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No.137へ返信

all サイバーパンクスレ本編再録その3 - 桐瀬 - 2011/04/30(Sat) 23:21:51 [No.121]
ハード・ボイルド・ブルース - アル=シャーユィ - 2011/04/30(Sat) 23:22:30 [No.122]
Rock you!2 - コウイチ・シマ - 2011/04/30(Sat) 23:23:18 [No.123]
一次終息 - 黒須京 - 2011/04/30(Sat) 23:24:16 [No.124]
リターン・トゥ・ナイト - 雉鳴 舞子 - 2011/04/30(Sat) 23:25:07 [No.125]
Return failed 9 - 深選 - 2011/04/30(Sat) 23:25:40 [No.126]
魔術少女の思考 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:26:27 [No.127]
トゥルー・トゥ・レディ - 咲凪 - 2011/04/30(Sat) 23:27:28 [No.128]
いくさば - 三草・ガーデルネア - 2011/04/30(Sat) 23:28:21 [No.129]
Rock you!3 - コウイチ・シマ - 2011/04/30(Sat) 23:29:56 [No.130]
戦場跡にて - シア&カルデア - 2011/04/30(Sat) 23:30:43 [No.131]
Return failed 10 - 深選 - 2011/04/30(Sat) 23:31:12 [No.132]
ダーク・イル・ウィル - アル=シャーユィ - 2011/04/30(Sat) 23:32:19 [No.133]
血塗れの魔剣中隊 - スレイヤー大尉 - 2011/04/30(Sat) 23:32:59 [No.134]
魔術少女の決意 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:33:48 [No.135]
移動 - 三草・ガーデルネア - 2011/04/30(Sat) 23:34:47 [No.136]
交わる線 - 上山小雪 - 2011/04/30(Sat) 23:35:36 [No.137]
Return failed 11 - 深選 - 2011/04/30(Sat) 23:36:09 [No.138]
魔術少女の交渉 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:36:46 [No.139]
マジック・アンド・エージェント - アル=シャーユィ - 2011/04/30(Sat) 23:37:35 [No.140]
バベル・エンゼル・ボイス - 雉鳴 舞子 - 2011/04/30(Sat) 23:38:31 [No.141]


交わる線 (No.136 への返信) - 上山小雪

 「あ、あの〜……」

 お世辞にも広いとは言えない社内で、舞子に声がかけられる。声の主は隣に座っている小雪だ。

 「なに?」

 聞き返しても、小雪はあーとかうーとか呻いて中々話を切り出そうとしない。
 出会ってからまだ間もないが、この少女の性格は分かりやすい。基本的に裏表が無くストレートなこの子が口ごもるということは、例えばプライベートに関わってくるような、聞きにくいことだろう。

 「小雪は舞子がどうして自分から車に乗ったのか気になってるっピ!」

 「危険だって分かってるのに、何でだろうっていってたっピヨ!」

 「こ、こら! ピーチにピッツ! 余計な言わない!」

 2匹のPIYOが口々に囀るのを、あわてて嗜める小雪に、舞子は笑みをこぼす。お互い、中々大変な仲間を得たようだ。

 「ピーチにピッツ?」

 「あ、はい。どっちもPIYOじゃ紛らわしいし、1と2でピーチとピッツって呼ぶことにしたんです」

 「なるほどねー。で、私がこの車に乗ってる理由だっけ?」

 「あ、はい……。私や京みたいに戦うため、って事じゃないんですよね? なら、私だったら安全なところに逃げちゃうのに、どうしただろって思って……」

 PIYOたちに気持ちをばらされて観念したのか、少しずつ話し始める。

 「私なんかは、電魎と戦わなきゃいけないって、ちゃんとした理由もあるのに、まだ怖くて……」

 聞けばまだ電魎と戦うようになってから日も浅く、それ以前は荒事とは全く無縁の普通の生活を送っていたらしい。
 ある意味で舞子と境遇がにているかもしれない。それを思えば彼女の悩みも理解できる。

 「理由か……一番シンプルに言えば、深選が乗ってるからかしら」

 「ええっ!? それってもしかしてその」

 「ストーップ! あなたが考えてるようなことは全く微塵も欠片もこれっぽっちもないからね。
 ……ええと、何でこの車に、っていうよりも、この世界に私の居場所って無いのよね。
ある日目が覚めたら国も時代も違ってて、おまけに身体の中に何か妙なものが入ってて、それが原因で狙われたりまでしている」

 あ……と小雪が声を上げる。歳の近い同性相手ということで話しやすかったのが、無遠慮な質問をしてしまった、などとでも悔やんでいるのだろう。本当に素直な子だ。

 「そんな中で、深選は……まぁ、最初は色々あったけど、今だって純粋な好意ではないけど私のことを助けてくれたし、守ってくれると言った。だから、ええと……」

 自分で何を言っているのか分からなくなってきた。これでは深選に依存しているようではないか。

 「ま、とにかく! よくわかんないけどそうしなきゃいけない気がしたのよ。
大体、このままだと下手したらこの街自体が無くなっちゃうかもしれないわけでしょ? せっかく開き直ってこの街で生きる覚悟したのに、そりゃないってもんよ。
 あなただって家族とか友達とか無くなると困るもの、あるでしょ?」

 その言葉に小雪ははっとした。そう、すでに問題は自分ひとりが何かを言えるような規模ではないのだ。

 「そっか……そうですよね。私にも出来ることがあるんなら、覚悟決めないと!」

 「まあ、大概酷い目に遭ってるわよね、お互いに」

 「これはもう、絶対に乗り切って幸せになってやらないとですね」

 目を合わせてふふふ、と笑いあう。
 そこに、ロングイヤーの声が割り込む。

 「後ろのお二人、いい雰囲気のところ申し訳ありやせんが、おいでなすったようですぜ。前方に装甲車が2台」


 『教団か?』

 「現在解析中。電魎の気配はないようですが。」

 キュアセルフォンを高速で操作しながら、深選の言葉に京が返す。
 数瞬の後カチリとボタンを押す音が止む。

 「車両の所属判明。カルネアデスです」

 その声と同時に、前方に例の車が見えてきた。とりあえず問答無用で発砲してくる気配は無い。

 『……企業か。さて、鬼が出るか蛇が出るか』


[No.137] 2011/04/30(Sat) 23:35:36

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