がした。 男は微笑みながらこちらに近づくと、アリアスのギリギリ手の届く場所に一つのカプセルを置いた。 そしてもう一つ、傍にライサンダー2を置くと、振り返って走り出した。走った先には青いコスチューム―――ペイルウィングの女性が待っていた。 アリアスはやがて見えなくなるまで、二人の背中見つめていた。 本日2本目! あ、『熊谷』のわからない方は、このスレの「戦士の憂鬱」のレスを見てください〜! 長くて未熟な文ですが、少しでも読んでいただければ光栄です^^ [No.10488] 2006/03/09(Thu) 17:24:56 fw1.tcn-catv.ne.jp |
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