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all 湖底市の日常・1 - アズミ - 2011/07/26(Tue) 19:34:17 [No.467]
その頃&その頃 - りん - 2011/07/27(Wed) 01:43:34 [No.468]
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人域魔境2 - アズミ - 2011/08/04(Thu) 01:59:06 [No.487]
珍奇な来訪者2 - アズミ - 2011/08/04(Thu) 23:36:58 [No.488]
人域魔境3 - りん - 2011/08/05(Fri) 01:24:05 [No.489]


珍奇な来訪者2 (No.487 への返信) - アズミ

 ミレニーに着替えを強要された騎士が選んだのは、ゆったりとしたトレーナーにスラックス姿だった。

「……それしかなかったんですか?」

 半眼で思わず突っ込む。
 今は七月の末、連日気温35℃超えの夏真っ盛りである。それこそ騎士と同年代街の若者には、まるで水着か下着のようなラフな格好でうろつき回っている者も少なくない。
 そこまでは言わないにしろ、せめてポロシャツとか……こう、クールビズに則った格好はできないのかと、他人事ながらミレニーは思った。
 が、騎士が返したのは不満の顔だった。

「むしろ、この国の人々が露出に無頓着すぎるのでは。未婚の婦女子が肩まで晒して歩いているというのは、どうにも……」

「まぁ、文化圏によってはそういう意見もあるでしょうけど」

 『この国の人々』でないミレニーだが、これといって若者の露出をはしたないと思ったことはなかった。まぁ自身は比較的厚着をしているほうだが、これは単に魔女の証である悪魔の紋章を露出して歩くのは日常生活に障りがあるからにすぎない。
 しかしこの騎士、全身甲冑に帯剣などという格好で街中をうろついていたあたり、日本社会どころか現代社会そのものに疎いようだ。
 ウンディーネを婚約者とする以上、彼も人間には違いないはずだが……。

「では参りましょうか、“賢き御方”」

「ミレニーです。……貴方の名前は?」

「おっと……これは、失礼」

 騎士は本当に無礼をしたように恐縮すると、まるで歌劇の登場人物のように大仰な動作で会釈した。

「ジョジョ。大いなる先達、湖の騎士にあやかってジョジョ=ド=ラックの名を賜っております」

「ド=ラック……?」

 訳すならば、湖のジョジョ。
 いや、その『大いなる先達』に習うならば湖の騎士ジョジョか。
 ウンディーネと許嫁という辺りから面倒な臭いはしていたが、どうやらこの騎士自身はダム・ド・ラックの縁者らしい。
 ミレニーが難しい表情をしていると、ジョジョはそれどどうとったのか、苦笑した。

「この国では珍しい響きかもしれませんね」

「いえ、そうでもないと思いますよ。
 いい響きなのです。グレートでやれやれだぜな感じです」

「は……?」

 呆気にとられた様子のジョジョだが、いちいち説明するのもめんどくさいので放っておいて歩き出す。
 さて、確かジョジョは幾つか思い当る場所があると言っていたが……。

「で、許嫁さん、どこに居そうなのです?」

「は。彼女は泉の乙女なれば、きっと澄み切った小川の傍の家か、大きな湖のほとりに建つ館などが怪しいかと」

「……なるほど、虱潰ししかないですね」

「あ、あれ?」

 嘆息して、ミレニーは通りを歩きだした。
 ジョジョはなんだか納得がいかない様子で暫しその場に立ちつくしていたが、やがて小走りでそれに追随しだした。


[No.488] 2011/08/04(Thu) 23:36:58

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