コテファテ再録6 - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:37:15 [No.427] |
└ 真実T - 咲凪 - 2011/06/02(Thu) 20:38:05 [No.428] |
└ 空の境界T - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:39:50 [No.429] |
└ 狐の見る夢 - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:40:18 [No.430] |
└ 安穏の毒U - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:41:05 [No.431] |
└ 空の境界U - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:41:34 [No.432] |
└ 安穏の毒V - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:42:07 [No.433] |
└ 空の境界V - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:42:44 [No.434] |
└ 安穏の毒W - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:43:19 [No.435] |
└ 幕魔 無聊の理 - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:48:17 [No.436] |
└ 空の境界W - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:48:55 [No.437] |
└ 安穏の毒X - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:49:28 [No.438] |
└ 安穏の毒Y - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:50:09 [No.439] |
└ デッドエンドT - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:50:43 [No.440] |
└ デッドエンドU - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:51:20 [No.441] |
└ 安穏の毒Z - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:51:52 [No.442] |
└ デッドエンドV - アズミ - 2011/06/02(Thu) 20:52:22 [No.443] |
└ 星界感応T - きうい - 2011/06/02(Thu) 20:53:07 [No.444] |
└ キツネの見た夢T - ジョニー - 2011/06/02(Thu) 20:53:41 [No.445] |
アメンホテプ4世。後にアクエンアテンと名乗ったとされる古代エジプトの王の一人。 正直、あまり真名を知っても意味を成さない英霊だろう。少なくとも真名を知られても即座に弱点と宝具が上がるような英霊ではないだろう。 その辺、アサシンである玉藻の前とは違う。玉藻の前といえば弓矢で射殺されたという弱点と、死後転じた殺生石が宝具であるという可能性は日本人ならば多くが思い至るだろう。 そういう意味では条件を揃えると言っているが、実際には条件は対等ではない。 つまり、そういうマスターということだろう。 先の言葉も暗に「その気になれば拠点ごと何時でも焼き払えるから、殺されくなかったら言うこと聞け」と言っているようなものだった。 なるほど、キャスターのマスターに相応しい。実に魔術師らしい相手といえる。 となると、此方が断り此処で戦闘になってもどうにかする。おそらくは逃走手段は用意されているのだろう。この手の輩はそういうものだ。 「真名まで明かしてもらってなんだが、その申し出は断る。 お前らは此処で倒れろ」 「不可侵さえ認めないと?」 「可笑しな事を言うな魔術師。俺は単に、脅しに屈するつもりも、その脅威を放置するつもりもないと 言ってるだけだ!」 一拍置いて、そう宣言すると同時にタマモと共に駆け出し、階段を駆け上がる。 キャスターが杖を拾い上げる。こちらは階段を半ばまで上がったところ。 キャスターの杖から、火球が迸る。 詠唱はなかった。魔術としてのランクは現代の魔術師でも可能な域だろうが無詠唱でこれは確かにキャスターのサーヴァントに相応しい。 「その程度で、私を斃せると思っているんですか?」 火球を前にタマモが鏡を構えて前に飛び出す。 呪層・黒天洞 タマモの持つ鏡を中心に展開する二重の紫光の円に阻まれた火球が魔力に変換され、タマモに吸収される。 タマモの持つ最高の防御呪法。とはいえ、完全に火球を無力化する事は出来ず、その威力の大半を魔力として吸われた火球はタマモに襲いかかり、爆煙を上げる。 煙を切り裂き、鞄を捨て干将莫邪を両手に構えて突っ込んでくる勇治の姿に凜土は疑問を覚えた。 すなわちサーヴァントの姿がない、と。 今の一撃で倒せたなどと甘い考えを持つつもりはない。仮にそうだとしたらその手に刃を持ち駆け上がってくる勇治の冷静さはおかしい。 そこでその事実に思い至ったことは凜土にとって幸運だったといえる。 玉藻の前というサーヴァントのクラスはアサシンであるという事実に。 そう、アサシンとは本来"マスター殺し"のクラスであるということに。 咄嗟にその場を転がるように離れた凜土の髪を掠めて、人間の頭蓋ならば陥没させるだろう勢いで頭上を鏡である玉藻鎮石が通過する。 その左手に握られた呪符が役目を終えたと証明するように消えてなくなる。気配遮断と呪術の併用による奇襲、例え目の前でやられたといえ、それをギリギリでも回避するのは戦闘とは無縁の生粋の魔術師ならばたいしたものであろう。 「あら、結構感がいいですね」 続けて放たれたタマモの蹴りは、しかし凜土が掻き消えた事により空振りに終わる。 「くっ!」 己のマスターが離れたことにより再び放たれるキャスターの火球。 それを前屈みに突進することで火球の下を走り、避ける。 そのままタマモはキャスターの目の前に走りこむ。 咄嗟にキャスターはサーヴァントとしての姿に、現在の服装から戦闘用の衣に変える。だが、それよりもキャスターは逃げるべきだったのだ、どうやら本人達の申告通り戦闘には向いていないらしい。 「折角ですので、 あなたの魔力分けて貰いますよ」 キャスターの溝尾にタマモの蹴りが決まる。 思わず前屈みになるキャスターのその顎に、今度は打ち上げるような掌底。跳ね上がった頭に、その側頭部に玉藻鎮石が叩きつけられる。 生前の、最盛期を再現した姿を取っているサーヴァントにも当然人体急所への攻撃は、生身の人間程ではないにしろ有効である。 その急所を三連打されたキャスターは呻き声が思わず漏れる。そしてインパクトの瞬間に感じる脱力感。 それはその身体を構成する魔力を奪われる事によって感じるもの。 呪法・吸精。タマモの持つ呪術の一つであり、ダメージを与えると同時にその相手の魔力を与えたダメージに応じて奪うというもの。 一見強力な呪術に思えるが、体術でなければならない故に、実際には最弱のサーヴァントとされるキャスター相手にぐらいしか使い道がない。 そのキャスター相手でも、タマモの力では体術で打倒にするには手間と時間がかかりすぎる。 「ノッてきたぁ! いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花…… 常世咲き裂く――(ヒガンバナ)」 ふらつくキャスターに対して両手を掲げ、タマモが自らの宝具の真名を解放しようとする。 「―――大殺(セッショウ)…ってぇ」 その呪毒を叩き付けようとして、盛大に空振りつんのめりそうになってバランスを取る。 「……むぅ、避けられましたか」 「霊体化…いや、あのタイミングじゃ難しいな。 礼呪か、あるいは他の切り札でも切ったか」 タマモの隣に駆け付け、勇治は辺りを見回すがキャスターとそのマスターの姿を捉える事は出来ない。 「……逃げられた、か?」 油断なく干将莫邪を構え、奇襲を警戒するが、攻撃は……なかった。 [No.442] 2011/06/02(Thu) 20:51:52 |