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all コテファテ再録6 - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:37:15 [No.427]
真実T - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:38:05 [No.428]
空の境界T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:39:50 [No.429]
狐の見る夢 - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:40:18 [No.430]
安穏の毒U - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:41:05 [No.431]
空の境界U - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:41:34 [No.432]
安穏の毒V - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:42:07 [No.433]
空の境界V - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:42:44 [No.434]
安穏の毒W - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:43:19 [No.435]
幕魔 無聊の理 - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:48:17 [No.436]
空の境界W - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:48:55 [No.437]
安穏の毒X - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:49:28 [No.438]
安穏の毒Y - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:50:09 [No.439]
デッドエンドT - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:50:43 [No.440]
デッドエンドU - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:51:20 [No.441]
安穏の毒Z - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:51:52 [No.442]
デッドエンドV - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:52:22 [No.443]
星界感応T - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:53:07 [No.444]
キツネの見た夢T - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:53:41 [No.445]


安穏の毒Y (No.438 への返信) - きうい

 勇治とタマモの目が点になる。

 何を言っているんだ、こいつは。
 顔がそう語っている。

 「知ってるかどうかはともかく、僕は君が倒したバーサーカーとコンビを組んでいた。
  が、御覧の通りの敗北だ。」
 「味方が、欲しいと。」
 「そういうこと。」

 勇治の声から警戒の色は消えない。

 「都合のいいことを。」
 「今更だね、『プレイヤー』。自分の都合のいいようにしていくのは、ゲームの鉄則だよ。」
 「……。」
 「守れとも言わないし、守るとも言わない。
  お互いの目的を理解した上で利益になるように働き合おう、なんていうつもりもない。
  ただ、戦いたくないだけ。」
 「そんなことが!」

 約束できる訳ないだろう。

 「理由はどうあれ、君は僕の大事な親戚を殺した。」
 「それは、」
 「戦争だから仕方ないだろう、と言いきるのであれば、もう話すことはないよ。素直に消えよう。
  ……そうでないなら、もう数分だけこちらの話を聞いてくれないかい?」
 「……。」

 警戒は解かないが、沈黙で応答する。

 「キャスターも僕も、戦闘に関しては素人だ。
  先日のモールでの戦いでも、僕らはほうほうの体で逃げ帰ったのが現状。」
 「アーチャーは、生きているのか。」
 「ピンピンしてるらしいよ、残念ながら。」
 「……。
  バーサーカーは、一般人を巻き込んだ。」

 数百に及ぶ人間を洗脳し、武器として防具として扱った。勇治にとって、それはとても許せることではない。
 それを、どう思っているのか。

 「そうだね。」

 勇治の問いを凜土は軽くあしらった。
 自分には関係ないとでも言いたげに。

 「何故一般人を巻き込んだ。」
 「それは君があいつに訊くべきことだ。僕が応えることじゃない。」
 「……お前は。」

 容認していたのか。

 言外の意味を捉えつつも、凜土は言葉を返さない。

 「僕は聖杯戦争の終わりが見たいんだ。
  だから死にたくない。
  君たちは、『僕らの良く知る』バーサーカーを倒した。とてもとても怖い相手だ。
  敵に回したくはない。」

 見上げるように見つめる凜土の眼が、勇治を試している。
 にやついた唇に、虚偽にまみれた真実を感じ取っている。

 「……キャスター。」

 凜土の発する声に勇治は体をこわばらせる。
 だが、呼ばれた当のキャスターは、杖をその場に放っただけだった。
 武器を手放したサーヴァントに、勇治の手元の力が揺らぐのが見えた。

――――思った通り、素敵なお坊ちゃんだ。

 人質を取る戦術に嫌悪感を感じていた彼は「真っ当な正義感を持っている」と、凜土は見抜いた。
 たとえそれが敵であろうと、武器を捨てた相手には多少の情を感じる。そういう、普通の、しかし、「魔術使いとしては異常な」、人間だ。

 「敵対の意図があれば、初めから拠点ごと焼き払っている。」
 「……。」

 凜土の言葉に、勇治は薄く反応する。

 「詳細は明かせないが、うちのキャスターはそういう術を得意とする。
  反面、君のアサシンのような
小回りは不得手でね。対人戦闘には頗る向かない。
  アーチャーほどの精密な射撃も残念ながらできない。」

 凜土の横で、キャスターが心なしか不機嫌そうな顔をしたようだ。

 「はっきり言って、僕ではキャスターを扱いきれないことが分かってしまったんだ。
  だから、お願いをしにきた。」
 「目的は何だ。」
 「先ほど言った通り。不可侵を要求する。協力しろとは言わない。できるとも言わん。
  ……そうだな、信頼の証と言っては何だけど、一応条件を同じくしておこう、勇治君、タマモ君。」

 そう言って、凜土は仰々しくキャスターに手を差し出した。

 「彼の名は、アメンホテプ4世。」


[No.439] 2011/06/02(Thu) 20:50:09

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