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No.386へ返信

all コテファテ再録4 - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:33:01 [No.380]
天幕模様Y - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:33:40 [No.381]
透る射界Z - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:34:18 [No.382]
崩壊境界T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:37:01 [No.383]
神王の息 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:37:44 [No.384]
神王の息U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:38:14 [No.385]
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血宴の絆T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:43:03 [No.388]
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神王の息X - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:44:28 [No.390]
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少女偽曲Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:45:49 [No.392]
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血宴の絆V - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:47:39 [No.395]
血宴の絆W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:13 [No.396]
血宴の絆X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:57 [No.397]
血宴の絆Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:49:41 [No.398]
義侠舞曲T - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:50:45 [No.399]
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レアルタ・ヌアV - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:53:21 [No.402]
赤色偽剣U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:53:57 [No.403]


神王の息V (No.385 への返信) - 咲凪

「マリナ――!!」

 ライダーが怒号と共に駆ける、やせすぎで背の高いキャスターは凜土の持つ「死者の書」の力により、彼の傍らへと移動していた。
 彼の放っていた火球は、結局のところ終始ライダーに対する目晦ましであったのだ。
 マリナの事を調べる機会があったのは二度、黒い英霊と闘っていた時と、血管獣との戦いの時だ。
 この時に凜土は偵察に放っていた使い魔を経由して、彼女が治癒魔術に特化していて、本人には大きな戦闘能力が無い事が判っていた、当然そこが隙になると凜土は思い、そしてそれは間違いが無かったのだ。
 闘う力が乏しい魔術師ならば、サーヴァントではなく、マスターでも殺す事が出来る――。

「あと一息なのでな」
「キャスター、そこをどけぇ!!」
「邪魔しないで頂こう」

 キャスターの持つウアス杖から連続して火球が放たれた。
 先ほどの目晦ましの為の大きな火球では無いが、ライダーの脚を止める為にはこれが正解。
 ライダーもまた己の抗魔力を持ってして火球をものともせず突き進んで来るが、それよりも早く、凛土のナイフがマリナにトドメを刺す。
 そうすれば後は撤退するだけで良い、マスターが居なくなれば、ただでさえ消耗しているライダーはやがて消失する。

 それこそが橋口凛土の作戦、そして七貴マリナの辿る運命!。

 これでようやく一騎、サーヴァントがこの舞台から降りる、凛土もキャスターもそう確信した。

 ――――――だが。

「――い、ぅぐあっ……っ!?」

 悲鳴を上げたのは凛土の方であった。
 マリナの背中に突き立てたナイフを握る手が無数の刺し傷により出血している。

「――――ふふ、ははっ、まるでヤマアラシだな」
「どうした……うがっ!!」

 凛土の上げた悲鳴に、そちらを伺ったキャスターは一瞬目を離した隙に距離を詰めたライダーのランスに殴り飛ばされる。
 そしてライダーもまた視線をマリナの方へと向けた目を見張る、マリナの背は凛土の言葉のようにヤマアラシのように、あるいは地獄の光景の一つのように。

「マリナ――――」

 傷口から溢れた血液が、そのまま赤い剣山のように――――ヤマアラシのように、彼女の背から無数に突き出ていた。
 何時の間にか彼女の髪を纏めていた紐が解けている、髪に隠れてマリナの表情は見れない――。

「ライダー、キャスターを抑えて、マスターは私が殺すわ」
「マリナ、その傷で戦闘は無理だ!」

 刺された時に、その衝撃で膝を突き姿勢を崩していたマリナがゆらりと立ち上がる。
 マリナの表情は見えない。髪の毛は既に顔を隠していないにも関わらず、“マリナに表情は見えない”。

「大丈夫、このくらいじゃ、死なないから」

 言葉と共に、マリナは背に刺さったままのナイフを自ら引き抜いた。
 傷口から血液が大量に溢れ、マリナの服を赤く染める、紅く赤く、朱く、染め上げていく。
 その傷口から溢れる血も、やがて瘡蓋(かさぶた)のように傷口を覆った赤色の棘に覆われた、ライダーはそれをマリナの魔術と判断した。
 しかし大量出血には変わりが無い、これは間違いなく危機であったが――――同時に、マリナにとっては好機でもあった。

「赤色偽剣展開、生成――――」

 アスファルトが隆起する、いや――アスファルトにぶちまけられた、彼女の血が立ち上がり、刃の形に固定した。

「いかん、マスター!」
「1番から5番、投射」

 生成された彼女自身の血液による赤い刃が、彼女の命に従い5本、橋口凛土に襲い掛かる。
 投射された側から、赤い刃はキャスターの放った熱放射に焼き払われた。

「6番、7番、順次投射、――ライダー、キャスターを抑えて」
「……っ、心得た」

 困惑しつつも、ライダーはキャスターに立ち塞がる、
 キャスターの援護を失った凛土に再び赤い刃が遅い掛かる。

「くそっ!」

 身を捻ってかわそうとするも、凛土の腕に赤い刃が突き刺さる、続けて首を取りに来た7本目の赤い刃は死者の書の力による瞬間移動でかわした。
 凛土にとっては都合よく、キャスターにとっては幸運な事に、度重なる火球を受けたアスファルトが溶け、それによって崩れたブロックベイによりライダーとキャスターの間が刹那に分断される。

「マスター、退くぞ!」
「だけど!」

 キャスターの言葉に凛土は反論した、相手は確実に消耗している、マスターも負傷した事には変わり無い筈だ、むしろそれが回復する前に押し切るのが定石だと思えたし、キャスターもまだ宝具を使っていない。
 マリナから受けた腕の傷の痛みが凛土を熱くさせている事もあったが、キャスターは冷静だった。
 確かに宝具を使えばライダーを押し切る事が出来るかもしれない、ライダーは恐らく二度目の宝具の使用に踏み切るだろう、相手の消耗を考慮すれば宝具の勝負に分があるのはキャスターだ。
 だが、キャスターの宝具は大軍宝具、一度に要する魔力が大きい、これを防がれた時点で、キャスターの勝ちは無くなると言って良い。
 それほどの賭けをする程の価値は、今回の襲撃には無い――――まだ好機はあるとキャスターは判断した。

「流れが変わっているのだ、立て直す機会も今しかない」
「くっ……」

 凛土は、キャスターの献策に従う事にした。
 ブロックベイの向こうで聞こえた声、そして気配が消えるのをライダーは察知したが、彼は自らの消耗とマリナの大量出血を想い、あえてこれを追う事をしなかった。
 それに、いかにライダーとはいえ瞬間移動をする相手を追う事は出来ない、敵の気配が消えると同時に、ライダーは主であるマリナに駆け寄った。

「マリナ!!」
「――――…………血が足りないだけ、生きてるわ」

 マリナもまた、凛土達が退散したのを感じ取り、静かにその場に膝を着いた。
 ライダーが彼女を支えると、マリナの背に広がっていた血液の棘がボロボロと崩れていった。
 そしてそのまま、マリナは気を失った。


[No.386] 2011/05/24(Tue) 22:41:44

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