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No.11508へ返信

all 戦士たちの一日 - エア - 2005/10/08(Sat) 09:45:55 [No.8479]
ショートストーリーまとめてみました - フェアリー - 2007/06/21(Thu) 17:16:03 [No.11486]
Re: ショートストーリーまとめてみました - ヘリ兵士 - 2007/07/05(Thu) 21:45:10 [No.11489]
Re: ショートストーリーまとめてみました - フェアリー - 2007/07/06(Fri) 10:20:08 [No.11490]
Re: ショートストーリーまとめてみました - 三枝 - 2007/07/07(Sat) 12:43:51 [No.11498]
三枝さんへの返信 - フェアリー - 2007/08/14(Tue) 20:34:47 [No.11509]
ケタの戦い - フェアリー - 2007/06/27(Wed) 14:24:55 [No.11487]
第51遊撃隊 - フェアリー - 2007/07/06(Fri) 11:09:50 [No.11491]
作戦会議 - フェアリー - 2007/07/11(Wed) 18:20:18 [No.11499]
英雄たちの初対面 - フェアリー - 2007/07/25(Wed) 21:52:26 [No.11500]
魔塔 - フェアリー - 2007/08/02(Thu) 12:57:47 [No.11501]
シェルター防衛戦 - フェアリー - 2007/08/12(Sun) 13:25:43 [No.11508]
巨大生物の巣窟 - フェアリー - 2007/08/19(Sun) 10:06:05 [No.11511]
巨獣・ソラス - フェアリー - 2007/08/29(Wed) 23:09:16 [No.11512]
Re: 巨獣・ソラス - フェアリー - 2007/09/06(Thu) 22:07:40 [No.11515]
戦士の休息 - フェアリー - 2007/10/08(Mon) 23:02:36 [No.11519]


シェルター防衛戦 (No.11501 への返信) - フェアリー

―――――――――――――――――――――――――――
時間はケタとフェンナが出会う少し前に戻る。


決まった所属部隊のない三枝はシェルターの警護に当たる部隊へと配属が決まっていた。
今、一緒に見張りをしているのは、
隊長のマナ・ベアルグ小尉

隊長と仲の良い御剣 清 (みつるぎ きよし)伍長の二人だ。

静かなシェルターの通路に三人は座っていた。
見張りの退屈な仕事に飽き飽きしていた頃。

「おい・・・三枝。ちょっとレーダー見てくれないか?」
梶谷が三枝に話しかける。

「何だってんだ御剣?いきなり・・・・」
三枝は腕時計サイズの小型レーダーを覗いて驚愕した。
「なっ!!敵に囲まれてるな……?でも、何もいないぞ?」

「俺も囲まれているのさ、いくら故障を起こしやすい地下用レーダーでも二人同時に壊れるか?マナ隊長は最新式でしたね?
近くにいる奴のおおよその数が分かるっていう」

「カウンターは67を示しているわね・・・あ、増えたね」

「ろく・・・・・・・しかもまだ増えているだって?」

「急いで対策をしないとね・・・・
三枝君、詰め所にいる交代要員に救難要請を出して。
そのうち一人には迎撃兵器の準備を頼むように言ってね。
私は後方へ回って、支援の準備をしているね。
御剣君はオペレーターに、このことを報告してちょうだい。」

三枝隊は無線のスイッチをいれた。

「地下シェルター付近に巨大生物多数。今すぐ救援を!!迎撃兵器の準備も頼む・・・わかったな?」

三枝が救援要請を終え一呼吸入れたそのときだった。

ガラッ!

無機質な音とともに、目の前の天井が崩れ、巨大生物が雪崩れ込んで来た。慌ててマナ達は攻撃を始めたが、相当な数がいるらしい、蟻は倒しても倒しても減るどころか増えていった。

「くそ、やるぞおおお!!」
三枝はリロードを終え蟻に狙いを定めた、まだ味方は来ない。
マナ隊長はMXイクシオンとイズナーの両手もちで応戦している。ペイルウイングの武器は実弾を放つわけではないため、両手持ちでも、その体にかかる負担は見た目ほどつらくない。

しばらくして背後より聞こえた、銃声が一気に蟻を屍に変えた。

「援護する!」
そう言って、十数人の陸戦兵が駆け寄ってきた。
場所が場所なため、アサルトライフルやショットガンといった爆発物以外の装備をしている。有事の際に備え詰め所を入口の近くに作ってあるため到着はとても速かった。

その中の一人は迎撃兵器のひとつ『固定式レイピア』を起動、壁を這っていたアリたちを全滅させた。

『囲まれている』ふと、先ほどの言葉が三枝の頭を過ぎった。
(・・・まさか!)
上を見る、予想通り天井にひびが入っている。

「全員、上だぁ!!」
三枝が叫ぶ。
三枝は以前、満身創痍のヘリ隊員に言われた、『蟻の背中に・・・』という言葉を思い出した。壁にひびを発見した直後に梶谷の手を強引にひっぱり、蟻の死体の下に隠れた。

カラッ!
天井が静かに崩れる。一つや二つじゃない。
奴らは酸の雨を降らし多くの隊員がそれをまともに食らった。
マナ隊長は視野が広く、すぐに危険を察知してとびのいた。

うまく避けた三人と、迎撃兵器を操っていた兵士、運よく当たらなかった者のみ、無事という状況の中、この状況では助けることは
ほぼ不可能と悟ってか、息絶え絶えの兵士も何とか銃を構えて蟻を撃つ。あいた穴よりのぞかせた巨体を丁寧に打ち落とし、第一陣の攻勢が終わる。

負傷した兵はすぐさま救護室へ送られた。

「ありがとう三枝。あんなとっさの判断ができるなんてすごいな」

「以前蟻の死体を利用してうまく戦った人がいてね・・・」
(あ・・・組織が違うとはいえ、また上司にため口をいってしまった)
と相変わらず三枝は敬語に慣れていない。


第二陣が来る前に戦闘の準備を万全にしなければならない。
イリスの命令で、防衛用の門を閉め、陣形を立て直した。

しばらくすると、敵の第二陣が感知された。

「3・・・14・・・・27・・・どんどん反応が増えてる。」
カウンターが130を示したと思うと一匹目が顔をのぞかせた。隊員の少なくなった状況でさっきより大量の数。次々と溢れ出す巨大生物の群れ。徐々に酸をよけることが困難になる。固定式レイピアでたたき落とすも、その付近はむざむざ死にに行くようなものと
分かったのか、蟻たちはそこへは近寄らなくなる。

「やばいな・・・こりゃ。」
と、三枝がつぶやく。

(まずいわね……こうなったら……)
マナは、『起動すれば最後、敵味方見境なしに破壊を振りまく支援兵器』と、いわれている『パンドラ』を起動させる

「みんな、当たったらごめんね。とりあえず今は奴らが怯んでいるうちに殺っちゃって。」

隊員にこそ当たらないものの、防衛門を壊すささやかな助けであることは間違いない。しかし、確かに奴らは怯んでいる。
今はマナの言うとおり、奴らが怯んでいるうちに殺るしかない。

だが、こんどは噛みつき専門の赤色甲殻中、通称「赤蟻」がやってきた。体が大きく生命力の強い赤蟻は、黒蟻の盾となり黒蟻に攻撃のチャンスを与えた。

「くそ、作戦を立てるなんて……これほどまでに賢いのか、
この蟻どもは」
御剣は憎しみをこめて、そう吐き捨てる。
固定式レイピアが再び起動すると油断して近づいていた蟻がわずかにくたばる。

マナ達は第2陣が来る前に待ち構えていた『防衛門』に空けられた、射撃用の穴から敵を打ち続けるが、その門はもはや蟻の酸とパンドラの攻撃により限界に達していた。

(このまま第二の防衛門の向こうにいくべきか?それとも耐えるべきか?)

その際マナは一瞬だけレーダーを覗いてみた。
「84……半分も終わってないってわけね。やばいかな?」
実際は130から数が大きく増えていただけなのだが、不利な状況のせいで心理的に弱気になり、正しい判断ができていなかった。

そんな時に、名物となっている上司の声が聞こえる。


「なんだここは・・・泣きたくなるような匂いだ・・・くそっ・・・
こんな戦闘さっさと終わらせてきれ……

沼史の部下が無駄話をする上司の話を遮り高らかに宣言した。

「救援要請のあった部隊、『シェルター護衛隊・渋谷地区』に、われら『奇襲部隊ブリッツ―S』ただいま援護に入ります」



沼史 明彦(ぬまし あきひこ)大佐とその部下。
性格は壮絶な泣き上戸だが、速攻を得意とするこの奇襲部隊は非常に頼りになる。

(援軍か……ありがたい)
彼らはアサルトライフルで次々と蟻たちを血祭りに上げていく。
大佐だけはスナイパーライフルを使っている。
それでも生命力の強い赤蟻はなかなか死んではくれなかった。
奴らの残りは三十匹ほどいるだろうか?

防衛門の向こうにいて簡単に手を出せないマナ達をあきらめて、
今度こそ残りの誰かを殺そうと考えているようだ。
その『誰か』は沼史の部隊。

三枝は、奴らが後ろを向いたのを見計らい、手りゅう弾をブン投げて、向かっていった三匹をしとめる。
二つ目の迎撃兵器、固定式サンダースナイパーの起動で奴らを足止めしている間に、沼史の隊が十六匹、マナの隊はショットガンで集中攻撃をして、十匹ほどしとめる。マナは至近距離でイズナーを撃ち、2匹を巻き込んで、敵は全滅した。


攻撃が収まり全員がレーダーを見る。
近くに敵はいない。全員が胸をなでおろした。

「ありがとうございます沼史大佐。」
その場にいる迎撃にあたっていた隊員の全員が敬礼した。

「ここにいると気分が悪い・・・私は帰る。」
「すみません、そういうことなんで、私たちも・・・」
沼史の部隊はお礼を言うまもなく帰っていった。

「なんだそりゃ・・・・」
三枝が呆然として言う。
「奇襲部隊……奇帰部隊ともいえるな、あの速さは。
何にせよ死者はゼロ。感謝は尽きないよ」
御剣は額の汗をぬぐって座り込んだ。

「それにしても、沼史大佐は一体何と言おうとしたのでしょうか?」

「『こんな戦闘さっさと終わらせてきれ……』きれ、か……」
三人が考え始めたどうでもいいことは、試行錯誤のマナが結論を出した。

「『きれいな空気を吸おう』じゃない?匂いを気にしていたようだし」

「それだな」
と、二人が答える。
そんな会話を続けながら、いつの間にか過ぎていた交代時間に気づいて、三人は詰め所に戻り、一気にたまった疲れを取り除いた。



――――――――――

沼史が帰ったころケタはやっと地下シェルターの付近にいた。
地下シェルターの周囲には、シェルターを守るための頑丈壁が張り巡らされている。その壁は酸で腐食し、大きな穴が空いている。

「こちらケタ!シェルター内の状況は!?」
ケタが通信機にむかって叫ぶ。

「侵入した巨大生物の数は少数が地下をうろついているくらいですが。先ほどの救援要請はもう解除されました。」

「あら、俺はもうお役御免か?」

「いえ、でも妙なことが起こってますので・・・そちらの調査に行ってもらえると・・・」
オペレーターが困惑している。

「妙なことって?」

「隊員のいない場所で巨大生物の生体反応が途絶えてます・・・あ!また1つ消えました!」

(どういうことだ・・?)
ケタは少し迷ったが、その「異変」の場所を聞き、そこへ向かうこよにした。

地下シェルターはその地区の全民間人を収容することを目的に作られているため、その大きさはかなりのものだ。
ところどころに通路があり網目状になっている。
オペレーターの話によるとさっきのことがあって現在主要な通路以外は封鎖されているはずなのだが。
封鎖された区域で異変が起こっているという。

(とりあえず、もう急ぎの用はないのだな。さてと)
ケタは全身の汗をハンカチで拭い、携帯食として持ってきたドライマンゴーをかじり、水を飲んで、ようやく異変の起きているその場所へ向かう・・・。


通路に1人の男が立っていた。

両手にもっているのはスナイパーライフルだろうか?妙に年季が入っている。しかし、一番目をひいたのは、その男の格好だった。

ボディーアーマーも着てなければ、ヘルメットもかぶっていない。
カジュアルな服装に身を固めているので、銃さえなければそのへんにいる普通の青年にしかみえない。

その男はケタに気付くとニヒルな笑いをみせた。
ケタは自然と身構えた・・・この男の雰囲気はどこか普通じゃない、
そう感じたのだ。

だが、男に敵意はなかった。
「むこうの敵は片付いている・・行くならこの先を右だぜ・・」
そう言いライフルのマガジンを取り替え始めた。
ケタは静かに自分の通信のスイッチを切り・・銃を向けた!
男の後ろに迫っていた巨大生物の頭が無数の銃弾で打ち砕かれる!

「この先の右ってトコからきたのかな?・・・ぬお!!」
男の拳銃の銃口がケタにむいている。しかも、彼の位置は先ほどたっていた場所から数メートルは離れていた。

「借りができたかな・・・でかいくせに静かな奴らめ・・・」
「あんたこそ、いい反射神経だな・・・」

男はしばらく考えていたが、思いもよらないことを口にした。
「あんた・・・携帯電話の番号教えてくれないか??」
目を丸くしているケタにかまわず、男は続ける。
「見てのとおり俺はEDF隊員じゃない・・携帯でもなければあんたに
連絡が取れないだろ?」

やはりこいつは民間人なのか・・・。
ケタは少し迷ったが、自分の名前と携帯の番号を教える。

「OK。竹下慶治さんか・・俺の名は、そうだな「K.M」とでも読んでくれ・・・いつか借りは返すからな・・」
そういうと男は再び不敵に笑いかけ、どこかへ走り去っていった。
(オペレーターになんて言おう?まさか民間人がいたとは言えないし。ヘルメットが壊れた隊員とでも言っておくか。)

しばらくしてケタは相手の番号を聞いてなかったことに、気付いた。


―――――――――――――――――――――――――――

ケタはさっきまで激戦が繰り広げられていたであろう、シェルターに戻り、壊れかけたショットガンを修理に出し。『兵器蔵』に行き、
代わりのショットガンを手にする。
(守護霊の憑いていない物でも壊れてないだけいいだろう。)
と、自分に言い聞かしてそのショットガンを持ち出した。

携帯が鳴っている。なぜか非通知番号だが、相手は一人しかいないだろう。万が一のため、先にアサルトライフルのマガジンを取替え、通話ボタンを押す。

「慶治さんだよな?」
相手はやはりK.Mだった。

「ケタって呼んでくれ。こんなに早く電話かけてくるとは、どうかしたのか?」

「・・・今、物資運搬通路なんだが・・巨大な穴が空いている。
詳しいことはわからないが、どうも地下道へ続いてるんじゃないか?」

その言葉にケタは戦慄した。・・・が、たしかに合点がいく。
強化扉を破って侵入した、にしては巨大生物の数が多いと思っていたのだ。

「この先がもし、インセクトヒルの内部に繋がってるとしたら・・・
逆にチャンスだとは思わないか?」
K.Mの不敵そうな笑いが聞こえてくる。

「お前・・・軍の通信盗聴してるだろ・・」

インセクトヒルの名称や、存在はまだ情報規制されているのだ。

「おっと・・・んじゃ、また今度な」
そう言うと電話を切られてしまった。

やれやれ・・・こっちの通信のスイッチを切っていてよかった。
今の通信を軍に聞かれていたらちょっとやっかいになっていただろう。

だが・・とりあえずその「大穴」そして、インセクトヒルに繋がっている
可能性のことは重要だろう。
ケタは通信機のスイッチを入れた・・

―――――――――――――――――――――――――――

ケタが通信をいれてから約20分後。再び通信が入った。





「……わかりました」

EDFはインセクトヒルの破壊に当たっていた兵隊を一部、明日に穴の中に向かわせるという決定をした。その際、ケタは第7混成部隊というチームに配属が決まった。

「また、仲間を持ったのか・・・俺は・・・・」
自分は前大戦でも仲間を失い今大戦でも失った。
(シ-リウ隊長・・・俺も仲間も守っ・・・・)
持っているショットガンを見つめようとしたが、形見のものではない事を思い出し、手を止めた。

地下にいると実感がわかないが、今はもうすっかり夜だ。ケタはその日、このシェルター泊まることにした。
―――――――――――――――――――――――――――
7月9日  天候:晴れ


なんか……今日はいろいろな人に会った(−−;)疲れた・・・
あの人たちがワカを助けてくれたってんなら本当に感謝だな。
名前を知ってると、それだけで死んでほしくないって言う俺はやっぱ甘いのかな?
K.Mあいつのことは今まで噂にすら聞いたことがなかったけど、
前大戦は参加してなかったのか?それともすれ違いだったのか?
何にせよ、要注意人物には変わりないか

壊れたショットガンを明日、取りに行けるように、離れていても見守っていてください、シーリウ隊長。


[No.11508] 2007/08/12(Sun) 13:25:43
124-144-194-229.rev.home.ne.jp

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