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No.227へ返信

all 特撮ヒーロー本編スレ再録 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:06:56 [No.213]
Epic.1 護星天使、再臨 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:07:56 [No.214]
蠢く闇1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:10:03 [No.216]
彷徨うもの達 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:11:07 [No.217]
蠢く闇2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:12:33 [No.218]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:13:58 [No.219]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:14:35 [No.220]
蠢く闇3 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:15:53 [No.221]
彷徨うもの達2 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:16:53 [No.222]
未来を切り開く者0 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:17:49 [No.223]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:23:54 [No.224]
未来を切り開く者1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:24:37 [No.225]
未来を切り開く者2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:25:33 [No.226]
崩壊世界1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:37:12 [No.227]
崩壊世界2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:38:41 [No.228]
光の巨人1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:39:28 [No.229]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:14 [No.230]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:47 [No.231]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:41:16 [No.232]
彷徨うもの達3 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:54:11 [No.233]


崩壊世界1 (No.226 への返信) - アズミ

 病院内は、災害の様相を呈していた。

「まったく……ちょっとはこっちのことも、考えて戦ってよね!」

 戦場、などという生易しいレベルではない。
 実際に戦場をジャーナリストとして駆けたこともあるアニー隊員は、その生涯でかつてない焦燥を覚えながらも決して空奈の手を離さぬまま、どうにかGIASドライブに辿りついた。
 見たところ走行能力は奪われていない。

「空奈さん、乗って!」

「きゃっ!」

 叫ぶように言って、返事を待たぬまま後部座席に放りこんだ。
 キーを差し込み、エンジン始動。後は同乗者を待つだけ。
 ミサキ隊員の姿を探して視線を巡らせると、ちょうど目の前からGIASドライブに向けて一匹のワームが飛びかかってきた。

「っ!?」

 身を竦めるアニー隊員だが、その凶刃が彼女に届くことはなかった。
 一条のレーザー光線が、ワームを跡形もなく蒸発させたからだ。

「ミサキくん!」

 表情を輝かせるアニーだが、ミサキは振りかえることなくサイドブラスターで他のワームを牽制し続ける。

「そのまま行け、アニー隊員!」

「!?」

 ZECTの強化兵士と、それでどうにか対抗できるワームが入り乱れた混戦である。
 生身のミサキ隊員が居残るのは、自殺行為に等しい。

「僕も後から追いつく!今は一刻も早く彼女をここから逃がすんだ!」

 彼女より遥かに経験の多い先輩隊員からの、断固たる言葉。
 アニーの逡巡は、一瞬だった。

「発進するわ!」

 ハンドルを握り、アクセルを踏み込む。

「でも、他のみんなが!」

「あなたがここを離れれば敵を引きつけられる!みんなが少しでも楽になるのよ!」

 それは要救助者に対しては有り得ない台詞であったが、事実である。そして、空奈を押し黙らせる程度には効果的であった。
 タイヤが駐車場の床を擦り、けたたましい咆哮をあげてGIASドライブが発進する。
 ミラーにワームがクロックアップ……ワームが行う超高速機動……の姿勢を取ったことでアニーは肝を冷やしたが、一瞬早くミサキ隊員の放ったサイドブラスターの熱戦が、駐車場の天井を薙ぎ払ってGIASドライブの出ていった出入り口を物理的に塞いだ。
 いかなる高速移動とて、道が塞がれては追跡は叶わない。

 ワームは腹いせとばかりに攻撃目標をミサキ隊員に変えようとするが……。


――3 2 1


「ライダーキック!」


――Rider Kick!!


「ガアアアッ!?」

 タキオン粒子を集中したアゲハの回し蹴りがワームの首を横殴りし、地面に叩きつけられ四散する。

「大丈夫か、ミサキさん」

 ミサキ隊員に振り向き、尽介……仮面ライダーアゲハが声をかける。

「あぁ、助か――」

 ミサキは礼を述べようとして……代わりに叫んだ。

「――後ろだ、大空くん!」

「何ッ!?」

 アゲハが気付いたその時には、ダダの手にした光線銃から放たれた熱戦が、二人のいる出入り口付近を薙ぎ払っていた。





「くっ……」

 ミサキ隊員の意識が途切れたのは、一瞬だった。
 崩れた瓦礫の中から身を起こし、周囲を見回す。
 うず高く積まれた瓦礫の壁の向こうで破壊音が響くあたり、まだ戦闘は続いている。しかし、ミサキ隊員の見回せる範囲に外界へ続く道はなく、完全に隔離された形になった。尽介の姿もない。

「どこかに生き埋めになっていないといいが……」

「安心したまえ。彼なら無事だよ、ウルトラマン」

 自身の呼ばれてはいけない名を口にした声に、振り向く。
 全身をゼブラさながらの縞模様に彩られた宇宙人が、そこにいた。

「ダダ」

「……君と二人きりで話がしたくてね。お膳立てさせてもらった」

 常ににやけたような表情で固定されているその顔から、真意を読み取ることはできない。
 が、一先ず敵意はないということなのか、ダダは光線銃の銃口を下した。ミサキ隊員もそれに習い、サイドブラスターを下す。ただし、トリガーに指はかけたまま。

「話とは?」

「単刀直入に言おう、ウルトラマン。結合点から手を引きたまえ」

「結合点?」

「君らが保護したあの少女だ」

「空奈くんを何故狙う?」

 答えは期待していなかったが、しかしダダは淀みなく答えて見せた。

「彼女は数多の平行世界を繋ぎ合わせる、結び目のようなもの」

「平行世界……?」

「そうとも」

 要領を得ない説明に眉をひそめるミサキ隊員に、ダダは鷹揚に頷いた。

「我々の宇宙はとっくに壊れていた。我々の宇宙だけではない、別次元に存在する数多の宇宙が、全て壊れ果ててしまった」

 予想外の話のスケールに、ミサキは息を呑む。
 宇宙が?壊れた?
 今、自分たちがこうして生きているこの宇宙が?

「この世界は、その欠片で作ったパッチワークなのだよ、ウルトラマン」

 ダダはそんな彼を嘲笑うように、両の手を広げそう言った。


[No.227] 2011/05/01(Sun) 21:37:12

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