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No.163へ返信

all サイバーパンクスレ本編再録その4 - 桐瀬 - 2011/04/30(Sat) 23:38:51 [No.142]
Rock you!4 - コウイチ・シマ - 2011/04/30(Sat) 23:39:29 [No.143]
魔術少女の契約 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:40:04 [No.144]
受領 - 三草・ガーデルネア - 2011/04/30(Sat) 23:42:09 [No.145]
Horizon End - アズミ - 2011/04/30(Sat) 23:43:00 [No.146]
ダーク・ホライゾン・エンド - 雉鳴 舞子 - 2011/04/30(Sat) 23:43:37 [No.147]
魔術少女の支度 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:44:29 [No.148]
Rock you!5 - コウイチ・シマ - 2011/04/30(Sat) 23:45:20 [No.149]
下拵え - 三草・ガーデルネア - 2011/04/30(Sat) 23:46:05 [No.150]
Return failed 13 - 深選 - 2011/04/30(Sat) 23:47:19 [No.151]
その覚悟は・3 - 上山小雪 - 2011/04/30(Sat) 23:48:54 [No.152]
魔術少女の独白 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:49:41 [No.153]
Horizon End2 - 深選/コウイチ - 2011/04/30(Sat) 23:50:23 [No.154]
イントルーダーズ2 - 黒須恭太郎 - 2011/04/30(Sat) 23:50:57 [No.155]
Horizon End3 - アズミ - 2011/04/30(Sat) 23:52:03 [No.156]
魔術少女の決闘 - イライザ・F・霧積 - 2011/04/30(Sat) 23:52:50 [No.157]
その覚悟は・4 - 上山小雪 - 2011/04/30(Sat) 23:53:19 [No.158]
ジ・スターリー・レフト - ナノブレイカー - 2011/04/30(Sat) 23:53:51 [No.159]
激闘 - 三草・ガーデルネア - 2011/04/30(Sat) 23:54:42 [No.160]
Horizon End3 - アズミ - 2011/04/30(Sat) 23:55:25 [No.161]
その覚悟は・5 - 上山小雪 - 2011/04/30(Sat) 23:57:11 [No.162]
その覚悟と終わり - 上山小雪 - 2011/04/30(Sat) 23:58:02 [No.163]


その覚悟と終わり (No.162 への返信) - 上山小雪

 「わざわざ、向こうから、来てくれました、お姉様」

 「丁重に、御持て成ししましょう、お兄様」

 真っ直ぐに向かって跳躍した恭太郎に向け、デェリートは電子コードの両腕を伸ばした。

 そのまま恭太郎の体を握り潰そうとするが、身を捩りぎりぎりのところで逃れる。しかし、恭太郎の体は失速し、着地したところに再び腕が迫る。

 が、直前、何かに締め上げられるようにその両腕が引き絞られ、動きを止める。

 「――超高密度の鋼製ワイヤーだ。千切れると思うな!」

 かわしざま、腕から延ばしたワイヤーをデェリートの両腕に巻きつけていた。
 このまま押さえつけるには力負けするだろうが、一瞬動きを止めるにはこれで十分。
 再びデェリートに向かい走る。

 体中のナノマシンを両脚に集中、右脚にヴァイタルバースト、左脚にエレクトロバーストの力を篭める。

 「もう片方の、両腕は、どうするつもりなのでしょうね、お姉様」
 「もう同じ手は、食わないのに、どうするのでしょうね、お兄様」

 すぐさまもう一方の腕と、無数の電子コードを振るう。その様は黒い濁流のごとく。


 「それごと吹き飛ばすっ!!」

 渾身の力を篭めて地面を蹴る。恭太郎の体が黒い波に呑み込まれ――

 「おおおおおおおお!!」

 黒い波の中から一筋の光が漏れ、やがてそれは強大な閃光へと変わる!

 「貴様が弄んできた命の重み、今こそ思い知れ――!」

 閃光は波を真っ二つに引き裂き、デェリートの胸を貫く。
 
 《おおおおおおおおおん!!!》

 デェリートが初めて余裕の消えた声を上げ、苦しそうにのたうつ。

 「任せた……!」

 しかし、まだ倒すには至らない。
輝きを失った恭太郎ががくりと膝をつき、全てをキュアセイヴァーズに託す。




 「ピーチ、ドレスシフト:エクステンデッド!」
 「ピッツ、ドレスシフト:エクステンデッド!」

 『クライマックスだっピー!!』

 二人の声に反応し、2体のサポートユニットが二人を包む衣服へと変化する。更に豪奢に、更にしなやかに、更に美しく。

 スノーは右手を、エレクトロは左手を、それぞれ前に突き出し、握り締める。お互いの存在を確かめ合うように、強く。

 「これ以上の悲しみを増やさないために!」
 「みんなが笑い会える明日のために!」

 それぞれの力が高まり、混じり、握り合った手に集まってゆく。それは、全てを癒し、救うような、やさしい光だった。


 『キュアセイヴァーズ・リミットブレイク・シャイニングアロ――!!!』

 二人の拳から膨大な光の奔流が放たれ、デェリートを、残った全ての電魎たちを包み込む。


 「お姉様、教祖様のトコろに、行カなけレバ」
 「オ兄様、教祖様ノトころニ、行かナケれば」
 《おおおおおおおおおおおん……》


 光が収まったとき、全ての電魎は浄化され、静寂が訪れた。








――ヴゥゥン――

 コウイチもイライザも深選も三草も、そしてグレーシスも、その場にいた誰一人として、その時何が起こったのか、理解することは出来なかった。





 「ぬうううううううおおおああああああああ!!!」

 「これでも……まだ動けるっていうの!?」

 「出鱈目にも程があるぞっ!」

 コウイチとイライザの拘束を振り切ろうと、グレーシスはミサイルから我が身を引き剥がす。

 「貴様等ぁぁぁるぁくには殺さぬううううううああああ!!」

――ヴゥゥン――


 咆哮したグレーシスの動きが、不意に止まる。


キュアセイヴァーズが放った一撃は半径数kmにも及ぶ不可視の電磁的な衝撃波となり駆け巡った。

それは、常人にとっては刹那のノイズに過ぎなかったが、ナノマシンの集合体であるグレーシスへの影響は大きかった。



 「せーえっ」

 『のォッ!』


 たった一瞬の空白。しかし、意識が戻ったグレーシスが目にしたのは、自らに突き刺さる拳。再びミサイルの壁面に叩きつけられる己の身体。

 その瞬間、教祖の運命は決まった。


[No.163] 2011/04/30(Sat) 23:58:02

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