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all サイバーパンクスレ本編再録第二部 - アズミ - 2011/05/01(Sun) 00:34:27 [No.188]
Otaky-dokey - アズミ - 2011/05/01(Sun) 00:35:19 [No.189]
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苦戦 - 遼 - 2011/05/03(Tue) 21:10:03 [No.254]
Phantom Crash1 - アズミ - 2011/05/03(Tue) 21:10:44 [No.255]
Shadow mission - ミド=クズハ - 2011/05/03(Tue) 21:14:39 [No.256]
Phantom Crash2 - アズミ - 2011/05/03(Tue) 21:15:15 [No.257]
やりたい放題、あるいは喧嘩を売る - 鷹目 - 2011/05/03(Tue) 21:15:59 [No.258]
Phantom Crash3 - アズミ - 2011/05/03(Tue) 21:16:44 [No.259]
Shadow - ミド=クズハ - 2011/05/03(Tue) 21:17:18 [No.260]
ティム・アンダーソンの憂鬱1 - DD3 - 2011/05/03(Tue) 21:18:17 [No.261]
ティム・アンダーソンの憂鬱2 - DD3 - 2011/05/03(Tue) 21:19:02 [No.262]
見上げた空は高く青く - カオル・ミヤタカ - 2011/05/03(Tue) 21:19:55 [No.263]


Phantom Crash2 (No.256 への返信) - アズミ

 日が翳った。
 レーザーブレードの白光を引いて、赤黒いAWがこちらに迫る。

「……切り抜け……いや、かわすっ!」

『了解!』

 散弾砲を正面から叩き込み、スラスターを吹かしてバックジャンプ。外壁にホイールを食い込ませ、そのまま壁面ダッシュで敵機の側面に回りこむ。
 観測する限り、散弾砲によるダメージは微少。やはり単分子ブレードによる白兵戦しかないだろうが、敢えてカケルが迎撃を避けたのは……。

「アレは正面からやりあっちゃダメだ」

 光熱剣はエネルギーを常時消耗するという難点があるが、実体剣に比べて打ち合いにアドバンテージがある。熱量そのものであるため、刃なり盾なり、然るべき防御手段で受け止められないのだ。
 それでも並の相手なら一合で両断するだけの腕を我がマスターは持っているが、それを避けたということはあのAW、少なくともランカー級の腕らしい。
 いや、むしろ事件の顛末を考えれば……。

『マスター、あれが件の拉致されたランカーということはございませんこと?』

 私の問いに、マスターは精査するように視線を鋭くするものの、ついぞ応えなかった。
 壁面を蹴って、そのままAWに肉薄する。右手のレーザーブレードがなぎ払いをかけてくるが、これは掻い潜ってかわした。
 Vの字を描くように切り上げた単分子ブレードは、しかし――

「な――ぁっ!?」

 突如、ホイールを唸らせ『バク転』を敢行したAWに回避された。
 『メロンターン』!

「チッ……!」

 バク転の勢いそのままに襲い来るレーザーブレードの一撃をかわし、再び窮鼠は距離を取る。
 メロンターン。拉致されたJacksの得意技だ。締まらない名前は何でも古いアニメから取ったものらしいが、ネーミングはともかく初見で回避するのは極めて難しい格闘マニューバー。
 やはりこのAW、拉致されたランカーが……。

「Jacksじゃない」

 カケルはぽつりと言った。

『マスター?』

「Jacksなら、あの追撃を外したりはしない」

 カケルは断言した。珍しく、その語調には怒りというか……攻撃性が含まれていたように、感じた。

「あいつの技だけ、盗んだんだ」

 ホイールを収納し、脚部をバランスが取れるぎりぎりまで屈曲。腰を落として単分子ブレードを構える。

「Chu−B、次で決める。
 操作はオールマニュアルで」

『はっ!?』

 多脚歩行三次元戦闘兵器であるAWの操作は、PGのような動作とレースではなく機械式にする場合、どうしても多くの場合をオートメイションにせざるを得ない。
 普段はマニュアル動作で如何に有用な動作パターンを開発するか、戦闘時は如何に限られた動作パターンから最適のものを選択するかがAW操作の肝と言えるわけだが……戦闘中にマニュアル操作など!

『自殺行為ですわ、マスター!』

 何より、私の補助も全く不可能になる。
 だがマスターは頑として受け付けなかった。

「黙ってて、Chu-B」

『マス……!?』

 窮鼠が散弾砲を上方、外壁へ向けて撃った。それを合図に窮鼠が地を蹴り、敵AWも突進してくる。
 レーザーブレードが閃いた。
 命中すれば軽量AWの装甲など一瞬で溶断されてしまうだろう。
 だが外壁の瓦礫が降り注ぐ中、マスターは臆さず突進した。否、厳密には機械にも不可能な精密な速度調整を行っていたのだが、このときの私は気づかなかった。
 レーザーブレードの刃が目の前に迫る。

『マスター!』

「大丈夫」

 マスターが応えると同時、一際巨大な瓦礫が落下しブレードを遮った。

『なっ……!』

 驚き狼狽したのは私だけではないらしい。瓦礫を飛び越えた向こうで、立ち尽くしたAWが迫る単分子ブレードをぼんやりと見上げていた。

「GameOverだ!」

 むき出しの脚部を地面と擦過させながら停止した窮鼠の背後で、四肢を失った敵AWの胴体がアスファルトの上に転がった。


[No.257] 2011/05/03(Tue) 21:15:15

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