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No.412へ返信

all コテファテ再録5 - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:20:26 [No.404]
赤色偽剣V - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:21:17 [No.405]
赤色偽剣W - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:22:52 [No.406]
天幕模様Z - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:23:31 [No.407]
装創儀礼T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:24:03 [No.408]
天橋の口 - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:24:38 [No.409]
天幕模様[ - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:25:25 [No.410]
フランケンシュタインの怪物W - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:26:01 [No.411]
天幕模様\ - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:26:38 [No.412]
風車の丘、従者の夢T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:27:23 [No.413]
莫逆神王 - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:28:25 [No.414]
夢城の主T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:29:05 [No.415]
赤色偽剣X - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:29:43 [No.416]
夢城の主U - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:30:19 [No.417]
夢城の主V - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:31:04 [No.418]
夢城の主W - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:31:43 [No.419]
夢城の主X - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:32:16 [No.420]
赤色偽剣Y - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:32:53 [No.421]
夢城の主Y - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:33:29 [No.422]
夢城の主Z - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:34:04 [No.423]
夢城の主[ - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:34:51 [No.424]
血宴の絆Z - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:35:47 [No.425]
安穏の毒 - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:36:25 [No.426]


天幕模様\ (No.411 への返信) - ジョニー

 康一とランサーと別れた後、勇治とアサシンは美弥子が用意したと言っていた拠点に居を移していた。
 ホテルは既に引き払っている。敵対関係に戻った相手が知る場所を何時までも拠点には出来ないからだ。

 そして、今この新しい拠点の極一般的な一戸建て住宅には勇治とアサシンしかいない。
 美弥子は既に帰路についた、過去の英雄たるサーヴァントがうろつくこの町に何時までも居たくないし、無理に居ても足手纏いになるのは確実だからだ。
 その美弥子には、黒化バーサーカーの令呪であった加賀弓を連れて行ってもらった。正直、彼女の状態はアサシンでもお手上げだったのだ、そこで天川御用達の病院に連れて行くことが決まった。
 天川一族御用達の病院でも彼女を癒す事は出来ないだろうが、此処に置いておくよりも遥かにいい。
 希はその二人の護衛として一時帰宅させた。希が目を覚ました時は一悶着あったが、既に黒化英霊がすべて斃されている現状、勇治にはこれ以上希を戦わせるつもりはなかった。
 無論、希はそれでも戦うと言ったが湖底市を出る関係者である美弥子が襲われないとも限らず、更に黒化バーサーカーの令呪の持ち主であった弓も同じく襲われる理由はある。故に希に二人の護衛という役割を持たせて無理矢理帰ることを納得させた。
 他にも天川当主である父に現状の報告も希に頼んだ。ある程度は既に報告済みだが、やはり当事者の口から直接報告した方がいい。盗聴等を恐れて詳しい報告は現状出来てはいないのだし。
 なにより、元々希はこの湖底市の調査に関わる予定はなかったのだ、その辺の説明というか弁明もしなければならない。

「という訳だ。これで希が今日明日中に戻ってくることはないだろう」

 意識のない弓を運ぶというのは大変なことだ。アサシンが持たせた認識阻害の符で一般人には不審に思われる恐れは低いが、それとて通報されない程度の極弱いものだ。
 必然的に移動手段は限られる故に最速で帰るという訳にはいかない。それにあのルビーと希が当主を納得させる報告と説明をするには少々時間がかかるだろうし、湖底市に戻る許可を取るのも難しいだろう。
 最終的に強硬手段で戻ってくる可能性もあるが、希の性格的にその可能性は低いし、仮にその選択をするにしても最終手段となるだろうから、やはり湖底市に戻るにはかなり時間が掛かるだろう。

「なるほど。まぁ戦力的にはダウンですが取れる手段には幅が出ますね」

 きつね蕎麦を幸せそうに啜りながらアサシンが頷く。
 希は確かにサーヴァント戦では強力な戦力だが、9歳という年齢の所為もあるだろうが性格的に甘い、共に行動すると搦め手が殆ど使えなくなる。

「そうだな。差し引きは……ほぼゼロと考えていいかもしれん」

 アサシンというクラス、玉藻の前というサーヴァントは搦め手でこそ真価を発揮する。前衛クラスとも戦える希がいなくなった穴は大きいが、アサシンが真価を発揮できるようになったとなれば、その差し引きは微妙なところだ。

「とりあえず、食事が終わったらまずはこの拠点と装備の確認だな」

 定番の引っ越し蕎麦。勇治は月見蕎麦をアサシンは予想通りきつね蕎麦を出前で頼んで現在食事中だった。
 油揚げと美味しそうに食べるアサシンに、勇治の頬が自然と緩む。







 この家に運び込まれていた美弥子が運んできた装備一式。
 曲った刀は美弥子に持ち帰ってもらったから代用品が必要である。

 代用品の武器を整頓されていない道具一式から探そうとしたところ、覚えのない魔力封じが施されたトランクが見つかった。

「これは…鍵は、これか。しかし、こんなものは頼んでいないが?」

「うーん。でも、ご主人様のご実家が聖杯戦争にご主人様が参加したから、向こうでご主人様が要望した物以外も送って来てるんですよね。だったら、これもそうじゃないですか?」

「まぁ、そうだろうな」

 実際、勇治が要求した物以外の品も多く含まれていた。
 それらの殆どが勇治でも滅多に使わない高価な治療薬などで本家が追加した物だと分かる。

 まぁ開けてみれば分かるかと勇治はトランクの鍵を外して、その蓋を開けた。
 中から出てきたのはサーヴァントが持つ武器のような威圧感を感じさせる白と黒の一対の中華剣。

「これは、確か……」

 勇治はそれを知っていた。
 何代か前の天川当主が堕ちた混血を斃して戦利品として持ち帰ったという中華剣だ。
 だが、そこらの概念武装や魔剣などとは比べ物にならない相当な神秘を宿すそれは結局、危険物として使われることなく宝物殿に納められて封印されていたはずだった、勇治でさえ一度だけ見ただけの品である。

「あら、これは本物の干将莫邪じゃないですか。まだ現存してたんですね」

「……………は?」

 後ろから覗きこんできたアサシンの一言に勇治が固まる。
 正体不明だった中華剣の真名があっさり判明した。しかも、予想の斜め上にぶっ飛んで。

「今、なんて言ったタマモ?」

「いやん、ご主人様。タマモって呼んでくれて嬉しいです」

 頬を手で押さえてくねくねし出すアサシン。

「あー、いや…そんなに呼んで欲しかったなら、これからはこの家ではそう呼んでやるから」

 そういえば、黒化バーサーカーと戦った時も無我夢中だったが冷静になれば恥ずかしいことを叫んだ覚えもある。その事を後悔するつもりはないが。

「いや、今はそれは置いておくが……干将莫邪、だって?」

「あ、はい。それレプリカとかじゃないオリジナルの干将莫邪ですよ。ランクは低いですけど正真正銘の宝具です」

 ちょっと気が遠くなった。
 知らなかったといえ、家に宝具があったのかと。

 勇治は頭痛を振り払うように頭を振って、干将莫邪をトランクから取り出す。
 そのまま構えて、軽く振るう。今までの刀と短刀の二刀流とはまるで違うが、使えなくはない。
 動きを徐々に干将莫邪に合わせて修正しながら振るっていく、元々相手に合わせて武器を変えてきたのだ。ある程度似た武器を使ってきたとはいえ重心等の変化は免れない。
 此処まで大きな変化は久しぶりだが、曲刀の短剣だけあって型の修正の方向性は分かる。

「おお〜! 見事です、ご主人様」

 アサシンの称賛に若干照れながら苦笑する。
 干将莫邪を振るうのを止めて座り直す。型の修正は思ったより早く終わりそうだ。なら、武器はこれで問題ないだろう。

「とりあず、暫くは情報収集だな」

 地図を広げ、勇治とアサシンが向きあって座る。

「まぁバーサーカーとキャスターの情報が無いですからね」

「だが、此処を拠点としてるのは……おそらくはキャスターか」

 地図の上の、郊外に位置する廃モールを勇治が指差す。

「だと思いますよ。バーサーカーは頭パーですから拠点を作るなんて出来ませんし。
 多分、此処がキャスターの陣地なんでしょうね」

 まさかこの聖杯戦争のバーサーカーが理性を保っているとは思いもよらない二人は自然とその結論に至る。

「でも、キャスターの陣地にしては…砦としてはともかく神秘の秘匿が杜撰過ぎますね。多分正規の魔術師じゃないんでしょうね」

 サーヴァントもマスターも、そう付け加えるアサシンの意見に勇治も頷く。

 砦としての陣地と考えるなら軽く調べた限りでもかなりのものだと分かる。が、その軽く調べただけでも魔力の残り香が周囲にも漏れていた。
 とても神秘の秘匿を第一とする魔術師の陣地とは思えない。となると正規の魔術師ではないのだろう。
 魔導書を持つとか悪魔召喚をしたとかの伝承を持つ者がキャスターなのかもしれない、そうであれば神秘の秘匿を気にしないのも道理だ。
 マスターに関しては、アーチャーのマスターは魔術使いであったし、アサシンのマスターである勇治自身は魔眼持ちの混血である。どちらも正しい魔術師ではないのだから、キャスターのマスターがそうであっても驚くには値しない。

「………暫く、この陣地を見張る。
 この神秘の秘匿の杜撰さなら、他のマスターが必ず潰そうと動く」

 その時が狙い目だと、勇治が無言のうちに語っていた。
 アサシンもそれに異議はなく、黙って頷きマスターの方針を肯定した。


[No.412] 2011/06/02(Thu) 20:26:38

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