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No.373へ返信

all コテファテ再録3 - アズミ - 2011/05/24(Tue) 21:56:45 [No.352]
天幕模様U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 21:57:20 [No.353]
天幕模様V - アズミ - 2011/05/24(Tue) 21:58:00 [No.354]
天幕模様W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 21:58:43 [No.355]
悟睡の日T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 21:59:21 [No.356]
悟睡の日U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:00:00 [No.357]
悟睡の日V - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:00:38 [No.358]
民の太陽と - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:01:20 [No.359]
悟睡の日W - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:02:05 [No.360]
悟睡の日X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:03:08 [No.361]
悟睡の日Y - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:04:00 [No.362]
透る射界T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:05:00 [No.363]
透る射界U - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:05:39 [No.364]
透る射界V - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:06:16 [No.365]
その他大勢のためだけの - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:07:00 [No.366]
透る射界W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:07:38 [No.367]
透る射界X - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:11:58 [No.368]
透る射界Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:13:42 [No.369]
執終の王T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:14:30 [No.370]
抵抗と救難 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:15:10 [No.371]
執終の王U - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:15:51 [No.372]
宿命の帝王 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:16:32 [No.373]
執終の王V - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:17:10 [No.374]
執終の王W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:17:53 [No.375]
暫時の会談 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:18:51 [No.376]
少女偽曲W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:19:33 [No.377]
天幕模様X - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:20:10 [No.378]
暗く蠢く - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:20:36 [No.379]


宿命の帝王 (No.372 への返信) - きうい

 「おうええええ……!!」

 壁に寄りかかりながら、内臓をひっくり返すような嘔吐をする橋口圭司。

 『血管』達のいない方へと逃げた後、彼はパジェロのフロントガラス越しに、『その巨体』を見た。

 車を降り、地に三尖刀を突き、地脈を見た。

 
――――持って行かれた!

 龍脈と意識を接続した瞬間、生命を剥奪せんとする意思が彼の中に流れ込んだ。

 呪詛。

 死ね、苦しめ、命をくれ。

 血を抜かれ、代わりに泥を注入されたような感覚が彼を支配した。

 吐瀉物には、黒い『何か』が混じっている。仙人たる彼の力が、辛うじてその『毒』を物理的に弾きだせたのだろう。

 橋口は吐き気をこらえながら、手のひらいっぱいの松の実を一気に口に押し込み、嚥下した。

――――あれは、ヤバい。

 橋口の中の「魔性」が告げている。
 逃げたい。帰りたい。足が震える。

 けれど。

――――ここで帰って、意味などあるのか?

 あれは間違いなく、今回の聖杯戦争に関わるものだ。
 知らずにいる、ということは許されない。いつかは必ず対峙する。
 ならば、今逃げてしまったら、それは『自分ではあれに勝てないと宣言するようなものではないか』。


 そんなことは認められない。
 あれが『呪詛』なら尚の事、如何なる手を持ってしても叩き潰さなければならない。そのために聖杯戦争に参加したのだから。

 パジェロに乗り、アクセルを踏む。


――――冷静になれ。

 橋口は自分にいい聞かせた。

 銃声が聞こえた。
 ということは、マスター同士の対決があったのだ。
 そして、そのマスターたちは、あの、『悪意を煮しめたような巨大な血管』を『使役していた』のか?
 恐らくはノーだ。余波だけで人を殺戮せしめるような呪詛の塊など、まともな英霊(というのも変だが)な訳もない。
 狂化した英霊、というならまだわからないでもないが、自分がバーサーカーのマスターである以上、それもない。

 ならばあれは、純然たる魔物なのだ。

 そしておそらく、マスター連中はアレの退治、あるいはアレから逃走を図っている。

 回り道をしつつ、『血管獣』の目線の先へ向かうべくハンドルを切っていく。


――――

 「うおっ!?」

 左の角から現れたパジェロが、反射的に左へと切れていく。

 パジェロが停車し、降りて来たのは、長い棒を手にした背広姿の男だった。

 『こんなところに』いる。

 ただそれだけで、彼らはお互いの立場を最低限理解した。

 「……御覧の通りだ。」
 「ああ。
  自己紹介は、後の方がよさそうだな。」

 康一が肩をすくめると、背広の男が腰を低く落とし、棒を血管獣に向けた。
 その先端に、水が回転し渦を巻き始める。

 「よせっ!」
 「何?」

 康一が叫ぶ。

 「『あれ』には無駄だ。」
 「……自動呪詛返し(オートカウンター)か。」

――――余計なことをするな、被害がこちらに及ぶ。

 康一の切迫した声に、背広の男は言外の意味を読み取り、『あれ』の特性を改めて理解した。

 「あの娘っ子は?」
 「お前に言う理由は?」

 背広の男が血管獣に対峙するアサシンについて問うも、康一は警戒を緩めない。

 「……。
  あれを倒そうとしているなら、協力する。

  俺は、橋口圭司。バーサーカーのマスターだ。」

 信じてくれと言う代わりに、橋口は、棒から放った水流の刃でアサシンに向かう触手を一つ切り裂いた。


[No.373] 2011/05/24(Tue) 22:16:32

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