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all コテファテ再録2 - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:48:27 [No.326]
少女偽曲T - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:49:23 [No.327]
少女偽曲U - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:50:06 [No.328]
運命の名 - きうい - 2011/05/23(Mon) 21:50:49 [No.329]
欠損英雄W - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:51:28 [No.330]
欠損英雄X - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:51:55 [No.331]
平穏の狭間T−2 - 咲凪 - 2011/05/23(Mon) 21:52:42 [No.332]
イレギュラーT - ジョニー - 2011/05/23(Mon) 21:53:11 [No.333]
天命に至る道 - きうい - 2011/05/23(Mon) 21:53:58 [No.334]
イレギュラーU - ジョニー - 2011/05/23(Mon) 21:54:55 [No.335]
宿命への直言 - きうい - 2011/05/23(Mon) 21:55:36 [No.336]
殺神夜会T - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:56:15 [No.337]
星の巡り - きうい - 2011/05/23(Mon) 21:56:58 [No.338]
少女偽曲V - アズミ - 2011/05/23(Mon) 21:57:56 [No.339]
日常の狭間T−3 - 咲凪 - 2011/05/23(Mon) 21:59:23 [No.340]
殺神夜会U - アズミ - 2011/05/23(Mon) 22:00:04 [No.341]
イレギュラーV - ジョニー - 2011/05/23(Mon) 22:00:44 [No.342]
殺神夜会V - アズミ - 2011/05/23(Mon) 22:02:11 [No.343]
歪な因果 - きうい - 2011/05/23(Mon) 22:02:50 [No.344]
殺神夜会W - アズミ - 2011/05/23(Mon) 22:03:34 [No.345]
『其』の時 - きうい - 2011/05/23(Mon) 22:04:13 [No.346]
虚構彩る勝利の剣―1 - 咲凪 - 2011/05/23(Mon) 22:05:05 [No.347]
虚構彩る勝利の剣―2 - 咲凪 - 2011/05/23(Mon) 22:05:39 [No.348]
虚構彩る勝利の剣―3 - 咲凪 - 2011/05/23(Mon) 22:06:10 [No.349]
虚構彩る勝利の剣―4 - アズミ - 2011/05/23(Mon) 22:06:44 [No.350]
天幕模様T - アズミ - 2011/05/23(Mon) 22:07:16 [No.351]


星の巡り (No.337 への返信) - きうい

 「では、手筈通りに。」
 「うん。行ってくれ。」

 橋口が携帯電話を投げて渡すと、バーサーカーは廃墟の外に出て行った。

 「許せよ、兄ちゃん。ケツは拭くからさ……。」

――――

 橋口が彼女と出会ったのは、38歳の誕生日を3ヶ月後に控えたある日の事。

 「あなたは、何故警察官をしているのですか?」

 光り輝く「それ」は、開口一番にそう問うた。

 橋口は、なぜか彼女の事を不自然には思えず、素直に質問の答えを考え、応えた。

 「わからない。」と。

 「では、警察官とはどうあるべきだと思いますか。」

 あなたは、それになりたくはありませんか。

 彼女は問うた。

 「俺は。」

 頭に浮かんだのは、警邏中に目にして来たクズども。上司が汚職を働く現場。
 世の中はそういうふうに成り立っているとわかっていながら、納得はできなかった、そういう者たち。

――――正されるべきだ。

 言葉ではなく、心でそう思った時、彼女は。

 「叶えましょう。」

 と言い。

 橋口は、突然に。唐突に。人間をやめた。

――――

 それでもこれは、俺の意志なのだ。

 そう自分に言い聞かせながら、モールの濡れた床に洗剤を撒く。

 三尖刀から溢れる豊富な水で全フロアのタイルを覆い、薬剤や寒天を混ぜ滑りやすくする、ただそれだけのトラップだ。

 だが単純であるがゆえに魔力での回避は難しい。滑らないように一瞬でも行動が遅れればそれで良いのだ。
 水分である以上、宝具:二郎真君三尖刀で味方の行動を阻害しないように好きに動かせる。

 それに、こちらには人数がいる。
 自由に動き回れる者が百余人持いれば、隙の一つぐらい出来るであろう。

 それに、橋口には秘策があった。


――――

 湖底市市会議員、橋口凜吾は橋口圭司の父方の従兄に当たる。
 代議士の例にもれず、彼もまた地方の中小企業に顔が効いたし、贔屓「されない」側の企業から恨みも買っていた。

 「もしもし……夜分申し訳ありません。わたくし“市会議員橋口凜吾の事務所の者”です。
  ご主人は御在宅でしょうか?
  ……あ、どうも。わたくしです。はい、予定が早まりまして、明日午後20時。場所は以前お伝えした通り。ええ、『いよいよ決起の時です』。
 『よろしくお願いしますね』。」


 その言葉には、心をざわつかせる甘い毒の匂いが漂っていた。

――――

 「……終わりました。」
 「おっと気を付けてくれよ。」

 モールに戻ってきたバーサーカーに橋口が声をかける。

 「いい気分じゃねえなあ、身内を餌にするってのは。」
 「異分子を取り除くためです。致し方ありません。」

 橋口には、奥の手があった。
 バーサーカーと橋口は、市の有力企業に訪問し、それとなく市会議員橋口凜吾の評判を聞いていた。
 橋口の「元警察官」という肩書きは信頼を得るのにとても便利であったし、バーサーカーの「逆徒を見抜く」才能は、それとなく橋口凜吾への敵意の有無を晒させる役に立った。
 人脈さえそろえば後は洗脳するだけ。
 バーサーカーに何度も電話をかけさえ、電波越しに『勧誘』を繰り返させた。

 電話越しでも多少は魔力が通る。逆徒としての使命感と正義感を少しずつ植えつけ、決起集会の約束を取り付ける。

 ただそれだけだ。

 あとはバーサーカーのカリスマで一挙に暴徒化させ、叩きつける。

 本当はもっと様子見をしてバーサーカーの剣が通る相手だけをおびき寄せるつもりだったが、そうも言っていられなくなった。

 「主(マスター)こそ、準備は。」
 「ああ、大丈夫だ。『どうとでもなる』。」

 これが聖杯戦争である以上、時間はかかっても敵は必ず、勝手にやってくる。
 それに、明日はここに人が不自然に集まるのだ。偵察ぐらいには来るだろう。

 派手な挑戦状はいらない。

 「ここにマスターがいる」ただそれだけで、十分戦う理由になる。

 来なければ来なかったで、こちらは準備をより万全にするだけだ。水脈でも気脈でも魔法陣でも、魔力的陣地を広げる手段はいくらでもある。

 「斬るぞ。」
 「はい。」

 真に悪なるものを。
 真に無秩序なる■を。■をこそ斬るために。


[No.338] 2011/05/23(Mon) 21:56:58

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