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No.391へ返信

all コテファテ再録4 - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:33:01 [No.380]
天幕模様Y - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:33:40 [No.381]
透る射界Z - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:34:18 [No.382]
崩壊境界T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:37:01 [No.383]
神王の息 - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:37:44 [No.384]
神王の息U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:38:14 [No.385]
神王の息V - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:41:44 [No.386]
少女偽曲X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:42:26 [No.387]
血宴の絆T - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:43:03 [No.388]
血宴の絆U - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:43:40 [No.389]
神王の息X - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:44:28 [No.390]
暗く蠢くU - ジョニー - 2011/05/24(Tue) 22:45:10 [No.391]
少女偽曲Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:45:49 [No.392]
螺旋血管T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:46:21 [No.393]
赤色偽剣T - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:47:00 [No.394]
血宴の絆V - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:47:39 [No.395]
血宴の絆W - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:13 [No.396]
血宴の絆X - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:48:57 [No.397]
血宴の絆Y - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:49:41 [No.398]
義侠舞曲T - きうい - 2011/05/24(Tue) 22:50:45 [No.399]
レアルタ・ヌアT - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:51:33 [No.400]
レアルタ・ヌアU - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:52:47 [No.401]
レアルタ・ヌアV - アズミ - 2011/05/24(Tue) 22:53:21 [No.402]
赤色偽剣U - 咲凪 - 2011/05/24(Tue) 22:53:57 [No.403]


暗く蠢くU (No.390 への返信) - ジョニー

「ちわー、天川からのお届け物でーす」

 そんな第一声と共に締め出しを喰らった人物が、ドンドンと扉を叩く音が響く。
 つーか、迷惑だ。此処はホテルだぞ。廊下で此処を開けてなどと叫ぶな。

「はぁ、で何の用だ?」

「いやいやいや!何の用は酷いよ、勇治様ぁ!?
ぬぁ、つばぁ!!?」

「てゆーか、この子誰です、ご主人様?」

 勇治が再びドアを開けて招き入れると同時に勇治に掴みかかり、あっという間にアサシンの呪術で床に倒れ伏す少女。
 なんというかギャグ漫画のような展開だった。アサシンの冷たい視線が洒落にならんが。

「あー、天川分家の高原の娘。一応、俺の幼馴染だ」

 敵じゃないから呪うのやめてやれという主の言葉に、渋々引き下がるアサシン。

「幼馴染、なんですかその美味しい立場は。フラグですか、フラグなんですかー」

 アサシンが怖い。
 ぶつぶつなにか呟くアサシンに恐怖を感じながら、勇治は床に這いつくばった少女に目を向ける。

「う、うぅぅ……あたしの扱いが酷過ぎる」

「言ってないで、さっさと起きろ。あとちゃんと挨拶ぐらいしろ」

 呪いが止んで、よろよろと立ち上がる。
 なんというかまるで生まれたての小鹿のような消耗具合だ。流石は日本三大妖怪の呪いである、明らかに軽くやってたのにこれか。

「うぅ、えーと…勇治様のサーヴァントのアサシンだよね。あたしは高原美弥子、此度は勇治様に用意しろって言われた道具一式を持ってきました」

 ぺこりと頭を下げて挨拶する美弥子。

「道具?」

「あぁ、此処に来た時は聖杯戦争なんかに巻き込まれるとは思ってなかったからな。そこまでの装備はしてこなかったんだ。
とはいえ、こうして参加する事になったから万全を尽くす為に装備や薬なんかを補充を頼んだんだ」

 なるほどとアサシンは頷く。
 万全の状態で参加した他のマスターと比べ、勇治は如何にも急造である。せめて装備一式だけでも完璧に揃えようとする当然だろう。

「で、これが用意した家の鍵ね。お父さんの名義だから一発で勇治様に辿り着く事はないと思う」

 高原が天川の分家って知っているならともかく。と言って鍵を手渡す。
 これも勇治が言って用意させたものの一つだ。さすがに何時までもこのホテルを拠点とするわけにはいかない。仕方なかったとはいえ、ライダー達にこの場所を知られたのだから早いうちに拠点を移す必要もある。
 そういう意味では美弥子の到着はいいタイミングだったと言える。

「売りに出されてた一戸建てを買い取って、ちょっと裏から手を回したから明日の昼前にはもうライフラインも整ってるはずだよ」

 家具や食器なんかも最低限揃えておいたからと美弥子は続ける。
 なんかアサシンが嬉しそうに目を輝かせている。変わり身が早い。

「一戸建てにご主人様と一緒にお引っ越し。
キャー!まるで新婚夫婦みたいです!」

 両手で顔を覆って恥ずかしそうにしてるが、逆に尻尾は嬉しそうにぶんぶん振られている。
 そんなアサシンを生温かい目で見ていると、ふと何かを思い出したように美弥子がポケットからあるものを取り出す。

「そーそー、忘れてた。此処に来る前にちょっと戦い目撃して、その跡地から拾って来たんだ」

 そう言って美弥子が差し出すのはローブを被り杖と本を持った老人の描かれたカード。キャスターのクラスカードだった。

「クラスカード!? これは、キャスターのか」

「これでしょ、今勇治様達が集めてるのって」

「あぁ、そうだが…どうやって」

 どういう経緯で手に入れたか詳しく問いただそうとした、次の瞬間には3人して窓のもとに走って外を見る。

 混血の勇治と美弥子、そしてサーヴァントのアサシンが同時に感じ取った嫌な気配。
 窓の下、ホテルの裏路地に一人の若者が立っている。まるで見せつけるように。

「……美弥子は希を頼む、行くぞアサシン」

「りょうかい」

「任せてください、ご主人様!」







 勇治とアサシンがその場に付いた時、待っていたとばかりにその男はいまだにそこにいた。

「カカッ、思ったより早かったの」

「何者だ?」

 見た目と異なり、老人のような口調。
 違和感が酷い。その口調ではなく、その身に纏う気配は年経たものだ、故にその若々しい姿と声にこそ違和感が生じる。

「加賀宗造。この地の聖杯戦争を起こしたものよ」

 その言葉に勇治とアサシンが内心反応するが、外には微塵も出さない。
 此処の手の輩に内心を悟らせるのは危険だと知っている故に。

「それで、その加賀宗造が何の用だ」

「なに、小僧。ぬしらの持つクラスカードを渡して欲しいのよ」

「……渡すと思っているのか?」

 年老いた魔術師は危険だが、此方にはサーヴァントがいる。
 少なくともサーヴァントの気配はアサシン以外にはない。工房の外である此処で実力行使に出る可能性は低い。

「カッ、まぁ思わんよ。なに身内への仕置きに出たついでよ。今日のところはいずれ受け取りに来るという宣言だけよ」

「……憐れですねぇ」

 それまで黙っていたアサシンが唐突に口を開いた。

「そんなになってまで生きたいですか」

「カカ、当然よ。「」に辿り着くまで滅びぬよ」

 すっとアサシンの目が細まり、想像を睨む。

「まぁどうでもいいですけど。そんな死臭に塗れた存在で、ご主人様に近づかないでくれます?」

「クカカッ、嫌われたものよ。それはそうと、ぬしらと協力関係にあるランサーとそのマスターが危機に陥っておるぞ」

 ピクリと勇治が反応する。
 何故なら彼らには希を助けてもらった恩がある。

「どういうつもりだ?」

「なに、この場を見逃してくれということよ」

 胡散臭い、信用できない。可能ならこいつはこの場で殺すべきだ。
 だが、ランサー達を見捨てるわけにはいかない。

「カカッ、等価交換成立よな。向こうに行くがいい、アサシンならばすぐに補足できるだろうて。
安心せい、今日のところはこれで退散する。ホテルの中の者には手は出さんよ」

「………アサシン」

「…………分かりました、ご主人様」

 アサシンが呪術による護りをホテルに施し、二人は駆け出して行く。


「カッ、甘い事よ。故に利用のしがいもあるがの。
弓よ、分かっておるな……アサシンとランサーには手を出すな、標的は空涯の若造とそのサーヴァントのみよ」

 そう言い残し、宗造はその姿を消した。


[No.391] 2011/05/24(Tue) 22:45:10

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