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No.468へ返信

all 湖底市の日常・1 - アズミ - 2011/07/26(Tue) 19:34:17 [No.467]
その頃&その頃 - りん - 2011/07/27(Wed) 01:43:34 [No.468]
人域魔境1 - アズミ - 2011/07/28(Thu) 02:03:38 [No.472]
尋ね人おらず - りん - 2011/07/29(Fri) 01:22:45 [No.476]
文絵、かたるかたる - りん - 2011/08/02(Tue) 01:40:33 [No.480]
珍奇な来訪者1 - アズミ - 2011/08/02(Tue) 01:49:21 [No.482]
魔女と騎士 1 - 桐瀬 - 2011/08/03(Wed) 21:40:19 [No.485]
魔女と騎士 2 - りん - 2011/08/04(Thu) 00:09:07 [No.486]
人域魔境2 - アズミ - 2011/08/04(Thu) 01:59:06 [No.487]
珍奇な来訪者2 - アズミ - 2011/08/04(Thu) 23:36:58 [No.488]
人域魔境3 - りん - 2011/08/05(Fri) 01:24:05 [No.489]


その頃&その頃 (No.467 への返信) - りん

 八尾坂 文絵は学校の屋上が好きである。
 別に馬とか鹿とか煙とかそう言う意味ではなく、高い所から眺める風景が好きなのだ。
 雪女がアイスで腹痛と言うネタで記事を書きあげ、部長に渡したら「川西のことならいつものこと」と見事に却下を食らったので、気分転換に屋上にある貯水タンクの上まで昇ってみた。
 ………屋上がそもそも立ち入り禁止だったり、こそっと鴉天狗戻って飛んだのは乙女の秘密だけどね♪

「むー……いつものことだったからって、却下はないと思うんですよねー」

 高校生になると同時に湖底市に来たので、実を言えば市内の妖怪に関する情報はあまりない。
 さすがに大家が妖狐だとか、アパートに座敷わらしがいたり、九十九堂にドラゴンがいたりするのも知っている……あの外見でドラゴンと言うのはさすがに驚いたけども。
 ただ、雪夢ちゃんが雪女だって情報は知ってても、冷気に弱くて体調を崩したりしやすいと言うのはさすがに知らなかったんだよね。

「まぁ周知の事実ならしょうがない。また新しいネタを……ぉ?」

 なんとなく千里眼を使って遠くを眺めてたら、小説家の安曇さんの車が目に入った。

「助手席は雫さんで……あれ? 後ろに乗ってるの誰だろ?」

 黒い髪の男の人はとりあえずいいとして、もう一人が水色の髪で見たことのない女の子だ。
 水色の髪の時点で普通の人間ではないのだろう、何なのかは分からないけど。

「……あの方向は……西三荘にでも用があるのかな?」

 今日はどうせ昼までだ。
 帰ってから穂乃香さんに聞けばいいやと思いつつ、先生に見つかる前に3階の窓から部室の中に入った。

 そしたら、顧問の先生がいてこっぴどく怒られた、やっちゃったー。

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「しょーちゃーん。今日のお昼は何かしらぁ?」

 うちわで自分の顔を扇ぎつつ、日陰の縁側でうつ伏せにぐてーっとしている穂乃香が声を掛ける。
 ただし、顔の反対側にある壁かけ時計の短針はまだ10時を回った所だったりするが。

「今日はそうめんですよ? 一昨日もそうめんでしたけど」

 裏庭の物干し竿に洗濯物をかけながら答えるのは座敷わらしの咲だ。
 たすきを掛けているとは言え、真夏日に着物は見ていて暑くなるのは仕方がないところか……着ている当人は涼しげなのが不思議でならない。

「昨日はきつねうどんだったからぁ……まぁ妥当な所?」

「と言いますか、ここ数十年来であまり代わり映えしないのを根に持ってます?」

「そんなことはないわよぉ? 作ってくれることはうれしいからねぇ。
 レパートリーが増えるともっとうれしいなーとは思うこともあるけど」

「…………………………」

 じとぉっと、見られるだけで湿度が上がりそうな視線を返してくる。
 根は暗くないのだけど、根に持つのは咲の悪い癖だ。
 でもこの問答はそれこそ何十年前から続けていて、既に一種のお約束と化しているところはあるので穂乃香は全然気にしていない。
 しばらく、ぱたぱたとうちわを扇ぐ音とせっせと洗濯物を干す作業だけが進み、ふと穂乃香が質問する。

「そう言えば、薬味とかで足りなくなってるのはあったかしらぁ? 葱とか生姜とか」

「生にこだわるのでしたら、生姜は切れてますけど……チューブのがかなり残ってますし、むしろ足りないとすれば晩に炊く分のお米の方が切れかけてます。
 昼ごはんが終わった後に、買いに行ってもらえますか?
 その間に、私は部屋の掃除を済ませてしまいますので」

「まあチューブでいいか……分かったわぁ。
 それじゃぁ、文絵ちゃんが帰ってくるのを待ってから昼ごはんね」

「そうなりますね。とりあえず、新聞でも読みながら待っててください」

「はぁ〜い」

 新聞を取りに穂乃香が中に引っ込むと、咲はため息を吐きながら残った洗濯物を物干し竿にかけてしまう。

「あ、そう言えば……麦茶のパックもそろそろ切れかけてましたっけ。ついでに買ってきてもらいましょう」

 そう一人ごちながら、咲は勝手口の方に歩いていった。


[No.468] 2011/07/27(Wed) 01:43:34

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