戦士たちの一日 - エア - 2005/10/08(Sat) 09:45:55 [No.8479] |
└ ショートストーリーまとめてみました - フェアリー - 2007/06/21(Thu) 17:16:03 [No.11486] |
└ Re: ショートストーリーまとめてみました - ヘリ兵士 - 2007/07/05(Thu) 21:45:10 [No.11489] |
└ Re: ショートストーリーまとめてみました - フェアリー - 2007/07/06(Fri) 10:20:08 [No.11490] |
└ Re: ショートストーリーまとめてみました - 三枝 - 2007/07/07(Sat) 12:43:51 [No.11498] |
└ 三枝さんへの返信 - フェアリー - 2007/08/14(Tue) 20:34:47 [No.11509] |
└ ケタの戦い - フェアリー - 2007/06/27(Wed) 14:24:55 [No.11487] |
└ 第51遊撃隊 - フェアリー - 2007/07/06(Fri) 11:09:50 [No.11491] |
└ 作戦会議 - フェアリー - 2007/07/11(Wed) 18:20:18 [No.11499] |
└ 英雄たちの初対面 - フェアリー - 2007/07/25(Wed) 21:52:26 [No.11500] |
└ 魔塔 - フェアリー - 2007/08/02(Thu) 12:57:47 [No.11501] |
└ シェルター防衛戦 - フェアリー - 2007/08/12(Sun) 13:25:43 [No.11508] |
└ 巨大生物の巣窟 - フェアリー - 2007/08/19(Sun) 10:06:05 [No.11511] |
└ 巨獣・ソラス - フェアリー - 2007/08/29(Wed) 23:09:16 [No.11512] |
└ Re: 巨獣・ソラス - フェアリー - 2007/09/06(Thu) 22:07:40 [No.11515] |
└ 戦士の休息 - フェアリー - 2007/10/08(Mon) 23:02:36 [No.11519] |
クイーンとの戦闘の翌朝・・・と、いうより昼。 ケタは戦闘の疲れからか、昼になろうというのに、いまだ眠っていた。 「ご飯食べにいくよ!」 ワカが耳元で大声をだし、ケタがようやく目を開ける。 (そうだった・・・明日昼食をみんなで食べるって話を地下道でしてたっけ。) 寝ぼけた顔のケタだったが、なんとか準備をすませ食堂へ向かった。 「遅いッスよ!2人が最後ッス!」 伊地山が座っている席から大声で叫び、 御剣・マナの二人は仲良く話している。 「おい・・・もう少しそっちいってくれ、俺が入れねぇ・・」 EDF隊員の制服を来たK.Mがいつのまにか後ろに立っていた。 「昨日のおいしいところもってった奴じゃないか・・やっぱ隊員だったんだな。」 「あら、知り合い?」 マナは気絶していたからK.Mのことは知らない。 「町田 海斗って、名前だ。K.Mって呼んでくれ。 階級は秘密ってことで。」 ケタはK.Mをひっぱり質問した。 「お、お前、どうしてここに!?それにその服は?それとあの名前は?」 驚いたケタが小声で質問するが、K.Mは笑いながら、 「コスプレイヤーのダチに作ってもらったんだ、パっと見じゃわからないだろう?それに、避難所の配給の飯にちょい飽きてな。名前はもちろん偽名だ」 と、なぜか自慢そうに服をひっぱってみせる。 よ〜く見るとたしかに素材が違うのがわかった。 「さー!とりあえず何か頼んでくるッスよ!」 伊地山がまた大声を張り上げ、隣の三枝が耳を押さえる。 ケタは昨日の戦いのことを考えていた。 まず、ワカのあのとっさの行動。中和スプレーをばらまくだけでは不十分だった防御をうまくサポートしてくれたのは称賛に値する。 そして、御剣。最後の最後まで取っておいた武器をクイーンの腹にぶち込んだ。あれがなかったら俺たちは全滅していただろう。 そしてマナ、見せ場がなかったが、御剣の上司だ。弱いわけはなかろう。 伊地山はとにかくうるさい。結構活躍したと思うのだがどうも印象にない。 そして三枝はかんしゃく玉の使い方がうまい。だが、 使い方はありいえないほど激しく、ソリに積んできたビン15個のうち11個も使ったぜいたくな男だ。 普通の人は2〜30粒ほど取り出して投げるが、こいつは瓶ごと投げている。ひと瓶400粒ほど入っているから、燃費が悪い。 寄せ集めのはずが大層な精鋭部隊だった。ケタは一通り考える と楽しく話をしているみんなの話に加わった。 そして、数分後・・・ 「これ・・・俺は無理だと思うぜ・・・」 K.Mがそう呟く。 ケタ達のテーブルには10数人分はあろうかという程の料理が並べられているのだ。もはや致死量といっても過言ではない。 しかし、体重制限のあるペイルウイングの二人のために鳥のささみや海藻サラダ・冷奴・こんにゃく料理を頼むなど、微妙な気遣いがある。 「なに言ってるッス!これくらいなんとかなりますって!」 注文してきた伊地山が自身満々に声を張り上げる。 「ま・・とりあえず食うだけ食ってみるか・・」 ケタが自分の小皿に料理を取ろうとした時、1人の男が食堂に入ってきた。 地下道へもぐる前に会ったヘリ隊員だ。 「ヘリじゃないか・・・飯、一緒にどうよ。食いきれそうにないから。」 「ん・・・あぁ、いいのかぃ?」 ケタが声をかけにヘリも素直に応じ、同じテーブルに腰掛ける。 ・ ・ ・ 1時間後。 なんとか料理も減ってきたが、もはや腹は限界だ。 伊地山はそれでも食べ続けていたが、他の人はコーヒーやデザートに切り替えている。ワカやマナはペイルウイングだというのに、 あんなに食べてもいいのだろうか? 「しっかし昨日はしんどかったなぁ……クイーンのとどめ刺してくれてありがとうな」 コーヒーに砂糖を入れつつケタが呟く。ケタはスプーンで掬うのではなく、掻き出すように砂糖を入れる。 「あ、あぁ。あの状況でクイーン撃破できたのが奇跡みたいだよな」 ヘリがその砂糖の量に驚きつつ答える。 もはや窮地にたたされている日本や各国EDFにとって、ソラスの撃破、巣の破壊はビッグニュースだった。 現状でEDFに残されている戦力は少ない・・・ が、それでもインセクトヒルを破壊し、ソラス、そして巣の破壊。 その事実は「隊員の中に凄いやつらがいる」という噂とともに、 EDF隊員の中に大いなる希望を植え付けていった。 「ここ・・座らせてもらってもいいかな?」 不意に1人の女性が声をかけてきた。サラサラの赤髪でかなりの美人だが…… ケタが誰だか思い出せずにいると、 「げ・・・元帥……」御剣がそう呟いた。 「ね、姉さん……」マナがそう囁いた。聞かなかったことにしよう。 そうか。ローズ元帥か! 私服を着て、髪をまとめているせいか、いつもの厳しい雰囲気が全くなく、みな一瞬ローズ元帥だとは気付かなかったのだ。 マナがローズと血縁関係にあることは『ベアルグ』の姓で 気づくべきだった。 K.Mも耳ざとく聞いていた。 「あ、どーぞどーぞ、飯ならまだいっぱいあるッスよ〜 マナのお姉さん」 御剣からは離れた位置にいるせいか、ただ1人状況に気付かない伊地山がローズに呑気に声をかける。 ローズは優しく微笑んで、置いてあるサラダとパンをを少しだけ皿に取った。 「みんなそう緊張するな・・せっかくの食事なんだからな」 ローズはそう言うが、EDFの最高権力者といっても過言ではない人物の前で緊張しないほうがおかしい。 伊地山にとっては「マナの姉」で、マナにとっては姉なのかもしれないが……その様子にローズは少し寂しそうな笑みを見せる。 ローズがふと眼をやると、食堂だというのにショットガンを背負っている男がいる。 (変わったやつだな……ん?なんだろう、あの銃には見覚えが) ローズは記憶の糸を手繰り始めた。 (あれはたしかSG99・・・だが、量産品とは少し違う・・。) SG99の試作品を扱う隊員の話をローズは2人程知っていた。 1人は前大戦に名誉の戦死をした女性隊員……そしてもう1人は…… (そうか……あれがシーリウ少尉の後を継いだケタとかいうやつか……妹もなかなか上質な仲間に出会ったようだな) 「さて、今の戦況だが」 ローズは全員を見回して唐突にしゃべりだした。 「インセクトヒルと巣が破壊されて、これでなんとか攻撃に移れる。 誰が破壊したかは、報告がきてないが、ありがたい話だよな」 そういってローズの視線がヘリにむけられる。 ヘリは口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになりながら、何も言わずに飲みほした。 (フェンナが言っていたちゃんと見ている人ってローズ元帥!?) 「あと、もう少しだけ無理な作戦に付き合ってくれ…… この勢いならばもうじき戦いは終わるのだから」 パンを食べ終えたローズは、もう一度ケタ達を見る。 「そうだ、地底に向かった他の者たちもクイーンを撃破した部隊はいくつか存在するが、クイーンと遭遇して全員を生還させられたのはお前らを含め2チームだけだ。お前らには昇進を考えておくよ。」 そういい残し、ローズは食堂からでていった。 (戦いは終わる・・・か・・) ローズ元帥はそう言ったが、ケタはどうも嫌な予感がしていた。 ソラスとともに現れた蜘蛛、そして世界各地にあらわれたマザー。 (地球にいるマザーを撃破するだけで戦いは終わるのか? もし・・マザーですら奴らの手駒に過ぎないとしたら・・・?) 「ところでさっきのマナのお姉さんは何者だったんスか? 『昇進の話』とか言っていたからきっとかなり偉い人なんすよね」 考えるケタに伊地山がそう聞いてきた・・・・・。 ケタは何を考えていたのか一気に忘れてしまった。 十数分後、ヘリに続きやってきた影の協力の下すべてを食べ終えた一行は解散していた。 ――――――――――――――――――――――――――― 「そうだヘリ。借りていたもの返さなきゃな」 「壊さなかったのか?」 「ちょっと腐食したから…修理に出したよ直ってるはずだけど…… ショットガンはこの通り直っているからそっちも大丈夫だと思うよ」 昨日の時点では酸で腐食していたが、発展した修理技術で一晩で直されていた。修理場で受け取った銃は修理されただけでなく新品同様にきれいになっている。 「昨日はこのまま返したら殴られるかと思うぐらい腐食していたのに、今の修理技術はさすがだな」 ケタは一応細かいところまで目を通す。 「俺もああは言ったが大事に扱ってくれよ、須川が気になってしょうがないようだったぞ。壊したら多分泣いてただろうな」 ヘリは陽気に冗談を言う 「危ないかった〜。マジで後一発女王の酸を喰らったら壊れるところだったから」 「ま、そうなったときも、女王相手だからその銃も満足してくれるさ」 「ただし壊れたら、生き残れませんでしたよね……」 ひとしきり井戸端会議を続け、お互い話す話題もなくなった。 ケタは「あの」言葉を言おうとするがなかなか出てこない (ああ、またこの雰囲気だ……もし、ただの仕事場ならば 『また会おう』と伝えるだけで、こんな妙な雰囲気にはならないはずなのに、軍隊ってのは難儀なもんだ……) 本当にまた会えるかどうかは、神のみぞ知ること。 確信のない『また会おう』。それを伝えるのはいつだって難しい気分になる。ためらいを振り切ってその言葉を口にする。 「じゃ、二人とも、また……生きて会おうな」 ケタは二人の眼を見て寂しげにそれを伝える。 「ええ、『生きて』ですね。わかってます。生き残らなければ明日はありませんからね」 影は微笑んでそう返した。 「『俺たちは一人も死者を出さないのが誇りだ……』 って言えるぐらい生きてみせるさ。 おう、そうだなケタ。お前の言うとおり、生きてまた会おう」 廊下の分かれ道でケタとヘリは道を違えた。ケタは一度だけ振り返って二人の後ろ姿に手を振った。 (あんないい奴らの死体はもう見たくない……だから無理難題かもしれないけれど、できる限り生きていてくれ) ケタは前へ向きなおり、自分の部屋へと歩みを進めた。 [No.11519] 2007/10/08(Mon) 23:02:36 124-144-195-113.rev.home.ne.jp |
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