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No.242へ返信

all 特撮ヒーロー本編再録スレ2 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:55:25 [No.234]
選ばれざる者達 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:56:18 [No.235]
空間切り裂く剣閃と二人1 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:56:54 [No.236]
空間切り裂く剣閃と二人2 - ライン - 2011/05/01(Sun) 21:57:32 [No.237]
Sの仮面/選ばれざる男 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 21:58:19 [No.238]
彷徨うもの達4 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 21:58:58 [No.239]
分裂T - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:08:44 [No.240]
分裂U - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:10:28 [No.241]
分裂V - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:11:30 [No.242]
分裂W - アズミ - 2011/05/01(Sun) 22:14:13 [No.243]
Aの逡巡/天使の使命 - 咲凪 - 2011/05/01(Sun) 22:14:57 [No.244]
震える大地 - ありくい - 2011/05/01(Sun) 22:16:35 [No.245]


分裂V (No.241 への返信) - アズミ

 無機質な電子音の宣告と共に2人の仮面ライダーは常人の時間に帰還する。
 と、同時に。2人を認めた尽介の眼に飛び込んだのは、その直後にくず折れる、マンティスの姿だった。

「先輩っ!?」

 刀伊達が遅れを取った。その事実に、彼の心は激しく動揺した。敵を目の前にして、倒れた仲間に変身もせず駆け寄ったことが何よりの証左だ。
 しかし、元の姿に戻ったディレイドは刀伊達と尽介には一顧だにせず、空奈を抱えると表玄関に向けて去っていく。
 彼の腕の中の空奈の姿に、ようやく尽介は戦意を取り戻した。

「待て!」

 パピリオゼクターを手にした尽介に、ディレイドは僅かに振りむいた。
 緑の複眼が、彼の胸を射竦める。

「今は時間がねえ」

 くい、と親指で示す尽介の背後――病院の側からは、異変を察知したか一個小隊のゼクトルーパーがやってきている。
 組織を同じくする彼らであったが、尽介はそれを仲間の救援とはどうしても思えなくなっていた。
 そんな彼の心中を見透かしたように、ディレイドは再び歩を進め始める。

「用があるならついてこい。途中で聞いてやる」

「…………っ!」

 もはや、敵として見ていない。
 硬直する彼に、絞り出すような刀伊達の声が喝を入れる。

「追え、尽介……」

「刀伊達先輩!」

 ライダーシステムは既に過度のダメージにより解除されている。刀伊達の負傷は重くは無かったが、戦闘の連続で疲労もピークだろう。表情は苦痛のまま、半身を起こすことで精一杯の様子だった。

「少女を守るんだ……お前自身の手で」

「でも、先輩は!」

「俺は、大丈夫だ。……組織の真意も見極めなければならない」

 まごつく尽介の背を、刀伊達の手が押した。

「行け……!
 お前は……大空を往き、尽くを助ける男だろう!」

 負傷の身とは思えぬ力強い手。
 尽介の心は、決まった。

「……了解!」

 ゼクトルーパーの足音を背に、走り出す。
 刀伊達はそれを見送ると、大きく息をついてその場に倒れ伏した。





 久我崎病院から30分ほどの路上で、アゲハのアゲハエクステンダーが病院から離れ行くマシンディレイダーに追いついた。

「おい!」

 空奈がディレイドの後ろに括りつけられている以上、いきなり攻撃をしかけるわけにもいかず、尽介はただ、声をかけた。

「なんだ!」

 短く問い返すディレイドに、尽介は思わず続く言葉に窮した。空奈を返せ、と言うのは容易いが、奪還しても尽介にはそこから先のプランが無い。……ZECTは頼れないと、既に決めていた。

「……これから、どうする気だよ!?」

 我ながら間抜けな問いだと思ったのだが、しかしディレイドはそれを馬鹿正直に返答した。

「SPIRITSの佐久間ケンってのが会いたいって言ってたんだろ!まずは会ってみるさ、名前だけは風見先輩に聞いたことがある!」

 風見、という名前に聞き覚えはなかったが、しかし佐久間に個人的なコネがあるなら悪くないプランだった。
 道中の敵組織や……ZECTの妨害を往なせれば、の話だが。

「SPIRITSもZECTと同じようなら、また別を当たるしかないな!」

 まるで群れる連中は信用ならんというばかりの口調に、尽介は噛みついた。

「そんなに組織が信用できないのかよ!」

「お前、ZECTのライダーだろうが!?」

「それがなんだよ!?」

 呆れたような口調に、思わず声を荒げる。だが、ディレイドは何のことはないように言った。

「敵にワームがいるんだぞ!人がたくさんいるところは護りにくいんだよ!」

「あ……!」

 ワームは人間に擬態し、社会に潜伏する。それはワームを認識し敵対するZECTであっても同じことで、しばしばワーム侵入の被害は被ってきたし、それがゆえの秘密主義である。
 今まではワームに大規模な組織だった動きがなかったためあまり考慮しなかったが、確かに敵がワームを尖兵としている現状では警戒すべき要素かもしれない。

(……いや、まさか評議会も既にワームに……?)

 脳裏を過ぎった恐ろしい推測を振り払うように、尽介は声を張り上げた。

「SPIRITSの本部、何処だか知ってるのか!?」

「いや?お前、知ってるか!?」

 あっけらかんと敵対者であるはずの彼に問うディレイドに、尽介は少し呆れた。
 が、進むべき道は既に決めている。

「次を左!」

「おう!」

 敵対しているはずの2人の仮面ライダーは、しかし並んで走り始めた。
 目の前に広がる、たった一つの道を。


「俺は写楽映。お前、名前は!」

「大空尽介――大空を往き尽くを助ける男だ!」

「変な名前だな!」

「そっちこそ、言えた名前かよ!」


[No.242] 2011/05/01(Sun) 22:11:30

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