[ リストに戻る ]
No.384へ返信

all コテファテ再録4 - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:33:01 [No.380]
天幕模様Y - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:33:40 [No.381]
透る射界Z - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:34:18 [No.382]
崩壊境界T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:37:01 [No.383]
神王の息 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:37:44 [No.384]
神王の息U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:38:14 [No.385]
神王の息V - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:41:44 [No.386]
少女偽曲X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:42:26 [No.387]
血宴の絆T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:43:03 [No.388]
血宴の絆U - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:43:40 [No.389]
神王の息X - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:44:28 [No.390]
暗く蠢くU - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:45:10 [No.391]
少女偽曲Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:45:49 [No.392]
螺旋血管T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:46:21 [No.393]
赤色偽剣T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:47:00 [No.394]
血宴の絆V - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:47:39 [No.395]
血宴の絆W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:13 [No.396]
血宴の絆X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:57 [No.397]
血宴の絆Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:49:41 [No.398]
義侠舞曲T - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:50:45 [No.399]
レアルタ・ヌアT - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:51:33 [No.400]
レアルタ・ヌアU - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:52:47 [No.401]
レアルタ・ヌアV - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:53:21 [No.402]
赤色偽剣U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:53:57 [No.403]


神王の息 (No.383 への返信) - きうい

 「黒化英霊、ってわかる?」
 「いや。」

 小太りで背の低い、探検ルックの男と、やせぎすで背の高い、Tシャツにジーンズの男が、破壊されたアスファルトを見下ろしていた。

 「だが、不愉快なものだと言うのは理解できた。」

 痩せぎすの男の顔に、嫌悪の表情が映された。


――――

 「つまり、英霊の影、というか、英霊そのものではあるんだけど……。」
 「全然わからん。」

 湖底市のとあるマンションの一室。
 橋口凜土とキャスター・アメンホテプ四世は畳の上に座って向かい合っていた。

 コンビニで買ってきた食料を2人でパクついている。
 もちろん、英霊に食事の必要は本来はない。

 「冬木市の聖杯戦争は結構有名でさ、その時に関わって来たらしいんだけど、いや僕も良く知らないんだけどね。」
 「つまり偽物なんだな?」
 「いや、そうじゃなくてだね、英霊ってのは色んな解釈ができる訳で、その中でも……んーーと、えーーーとね。」
 「何を言いたいのかさっぱりわからん。
  そもそもそれは我が理解して意味のあることか?」
 「無いね。」
 「だろう。」

 会話終了。
 理屈で説明したがる凜土と、直感を信じるキャスターとは、ある意味いいコンビであるともいえた。

 「本屋に行くか。」
 「本屋……。ああ、そうかこの時代は書物が沢山沢山沢山あるんだったな!」

 文明サイコー!

 「静かに。」

 興奮するキャスターにそっと釘をさす凜土である。


――――

 「……随分と狭い店だ。」
 「そう言うのがウケるんだよ。」

 店内をきょろきょろと見回すキャスターを尻目に、薄い本を手に取り矯めつ眇めつする凜土。

 「それにその……煩悩をアレだ。あれをあれしてる、けしからん本が多いぞ!前の店に比べて!」
 「そういう店だから。あと静かにね。」
 「マスターもこう言う、煩悩を満たすための本が好きなのか。」
 「とても。」

 客の視線を集めていることを気にもかけない二人である。

 「でも僕は寧ろ、偽史とか架空戦記の方が好きなんだよね、下火のジャンルだけど。
  実際にこの時代だったらそれは無いやろとか突っ込んだり、自分ならこう言う解釈するなぁとか考えるのが好きなんだ。」
 「意地悪な趣味だな。」

 橋口凜土は考古学者である。博士号もきちんと取っている。

 「で、我のために来たのではないのか。」
 「ああそうそう。そうだった。まだあったかなあ。」

 手に取った本をおいて、文庫のコーナーに移る凜土。
 一冊の厚い本を見つけ、にっこり笑った。

 「よかったあった。」
 
――――

 電車の中、キャスターは文庫本を横にしてめくりながら、しかめっ面をしていた。

 「……何故日本の文字は縦書きなんだ。」
 「だからって横にして読む奴は如何にも稀だ。」

 真新しく輝く文庫の表紙には、「Fate/Zero Vol,1 -第四次聖杯戦争秘話- 」の文字が燦然と輝いていた。

 いいのか。

 「王だから大丈夫だ。」
 「偽史偽史。」

 あんたらもっと抑止力に気を付けるように。


――――

 背後に突然に現れた二つの気配。
 七貴マリナが振り返ると、二人の男が立っていた。

 「七貴マリナちゃん。だね?」
 「……誰?」

 男の内、背が低くて太っている方が、七貴マリナに声をかけた。

 「ではこちらから名乗ろう、我は――――」

 喋りだした背の高い男の口を、慌てて男が塞いだ。

 「何をするか無礼者!」
 「名乗っちゃだめだろ!
  あと、一応今僕マスターだからね!僕が上司だから!」
 「サーヴァントとマスター……!」

 七貴マリナが身構える。
 まずい。消耗した状態のランサーで戦闘は可能だろうか?
 逃げることは?
 どちらも無理か?

 「色々訊きたいこともあるけれど……とりあえず一つだけ。」

 七貴マリナが行動を決定する前に、小太りの男が声をかけた。

 「……何?」
 「聖杯を譲る気は、無いかな?」

 小太り男の上目遣いの瞳に、確かな狂気の一端を見た。


 七貴マリナの答えは一つ。

 「『ライダー』!!」
 「やっぱりね、『キャスター』!」

 マスター同士の声が交錯する。

 「防げ!」
 「焼いちゃえ。」

 サーヴァントが応える。

 「御意。」
 「心得た。」

 槍を構えるライダーに、キャスターは怯まず杖を向けた。
 
 「日本の文化は素敵だ。
  特に言霊信仰と言うのは気に入った。
 我はこの術に良い名前を付けたので聞け!
 そして燃え尽きよ!」
 「悪いが聞く義理は無いな、キャスター。」
 「でも聞け!
 『月王の失せし呪術』――!!
 (プロミネンス・ボルト――!!)」

 太陽の如き赤く巨大な光熱が、キャスターのウアス杖から射出された。


[No.384] 2011/05/24(Tue) 22:37:44

Name
E-Mail
URL
Subject
Color
Cookie / Pass

- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS