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No.241へ返信

all 特撮ヒーロー本編再録スレ2 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:55:25 [No.234]
選ばれざる者達 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:56:18 [No.235]
空間切り裂く剣閃と二人1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:56:54 [No.236]
空間切り裂く剣閃と二人2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:57:32 [No.237]
Sの仮面/選ばれざる男 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:58:19 [No.238]
彷徨うもの達4 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:58:58 [No.239]
分裂T - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:08:44 [No.240]
分裂U - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:10:28 [No.241]
分裂V - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:11:30 [No.242]
分裂W - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:14:13 [No.243]
Aの逡巡/天使の使命 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 22:14:57 [No.244]
震える大地 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 22:16:35 [No.245]


分裂U (No.240 への返信) - アズミ

 窓ガラスを突き破って跳んだディレイドと、それを追うマンティスが庭に降り立つ。
 ディレイドが空奈をその場に寝かせるのを待つように、ゆっくりとした足運びで近づくマンティス。
 激突は、ディレイドが振り向いた瞬間だった。

「せェやっ!」

「ぬうっ!」

 互いの胸に無遠慮に叩きこまれた拳が、両者の身体を数10cm強引に押しこむ。
 痛みに咽る間もなく、2人のライダーは蹴りを、拳を、いずれも必殺の威力を込めて打ち放った。

「ぐっ!?」

「おおっ!?」

 爆裂するような衝撃と破壊音が、空間を揺るがせる。有効打も捌いた数も同数。互角。
 真っ向勝負では埒が明かないと悟ったか、両者が次の行動に移るのも全くの同時だった。

「我々は組織だ。君独りに抗い切れるものではない!」

――Cast Off! Change Mantis!


「なぁに、仮面ライダーなんてのは、得てして独りで戦う羽目になるもんさ」

――KAMEN RIDE FIZE!


 ライダーフォームへ変形するマンティスが投降を促せば、仮面ライダー555へ変身するディレイドが涼と返す。
 聞き入れられないと見るや、次の瞬間には刀伊達の攻撃は容赦の色を失っていた。


「クロックアップ!」

――Clock UP!


「そういうの、こっちにもあるぜ!」

――FORM RIDE FIZE!
  ACCEL!


 世界を置き去りにして、銀と白の仮面ライダーが加速する。




「先輩!」

 駆けつけた尽介の眼には、ただ庭に吹き荒れる破壊の嵐だけが映っていた。
 ZECTのライダーシステム以外にクロックアップに対応するライダーがいたことも驚きだが、それ以上に尽介はあの写楽という男が刀伊達とほぼ互角に立ちまわっていることに戦慄を禁じ得なかった。現状、ZECT最強の戦士であるあの仮面ライダーマンティスに。
 だが、実状は彼の認識より少しだけ違っていた。





「くっ……!?」

 打ち込んだライダーブレードの一撃をファイズエッジに弾かれ、刀伊達が苦悶する。
 彼の不運は2つ。
 事前のダダらとの戦闘で先陣を切って奮戦した彼は少なからぬ消耗を被っていたこと。
 そして今一つは――鉄の如く鍛え上げた彼の精神ですら、組織の意志を執行する装置には成りきれなかったこと、だ。

「終わりにするぜ……!」

――FINAL ATTACK RIDE...
  FA FA FA FIZE!


 555アクセルのシルバーストリームがマンティスの視界に残光を残して迫る。

 拙い!

――3 2 1

「ライダースラッシュ!」

――RIDER SLASH!


 タキオン粒子を纏った刃は、辛うじてディレイドの必殺の一撃を受け止める。

「脆弱な人の……力は!
 団結によってのみ示される!
 他者の手を、たとえそれが怯えや虚栄に汚れていたとしても!
 疎んじていては……誰も護れはしない!」

 だが、荒れ狂うアクセルスパークルカットの破壊力はそんなことを意にも介さぬようにマンティスの剣勢を圧し切らんとしていた。

「……こんなもんに、誰かを付き合わせるのが団結か?」

「何!?」

 ZECTの判断は、恐らく全ての組織の誰もが頭に過ぎらせたものだっただろう。
 結合点。世界を崩壊させる導火線。その恐怖から目を逸らすのは、如何なる組織、如何なる存在でさえ耐えがたく恐ろしいに違いない。
 『自分が握ってないければ』、到底安心できない。その体質故に秘密結社であるZECTはそれが他より早く顕在化しただけだ。

「ビビって味方に銃向ける連中の手ぇ握って、ちゃんと戦えって言って聞かせるのがヒーローか?」

 それは、責められるべきことではない。
 脆弱な人間が、恐ろしいものを恐ろしいと感じる、それが罪過であるはずがない。
 こんな恐怖と、それに相対する使命を背負うのは人間の義務ではない。

「そのゴツい鉄の両腕は!踏みしめた鋼の足は!仮面ライダーは!」

 『だから』ヒーローは孤独なのだ。

 『だから』!彼らは孤高の戦士だったのだ!

「人に背負えねえもんを、背負い込むためにあるんだろうがっ!」

 接触面に蓄積した破壊力が、ついに両の抑えを振り払って爆裂する。
 弾かれたファイズエッジとライダーブレイドが、同時に宙を舞った。

「おォりゃあっ!」

「くうっ!?」

 間髪いれずに放った互いの拳が、火花を散らして擦過する。だが、コンマ1秒早く相手の胸に突き刺さったのはディレイドの拳だった。


――CLOCK OVER!

――TIME OUT!


[No.241] 2011/05/01(Sun) 22:10:28

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