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No.11409へ返信

all ショートウトーリー集18 - ケタ - 2006/10/15(Sun) 10:12:11 [No.11405]
Re: ショートウトーリー集18 - 流 - 2006/10/17(Tue) 18:07:02 [No.11408]
武器開発の風景 - フェアリー - 2006/10/17(Tue) 16:49:08 [No.11407]
「結果」 - jagaimo - 2006/10/17(Tue) 18:55:32 [No.11409]
「邂逅」 - ケタ - 2006/10/17(Tue) 23:50:34 [No.11411]
「計画」 - ケタ - 2006/10/21(Sat) 07:13:24 [No.11412]
「帰るべき場所」 - jagaimo - 2006/10/21(Sat) 19:59:40 [No.11413]
「侵略の日」 - ケタ - 2006/10/22(Sun) 10:25:41 [No.11414]
「称賛という皮肉」 - jagaimo - 2006/10/22(Sun) 23:42:45 [No.11415]
「未完成のEDF隊」 - ケタ - 2006/10/25(Wed) 07:33:19 [No.11416]
「ファーストコンタクト」 - ケタ - 2006/10/31(Tue) 22:52:22 [No.11422]
防衛戦 - 不運な会社 - 2006/11/03(Fri) 05:56:17 [No.11423]
「避難」 - ケタ - 2006/11/05(Sun) 04:48:31 [No.11424]
質問及び提案 - フェアリー - 2006/11/14(Tue) 16:55:37 [No.11432]
「安全な場所」 - ケタ - 2006/11/14(Tue) 20:10:21 [No.11433]
「終わる世界」 - ケタ - 2006/11/18(Sat) 23:30:33 [No.11434]
Re: 「終わる世界」 - ケタ - 2006/11/19(Sun) 00:03:45 [No.11435]
SSの最後に - jagaimo(あす - 2006/11/19(Sun) 18:50:12 [No.11436]
Re: SSの最後に - 卍流刃若火卍 - 2006/11/20(Mon) 10:34:29 [No.11437]
Re: SSの最後に - ケタ - 2006/11/20(Mon) 20:56:57 [No.11438]
Re: SSの最後に - フェアリー - 2006/11/21(Tue) 17:02:19 [No.11439]
Re: SSの最後に - ぴーす - 2006/11/21(Tue) 19:20:47 [No.11440]
ご苦労様でした - ヘリ兵士 - 2006/11/25(Sat) 14:29:13 [No.11441]
勝利絶対不能 - ヘリ兵士 - 2006/11/25(Sat) 14:44:08 [No.11442]
出撃準備 - フェアリー - 2006/12/11(Mon) 16:04:29 [No.11462]
左腕 - フェアリー - 2006/12/22(Fri) 15:59:55 [No.11467]
対メカソラス用兵器4 - フェアリー - 2006/11/14(Tue) 16:26:25 [No.11431]
対メカソラス用兵器3 - フェアリー - 2006/11/14(Tue) 16:23:57 [No.11430]
対メカソラス用兵器2 - フェアリー - 2006/11/14(Tue) 16:18:47 [No.11429]
対メカソラス用兵器1 - フェアリー - 2006/11/14(Tue) 16:15:47 [No.11428]
「報告」 - ヘリ兵士 - 2006/10/17(Tue) 21:16:27 [No.11410]


「結果」 (No.11407 への返信) - jagaimo

「へぇ。たいした速さじゃないの。強引な動きだけどね」
バイクの後部座席に跨ったミヨコが双眼鏡を覗きながら感嘆した。
視線の先ではいきなり現れた謎の部隊によって、デパートに砲撃を加える戦車を次々と沈黙させていた。
圧倒的な戦力に、反抗勢力の歩兵部隊は捻り潰されている。

「スーツのおかげかしらね。まぁ、動体視力は中々かも」
ぶつぶつとミヨコは感想の言葉を並べ立てるが、前部座席に乗っているムカイは聞いてもいないようだ。

ミヨコはデパート内で3個小隊を黙らせた後、こっそりと抜け出してきたのだ。

「力を制するには力しかない、か」
ぽつりとムカイが漏らした。
ミヨコは抜け目なく、というか抜け耳なくその言葉を聞き取ると、開き直ったように言った。

「昔からわかってることじゃないの。今更なにいってるのかしら?」

「・・・・・・」

「人間は平和な時代になればなるほど、安全な場所にいられればいられるほど、そう考えるわ」

そうだ、とムカイは反感を覚えながらも頷いた

それは人間がこの地球に誕生して、何千年も昔からわかっている事だった。

インバーダーに親や家族、恋人を殺されれば、どんなに弱い民間人も銃を取る。
EDFの隊員にも、自分の大切な存在を奪われたのが理由で入隊してきたものも少なくない。

しかし、人間が皆、そうなわけではない。憎悪を、憎しみを忘れて敵に回る人間もいる。
だからインベーダーとの戦争中にも関わらず、人間同士の殺し合いが行なわれているのだ。


「・・・奴らには、間違った剣を持たせたくはない」

「そうね。せめて、同じ人間に刃を向けて欲しくないわ。だから私達がいるんでしょ?」

「アイツの願いだ」

「ふふっ。私の夫は理想主義者よ。ま、やれるだけやるのがあの人の性格だしね」


・・・・・・

・・・・・・


「攻撃が、止んだ?」
キリヒトはアリアスの傍らにしゃがみこんだまま、天井を見た。
ローズの周りでお祭り騒ぎな隊員達はあまり気付いていないようだが、不思議そうに天井を見上げる隊員もいる。

「う・・・」足元でアリアスが唸るのが聞こえた。

「大丈夫か?」

「ええ・・・耳はなんとか。気持ち悪いですけど・・・」
アリアスは額に手を当てて、失った体力を取り戻すために少々の眠りに入った。

キリヒトは「少し離れる」というと立ち上がった。
周りを見回すと、ケタやメイ、シズカなど落ち着いた面々は気付いているようだ。


「砲撃が止んだな・・・」
ローズも気付いたらしく独り言のように言った。

それを察したキリヒトは、いち早くドアを開けて階段に出た。

「お、おい・・・」
後ろから声がかかる。
「少し見てきますよ。どうせどこも同じだ。まぁ、安全確認ですね」

陽気に切り返すと、キリヒトはそそくさとライフルを肩に担いで階段を上がった。
一階に上がると、すでに一階部分の天井は落ちて、とても通れる場所などなかった。

ふと、どうしてあんなに急いで部屋を出たのだろうと思った。
わざわざ一人で来なくてもよかったのではないだろうか。
考えながら、3階から他の階段に移る。

やはり自分は人と居るのが苦手なのだ、と苦笑しながらも、連絡階段の陥没していた床を身軽に下りた。
ひしゃげた手すりが上手い具合に飛び出ていて、案外渡りやすかった。

そして、やっとのことで外へ通じるドアにたどり着いた。

もし、まだ自分の事を敵と判断するものが居れば、自分は死ぬだろう。
そんなことはおそらくないと思うが、やはり扉をあける際に息を飲んでしまう。


―――ガシャ・・・


「ん〜?」
恐る恐る首だけを扉から出して様子を窺う。
周りの風景を見てから、キリヒトは恥ずかしげに頭の裏を掻いた。

どうやら見当違いな場所から出てしまったらしい。おそらく正面玄関の真裏だろう。

あるのは砲塔部に大穴の開いたギガンテスが一両。ライサンダーにでも狙撃されたような痕だ。
車体は黒く焦げていて、とても操縦手が生きているとは思えなかった。

―――また、人間が人間を殺したのか・・・

そう考えると憂鬱になってくる。
気を取り直し、デパートの壁に沿って進む。

正面側に出るとEDFの部隊が戦車の残骸の処理や、負傷者の輸送をしているところだった。
なにがあったのだろう?

自分達の火器では銃弾が身体に軽く食い込む程度の威力しかない。

ふと、大破したギガンテスに見て、キリヒトは目を剥いた。
EDF基本カラーである青のボディに、赤い血がべっとりとついていた。

キリヒトは目つきを鋭くすると、一番近くにいた若い隊員に声をかけた。

「おい」
機嫌と目つきが悪いせいか、尖がった声を出していた。

「え?はい?」
ぽけーっとしていた隊員は、不意に水をかけられて戸惑っていた。

「なにがあった?」
キリヒトの問いに、隊員はしばし難しい顔で考えると苦し紛れに言った。

「なにがって・・・わからないんです。ローズ元帥の声をみんなが聞いて・・・それでみんな銃を降ろしたんですけど、
急に戦車隊と守備隊が攻撃をし始めて・・・止めようとしたら銃で脅されて・・・そしたら今度は変なヤツラが出てきて、攻撃をしてたヤツはみんな・・・」

隊員は思い出したくもない、といった表情で言葉を搾り出した。
「殺されました」

おそらく、部隊の大半はローズ側に回ったが、部隊には一部の反抗勢力が紛れていたのだろう。
それも中々の地位にある人間が頭に立って。
そしてその人物がデパートの外で待機する部隊に反抗勢力を仕込み、もしもの場合に応じてローズ殺害を完遂できるようにしたのだ。

「その変なヤツラってのは何人規模だ?」

「わかりません。たぶん10人以内だと思いますけど・・・全員同じような服をきて・・・人間には無理ですよ!あんな動き!」

「?」

「あんな高く飛んだり、早く走ったり!たぶんもうEDFにはインベーダーが介入して―――!」

「もういい」
興奮状態に陥った隊員を手で制すと、「自分で味方に敵を作るな」と言った。

とはいったものの、まったく思い当たる節などない。
まぁ、人間ではあるようだ。オーバーなんちゃらの集団が介入するのも微妙である。

これがローズ復活の物語の結果か・・・。

キリヒトは唇を噛んだ。
不明なところが多すぎる。情報は集めておいた方がいいかもしれない。
ひとまず、今の状態で最高指揮権は誰に移っているのだろうか・・・?

「なぁ」
今度は中年の隊員に話しかける。

「ん?」

「今の指揮権は誰に・・・」
移っているんだ?と聞こうとしたが、自棄にでかい声で遮られた。

「あんた建物に立てこもってた人か!?」
なぜわかるのかはわからないが、見なかった顔、とやらで気付いたのだろう。

「ええ、そうですけど」

「ローズ元帥はどこにいるんだ?!さっさと救助しないとまずいんだが、どこに隠れてるかわからねぇんじゃ助けるのも無理だ!」
一気に詰め寄られキリヒトは顔をそむけながら答える。

「ええ、すぐに案内しますよ・・・。まぁ、まずはその手を離してくださればすぐにでも」

キリヒトの言葉に隊員は「す、すまねぇ・・・」と胸倉を引っ掴んでいた手を離した。




こうして、ローズらを含む約80名の隊員達は倒壊寸前のデパートから救助された・・・。


[No.11409] 2006/10/17(Tue) 18:55:32
fw1.tcn-catv.ne.jp

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