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all 特撮ヒーロー本編スレ再録 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:06:56 [No.213]
Epic.1 護星天使、再臨 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:07:56 [No.214]
蠢く闇1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:10:03 [No.216]
彷徨うもの達 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:11:07 [No.217]
蠢く闇2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:12:33 [No.218]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:13:58 [No.219]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:14:35 [No.220]
蠢く闇3 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:15:53 [No.221]
彷徨うもの達2 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:16:53 [No.222]
未来を切り開く者0 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:17:49 [No.223]
蜘蛛と巨大化と初顔合わせ - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:23:54 [No.224]
未来を切り開く者1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:24:37 [No.225]
未来を切り開く者2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:25:33 [No.226]
崩壊世界1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:37:12 [No.227]
崩壊世界2 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:38:41 [No.228]
光の巨人1 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 21:39:28 [No.229]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:14 [No.230]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:40:47 [No.231]
蛹と闇と草食系 - 新野 - 2011/05/01(Sun) 21:41:16 [No.232]
彷徨うもの達3 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:54:11 [No.233]


崩壊世界2 (No.227 への返信) - アズミ

 ダダの話は、およそ地球人の常識では信じえない内容だった。

 この世界はパッチワーク。

 数多存在した並行世界は、とある仮面ライダーを起点にした事件で全てが破壊されてしまった。
 しかし、平行世界とはガラスの器のように、壊れたらそのまま砕け散ってしまうような性質のものではない。

「喩えるならば、泡だ」

 泡が一つ割れても、そこから小さな気泡生まれ、水面に上がる中で寄り集まって一塊りになることがある。

「この世界はまさしくそれだ。
 人も、技術も、星も。全ての世界の要素が渾然となって融け込み、存在する世界」

「その結び目こそが、あの空奈くんだというのか」

「そうだ」

「彼女をどうするつもりだ」

 ミサキ隊員の問いに、ダダはまたぞろ悪企みでもしているのだろうと言われたように思ったのか……実際、ミサキ隊員にはその意図があったのだが……ダダは肩を竦めて見せた。

「我々とて、結合点を悪し様に利用するほど命知らずではない。
 彼女に何かあれば、この宇宙は今度こそ粉々に砕け散ってしまうかもしれないのだぞ?」

「何……?」

「我々は彼女を保護しようというのだよ、ウルトラマン。
 考えてもみたまえ。こんな話、地球人の技術レベルでは到底信用さえできまい。彼女自身は地球人となんら変わらない身体だ、酷く脆い。
 何かの間違いで死んでしまうかもしれないし、あの乱暴なSPIRITSに預けたら手荒なこともやりかねん」

「お前たちは違う、というのか」

「無論だ」

 ダダは胸を張った。

「我々の技術力ならば、彼女を永遠に傷一つつけることなく『保存』が可能だ。
 たとえば――そうだな、時間停滞カプセルに入れるのはどうだ。時間が流れなければ肉体の損傷はおろか、経年劣化さえ起こることはない。
 彼女は傷つくことも悩むこともないまま、永遠に我々の庇護下で生き続けるのだ」

「…………」

 『悪気』はないのだろう。彼らの感覚では。至極合理的で、安全な手段でもある。
 だが、ミサキ隊員は我知らずサイドブラスターのトリガーに力を込めた。

「君に、地球人に彼女を守り切ることが出来るとでも?」

 しかし、ダダの突き刺すような言葉が彼に銃口を下させる。
 出来るわけがない。地球人類の技術力では、一人の人間を完全に……それこそ、老いや病からすら……守ることは、不可能だ。
 そればかりか、残念ながら猜疑心の強い人間は彼女を悪し様に扱う可能性が高い。

 ダダの申し出を受けるのは、賢明と言えた。
 だが。

「……それは愚かな選択だぞ、ウルトラマン」

 低い声で釘を刺すダダの視線の先には。ミサキ隊員が懐から出した懐中電灯に似た装置があった。
 フォトネイター。ウルトラの光を封じた、彼の切り札。

「お前たちは宇宙の平和を護るのではなかったのか?」

「誰かを犠牲にして守る平和など――」

「……犠牲無くしては。
 何も守れんよ。たとえ君でもだ、ウルトラマン」

 ダダの言葉に応えず、ミサキはフォトネイターを掲げる。
 ダダはやれやれと首を振ると、その姿がその場から掻き消えた。

「交渉決裂だな」

 同時に。天を覆う瓦礫と天井が一片に吹き飛んだ。
 降り注ぐ瓦礫の中、ミサキ隊員は動じることなくフォトネイターを起動させる。

「――誰かを犠牲にして、平和を守ったウルトラマンなどいない」

 輝きが、満ちた。

「トゥモロォォォーッ!!」





 瓦礫を撒き上げて、病院の傍に2体の巨人が降り立った。

『……残念だよ、ウルトラマン!』

 一つは、ゼブラ模様の怪宇宙人、ダダ。
 そして今ひとつは――。

『誰一人の、未来も自由も奪わせはしない!
 その全てを守るのが、ウルトラの誓いだ!
 私は……!』

 宇宙の平和を守る、銀の巨人。
 M78星雲、光の国からやってきた青い眼の守護者。

『私は、ウルトラマントゥモローだ!』

 彼こそが、人類と絆を結んだウルトラマン!


[No.228] 2011/05/01(Sun) 21:38:41

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