特撮ヒーロー本編再録スレ2 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:55:25 [No.234] |
└ 選ばれざる者達 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:56:18 [No.235] |
└ 空間切り裂く剣閃と二人1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:56:54 [No.236] |
└ 空間切り裂く剣閃と二人2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:57:32 [No.237] |
└ Sの仮面/選ばれざる男 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:58:19 [No.238] |
└ 彷徨うもの達4 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:58:58 [No.239] |
└ 分裂T - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:08:44 [No.240] |
└ 分裂U - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:10:28 [No.241] |
└ 分裂V - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:11:30 [No.242] |
└ 分裂W - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:14:13 [No.243] |
└ Aの逡巡/天使の使命 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 22:14:57 [No.244] |
└ 震える大地 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 22:16:35 [No.245] |
各々が各々の戦いに決着を付けていた頃、ゴセイファイヤーことハルトはダダの攻撃の際に皆とはぐれていた。 彼がすぐさま戦線に復帰しなかった理由は単純だ、“此方にも、戦うべき相手が居た”のだから駆けつけられる状況では無かったのだ。 「ぐああぁぁぁっ!!」 胸板を打ち据える拳の一撃にゴセイファイヤーの身体が吹き飛び、既に瓦礫と化している病院の一角へと叩きつけられる。 その衝撃で肺の中の酸素が搾り出され「かはっ」と短く息を吐いたゴセイファイヤーだったが、彼とて護星の使命を担う者の一人、その自負もある、既に何度膝を折り、倒れながらも……今度もまた、剣を杖のようにして立ち上がる。 ゴセイファイヤー……ハルトは決して弱い戦士ではない。 努力を惜しまずに磨き続けた剣技は決して他より劣るものでは無い――――が、彼は今、圧倒的に一人の戦士を相手に追い詰められていた。 「何故だ、何故その子を攫う!!」 「…………」 ハルトは目の前に立ち塞がる緑色の戦士に向かって問いかけるように叫んだ。 仲間達とはぐれたハルトが目にしたのは、激戦の隙を狙い“ある入院患者”を攫おうとしていた3人組の姿だった。 例えば、患者を救出に来た風に見えればハルトはそれを見逃したのかもしれないが――――入院患者、その「少女」一人を抱えてその場を後にしようとする3人組は、明らかに異質だった。 そして事実、ハルトがその事を問い詰めた後に、3人組の1人がその姿を緑色の戦士へと変え、ハルトに襲い掛かって来たのだ!。 「赤いお兄さん、堪忍なぁ、ウチらもおたくに恨みは無いんやけど……」 緑色の戦士の後方で、戦いの推移を見守る3人組のもう1人……何処かの学校の制服に身を包んだ、十代前半程度の年頃の少女が、申し訳無さそうに……だが若干楽しそうに、ハルトに向かって言葉を投げた。 だが当のハルトは緑色の戦士の相手で手一杯であり、彼女の言葉に言葉を返す余裕すらない。 さらにもう1人、病院から連れ出した少女を肩に抱える大男が居るのだが……彼はただ黙して、事の推移を見守っている。 「くっ……、でやぁっ!」 「ぬ……!」 ハルトが飛翔する、跳躍ではない、飛翔だ。 護星天使であり、それもスカイック族の血が流れる彼が得意とする戦法こそこの空中戦だ。 地上での戦いは圧倒的に緑色の戦士の方に分があった。 ならば此方も此方の得意な戦場で――空間そのものを足場にして戦えば、力の差を埋める事が出来るとハルトは判断し、そしてそれは成果を為した。 「ゴセイカリバー!」 「ぐあっ!」 ハルトが中空を舞うように滑空し、緑色の戦士を袈裟に斬り裂いた。 このまま大男から少女を奪還して……!、ハルトがそう思った次の瞬間だった。 「うっ!?」 滑空するハルトの脚を何物かが掴まえ、彼を墜落させたのだ。 それは――――いまだ健在の緑色の戦士の腕から伸びる鞭のような触腕だった。 「ドクダリアンの鞭……」 「なっ……」 「そしてクラゲダールの電流攻撃!」 言葉と共に、緑色の戦士の体内器官から発生した電流が鞭を伝い、ハルトへと襲い掛かる。 「ぐああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 「フンッ!」 緑色の戦士の電流鞭がハルトから離れた次の瞬間、過度のダメージにハルトの装着しているゴセイファイヤーのスーツが火花を上げた、ダメージの許容量を超過し、変身が解除される。 ゴセイファイヤーから生身へと戻ってしまったハルトは、それでも倒れた状態から何とか上体を起こし、緑色の戦士を睨み付けた。 「何故だ……」 「…………」 緑色の戦士はその問いに答えず、身体を起こすのが精一杯のハルトの横を素通りして2人の仲間の元へと……誘拐した少女の元へと歩む。 「何故こんな事をするんだ……仮面ライダー!!」 追いかけようとして、身体の深いダメージから再び倒れたハルトは緑色の戦士……仮面ライダーに向けて叫んだ。 背を向けていた仮面ライダーはハルトに振り返りそして……。 「俺を仮面ライダーと呼ぶなっ……!」 その一言だけを残して、仲間達と共にいずこへと姿を消した。 ハルトはそのまま気を失ったが、その直前に――――。 「この娘が、結合点の一つか」 深い後悔の入り混じった、そんな呟きを聞いた。 [No.235] 2011/05/01(Sun) 21:56:18 |