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No.441へ返信

all コテファテ再録6 - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:37:15 [No.427]
真実T - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:38:05 [No.428]
空の境界T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:39:50 [No.429]
狐の見る夢 - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:40:18 [No.430]
安穏の毒U - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:41:05 [No.431]
空の境界U - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:41:34 [No.432]
安穏の毒V - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:42:07 [No.433]
空の境界V - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:42:44 [No.434]
安穏の毒W - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:43:19 [No.435]
幕魔 無聊の理 - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:48:17 [No.436]
空の境界W - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:48:55 [No.437]
安穏の毒X - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:49:28 [No.438]
安穏の毒Y - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:50:09 [No.439]
デッドエンドT - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:50:43 [No.440]
デッドエンドU - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:51:20 [No.441]
安穏の毒Z - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:51:52 [No.442]
デッドエンドV - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:52:22 [No.443]
星界感応T - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:53:07 [No.444]
キツネの見た夢T - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:53:41 [No.445]


デッドエンドU (No.440 への返信) - きうい

 討伐を宣言し、向き直った先に見えるはやはり変わらぬ少女の表情。

 ランサーの瞳が、アイスブルーの瞳を睨み返す。

 ランサーがすり足で前進を試みる。地面が軋むような踏みこみ。
 だが、ランサーの剣と「抑止力の少女」の腕は、へし合ったまま、空間に縫い止めたように動かない。
 「抑止力の少女」も、すり足で前進する。ランサーとの接点は微動だにせぬまま、肘が曲がり、腰と肩に『溜め』が作られる。

 「いかん!」

 康一が糸を張るが間に合わない。

 「■■■■■ーーーーーっ!!」
 「!!」

 少女が吠えた。

 振りきられた拳が、ランサーの剣を体ごと吹き飛ばした。

 「ランサー!」
 「心配ご無用!」

 ランサーは身を翻し、足から着地する。
 派手に見えるが、実際は『持ち上げられただけ』だ。ほんの数メートルの跳ね飛ばしなど、英霊に傷さえつけはしない。

 「■■■■■ーーー!!」

 着地を見逃さず突進する「抑止力の少女」。ランサーは臆さずに刃を突き出し迎撃する。

 ズム。

 少女の拳が届く前に、ランサーの剣が少女の胸に喰い込んだ。
 だが、必殺の剣を刺し込んだはずのランサーが渋い顔をする。

――――重い……!

 貫けない。
 少女自身も構わずずんずんと進むが、刺さらない。押し込まれる。
 少女が滅法に拳を振り回す。
 当たるような間合いではないが、それでも風圧が痛いほど。

 「■■■■■ーーっ!!」

 少女がようやく、『つっかえ棒』を見出した。
 掴まれるより早くランサーが剣を抜く。
 障害の排除を感じ取り、少女は音より早く順突きを打ちこんだ。



 「」と繋がる術を探しあぐねる一方で、康一はうっすらと少女の正体を感じ始めていた。

 いや、「正体」は抑止力に違いない。
 問題は、抑止力の「器」たるアレ。どこともなくいきなり現れたものではないのは明白。「抑止力」はそういう顕現を好まない。「その場にあるもの」の姿を借りて、「抑止」を実行する。
 ならば。

 『アレ』は、バーサーカーだ。

 言葉にならぬ音声を叫び、頑健な肉体に物を言わせ攻め立てる。それ以外の事は一切考えぬ。それが、クラス・バーサーカー。
 怪力を誇るランサーと力比べをして互角以上という事実も、それを裏付ける。
 橋口圭司という男が確かバーサーカーのマスターだったはずだが……。
 彼はここまで知っていたのだろうか?

 マスター橋口圭司は今ここには居ない。彼の真意を知るすべもない。
 ただ、確かなのは、彼のバーサーカーが抑止力の加護を受け、めでたく『首輪の切れた猛獣と成り果てた』ということ。

 躊躇をするな。過去を想うな。
 それが必要なら、するべきだ。
 「」と繋がり、『アレ』を鎮圧するのだ。

 自分に言い聞かせながら、糸と意図を、空間と心に張り巡らせる。



 「■■■■■ーー!!」

 上段蹴りを剣戟で返すランサー。

 骨まで届くほど喰い込んだはずの刃は、しかしそのまま吹き飛ばされる。

 技術でも攻防でもランサーが勝っている。だが、少女はまるで意に介さない。
 隙だらけだが隙がない。
 優勢だが追い詰められている。

 実際は、こちらの方がダメージを与え続けているのだから、地道に打ちこみ続ければ、いつかは倒れる相手のはずだ。

 しかし剛力で鳴らしたパルジファルは、そういう忍耐の戦いには不慣れであった。

 「くっ!」

 強烈な衝撃波を孕んだ拳が、空間とともにランサーの精神力を削り取っていく。

――――それでも、康一に負担をかけるわけにはいかない。

 「」への到達など、康一は望んでいない。させてはいけない。
 わたしが『コレ』を止めなければいけないのだ!

 思い切り振り抜いた剣が、遂に少女の拳を弾き飛ばした。

 しかし、少女の目に揺らぎはなく。
 浮いた拳に力を込め、膨れ上がった上腕は落雷の如く地に落ちた。

 少女は、大地を割った。


[No.441] 2011/06/02(Thu) 20:51:20

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