特撮ヒーロー本編再録スレ2 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:55:25 [No.234] |
└ 選ばれざる者達 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:56:18 [No.235] |
└ 空間切り裂く剣閃と二人1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:56:54 [No.236] |
└ 空間切り裂く剣閃と二人2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:57:32 [No.237] |
└ Sの仮面/選ばれざる男 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:58:19 [No.238] |
└ 彷徨うもの達4 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:58:58 [No.239] |
└ 分裂T - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:08:44 [No.240] |
└ 分裂U - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:10:28 [No.241] |
└ 分裂V - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:11:30 [No.242] |
└ 分裂W - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:14:13 [No.243] |
└ Aの逡巡/天使の使命 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 22:14:57 [No.244] |
└ 震える大地 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 22:16:35 [No.245] |
息苦しい。 焼けるようにからからに渇いた喉が張り付いて、呼吸が上手くできない。 パッチワークの世界。 結合点。 彼らは何を言っているのだ。 何を。 言って。 「……つまり、この女が死ねば世界はオシマイ、ってわけだ」 その言葉が耳朶に届いたのを最後に、空奈は意識を手放した。 ● 「空奈っ!」 意識を失い倒れ込んだ空を、写楽の腕が確と受け止める。 駆け寄ろうとした尽介だが、写楽が掲げたバックルほどの大きさの機械に気圧され、踏み込む足を止めた。 一見して小型のスキャナーか端末のように見えるが……アレは、武器だ。ゼクターに類する、攻撃性を孕む何かだと尽介の本能が断じた。 「……何の真似だい?」 「そいつは後ろのお仲間に聞きな」 写楽に促されて静かに振りむく尽介を、背後から響いた剣呑な音が迎えた。 ゼクトルーパー。 秘密結社ZECTの、文字通りの兵隊アリ。40名に届こうかという屈強な兵士たちが、写楽の説明に聞き入っていたヒーローズを取り囲むように展開し、右手にマシンガンブレードの銃口をこちらに向けている。 「何の真似だ、ZECTの諸君!」 咎めるように言うミサキ隊員に、しかし答えるゼクトルーパーは一人もいない。表情さえ、その黒いヘルメットに隠され窺うことは出来なかった。 「……説明しろ、お前たち」 直属の上司である刀伊達の言葉に、ようやっと副隊長格が感情を押し殺した声で応じる。 「結合点の少女はこちらで保護しろ、とのことです。隊長」 「誰がそんな命令を出した!」 「ひょーぎかい、って連中らしいぜ」 写楽が無造作に放って寄越したゼクトルーパーのヘルメットを、刀伊達は思わず受け取る。 評議会。……ZECT構成員にさえ遥として知れない最高意思決定機関。 「バカな!」 刀伊達が戦慄する。GIASやSPIRITSの構成員もいる中で、こんな強硬策を取れば組織は孤立する。 否、孤立してでも結合点の少女を手に入れよ、ということなのか。それほどの価値が結合点には――。 (……ある、はずだ。世界の命運そのものなのだというなら) 数度の自問で納得を得つつある刀伊達に対して、尽介がゼクトルーパーに食ってかかる。 「ちょ、待てよ!お前ら!」 イリーガルエージェントである尽介にそこまでの遠慮は無用ということか、ゼクトルーパーは銃口を向けたまま動かない。 「ZECTがどうとか、そんな場合じゃないだろ!この娘、いったいどれだけの敵に狙われてるかわかりゃしないんだぞ! 人間、みんなで護らなきゃ……!」 「尽介」 「刀伊達さん!」 「黙っていろ、尽介!」 先達の一喝に、若き仮面ライダーは言葉を詰まらせた。 刀伊達はゼクトルーパーに手ぶりで指示すると、彼らはまさしく蟻の従順さで散開し、銃口を他のヒーローズに向けた。 その代わりとでも言うのか。刀伊達本人は未だこちらを牽制するようにバックル……ディレイドライバーを掲げる写楽と相対する。 「少女を渡したまえ」 「聞くと思うか?この状況で」 「上層部の短慮は詫びよう。 ……だが、恐ろしいのだ。彼らもこの事態が。解るだろう?」 恐ろしい? 理解しかねて、尽介が眉をひそめた。この場に置いて誰より攻撃性を露わにし、他者を威圧するZECTが、ZECTの側こそが……恐れている? 「結合点の少女に決して手荒な真似はさせない。他組織との協力も納得させて見せる。だから……どうか、この場は」 写楽のみならず、ミサキやアニー、山吹らにも説得するように言う。その態度は真摯であったが、しかし納得できたものは一人としていないようだった。 何より、相対する写楽はその言葉に決定的に態度を硬化させた。 「俺はアンタを信じられる。 だが……アンタは、信じられるのか?名前も顔も解らねえようなおたくらの上の連中を、よ」 「…………」 刀伊達は押し黙った。 ZECTは人間に擬態するワームを相手どる都合上、その全容は構成員にさえ秘される。刀伊達とて例外ではない。 ワームを駆逐する、というその姿勢において異論も疑いもないだけだ。 それが、ZECTという組織だ。 「――残念だ」 「俺もだよ」 100の言葉を重ねても信を得られない状況もある。ならば、取れる手段は一つしかない。 刀伊達が構えた手に、飛来したマンティスホッパーが収まった。それに呼応するように、写楽がディレイドライバーを腰に装着する。 「先輩!?」 「やれないならそこで見ていろ、尽介」 刀伊達は視線すら向けず、冷たく突き放した。 暗に、手を出すなと言っている。尽介にはそう感じられた。 写楽は何も言わず、空奈を抱えたままディレイドライバーから抜き放ったカードを構える。 「変身!」 ――KAMEN RIDE...DYLAYED! 「変身!」 ――Hen-Shin! そして、二人の仮面ライダーは絶対の敵意を持って相、対した。 [No.240] 2011/05/01(Sun) 22:08:44 |