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all 特撮ヒーロー本編スレ再録 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:06:56 [No.213]
Epic.1 護星天使、再臨 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:07:56 [No.214]
蠢く闇1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:10:03 [No.216]
彷徨うもの達 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:11:07 [No.217]
蠢く闇2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:12:33 [No.218]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:13:58 [No.219]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:14:35 [No.220]
蠢く闇3 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:15:53 [No.221]
彷徨うもの達2 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:16:53 [No.222]
未来を切り開く者0 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:17:49 [No.223]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:23:54 [No.224]
未来を切り開く者1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:24:37 [No.225]
未来を切り開く者2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:25:33 [No.226]
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崩壊世界2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:38:41 [No.228]
光の巨人1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:39:28 [No.229]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:14 [No.230]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:47 [No.231]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:41:16 [No.232]
彷徨うもの達3 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:54:11 [No.233]


蠢く闇2 (No.217 への返信) - アズミ


 時間は、僅かに遡る。



 医者や看護婦が消えたのを見計らって、ミサキ隊員は保護した少女の病室へ入った。
 ベッドの上に横たわる少女は、一見して怪我の類はなく、呼吸も安定して見える。担当医の報告によれば身体検査に不審な点は見当たらなかったとのことだが……。

「むん……!」

 ミサキ隊員が意識を集中すると、その視界に映る少女の身体の内部がCTスキャンにかけたように透視される。
 ウルトラマントゥモローたる彼は地球人類にはない様々な超感覚を備えているが、ミサキ隊員の姿のままであってもそれらの一部を使うことができるのだ。

(地球人類の身体に一見そっくりだが……血液成分や脳構造に僅かな差異がある……?)

 緊急搬送であったがゆえに、運び込まれたこの病院の検査機器はGIASやSPIRITSの専門医療施設に比べれば劣る。そのため精密検査でも露見しなかったのだろう。

(宇宙人……いや、それにしては地球人に近すぎる。強いて言えば擬態したワームのようなズレだが……)

 先刻、この少女を襲った連中は混沌とした顔ぶれではあったものの、GIASによって人類の敵性存在として判断された勢力ばかりだった。
 そして、最後に警告に現れたあの男……尽介は『死んだ兄』と形容したが、あれはミサキ隊員が透視した情報によればまず間違いなく、あれもまた擬態した――……

 その時、胸のGIASメテオのランプが緑に点滅した。GIAS本部からの通信である。
 ミサキ隊員は人目を確認して病室を辞し、廊下で通信を開いた。

『こちら本部、ミサキ隊員応答せよ』

 中年男性の、少し外国訛りを残した日本語。GIAS日本支部実行部隊のゴールドウィル隊長であろう。オペレーターを兼任するアニー隊員が出動しているときには、彼自身がこうして直接指令を下すことも多い。

「こちらミサキ、どうしました、隊長?」

『君の報告した少女だが、SPIRITSが受け入れを承諾した。敵性組織に狙われているとのことなので、護衛1個小隊と共に搬送車がじきにそちらに着く。
 彼らに護衛を引き継いだら、一度アニー隊員と共に本部へ帰還したまえ』

「了解」

 メテオのランプを押すと、通信が切れる。
 ハルトに連れられた尽介がやってきたのは、それから10分後のことだった。





 病院食というものは消化器系の弱った老人から厳しい摂食制限を課された患者まで、ある程度対応しなければならないため非常に味付けが薄く、有体に云うと不味い。

「……おかわり!お願いします!」

 しかし、面会謝絶の解かれた少女は尽介らの目の前でトレイの上の病院食をあっという間に平らげ、そんなことまで言って見せた。

「病院食でおかわりはできないわよ……」

 呆れた様子で言うアニーに、少女はあからさまにしょげて、渋々
「ごちそうさま」と言って手を合わせた。

「げ……元気そうだな」

 その過酷な反省と繊細な外見から、てっきり物静かな性格かと思っていた尽介は肩透かしを食らった様子だった。

「いやー、どうもおかげさまで。助けてもらっちゃったみたいで、どうもでした」

 少女は頭を掻いて、てへへと笑う。

「で、話を元に戻すが……空奈(あきな)くん?」

「はい、はい」

 トレイが片付けられるのを待って切り出したミサキ隊員に、少女は随分軽い様子で応じる。
 ミサキはやはりどこか頭でも打ったのではなかろうかと少し心配になりながら、質問を続けた。

「君は彼ら……ワームやマクーに狙われる理由に、心当たりは無いんだね?」

「はい。かれこれ10年も逃げ回ってますけど、正直どうしてなのかはちょっと。
 捕まれば解るのかもしれませんけど、それはヤですし」

「そりゃあ、そうだろうなぁ」

 ハルトはやはり呆れ顔で頷いた。

「とまれかくまれ、じきにSPIRITSが君を保護しにやってくる。それまでは我々が君を護衛するから、安心してほしい」

「はい!お世話になりまーす」

 その底抜けに明るい様子に、やはりミサキ隊員はどこか歪な違和感を感じずにはいられなかった。




 同じ頃。


 そこは、惨憺たる有様だった。
 SPIRITSの誇るC-11装甲輸送車が横転して大破し、飛び出して応戦しようとした兵士たちは一人残らず粘性の白い糸のような塊に絡め取られ、身動き一つ出来なくなっている。
 全ては一瞬の出来事だった。
 彼らを無力化した張本人である怪人が、戦闘員を侍らせながら哄笑する。

「グオーッ、グオッ、グオーッ……口ほどにもない奴らめ」

 しかし、抵抗すら出来ない状態でも、彼らはまだ一人として殺されてはいない。
 怪人もまた、戦闘員たちに彼らのとどめを命じはしなかった。

「そのツラは見たことがあるぜ……ショッカーの蜘蛛男」

 まだ、眼前に。怪人の凶行を止めようとする者がいたから。

「グオーッ、グオーッ……貴様……何者だ?」

 SPIRITSの隊員ではない。何処にでもいそうな、身体を鍛えた様子さえない普通の青年だ。
 ……否。『ただの』青年であろうはずがない。彼ら改造人間の前に立ち塞がり、怯える様子一つ見せないのだ。
 『ただの』人間であるはずがない。『あの男たちでも無ければ』、そんな蛮勇に及ぶはずがない。

「『仮面ライダー』……」

 蜘蛛男の発した言葉に、青年が反応した。
 蜘蛛男はその反応に我が意を得たか、忌々しげにその牙をガチガチと鳴らす。

「やはり!貴様、仮面ライダーか!」

 それには不敵に笑って応じ、青年は小サイズのスキャナのような機械を掲げた。

「おうよ、名前は覚えなくていいぜ」

 それを腰に当てると、一瞬にしてベルトと化して装着される。

「俺はお前らをぶっ潰す……通りすがりの仮面ライダーだ!」

 脇の排出部から引き抜いたカードを掲げ、叫んだ。

「変身!」


――KAMEN RIDE
「DELAYED」!


[No.218] 2011/05/01(Sun) 21:12:33

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