U.C.0080.12.25「聖夜の贈り物」 - ジョニー - 2013/12/27(Fri) 21:22:40 [No.576] |
└ [削除] - - 2013/12/27(Fri) 23:58:30 [No.577] |
└ 禁断のクリスマスプレゼント - ジョニー - 2014/01/04(Sat) 20:54:26 [No.578] |
└ 1.「再起」 - アズミ - 2014/10/04(Sat) 16:42:55 [No.614] |
└ 2.「出発」 - アズミ - 2014/10/04(Sat) 18:42:14 [No.615] |
廃棄コロニーに潜むジオン残党とはいえ、外部との接触を完全に断っている訳ではなく残党は残党なりのネットワークを構築していた。 そのネットワークは簡単な伝言状態とはいえ地球に潜む残党の一部とも連絡が取れる程のものであり、核弾頭を手にした彼らは賛同者を募ってある作戦を決行した。 その日、連邦軍の地球軌道パトロール任務に就いていた多くの部隊は頭の痛い事態への対応に悩まされていた。 地球連邦議会に席を置く議員の一人が外遊の為に搭乗していた地球―コロニー間のシャトルが大気圏を突破して暫くしてジオン残党に捉まったのだ。 彼は小物議員ではあるが戦争で疲弊した地球経済の立て直しの為に各サイドへの増税を訴えて今回の外遊はどれ程の増税に耐えられるか見極める為のコロニー視察であると堂々と発表していてスペースノイドの心情を逆なでした挙句に日程その他も記者の質問に答えていたのだから、この事態は正直自業自得に思えてならない。 その癖、自らは庶民派議員であると謳って通常の一般シャトルを利用して民間人を大量に巻き込んでジオン残党にシャトルごと確保されたのだから笑い話にもならない。 ジオン残党はティベ級重巡洋艦とムサイ級軽巡洋艦が一隻ずつで、確認されたMSはシャトル上部に取り付きマシンガンの銃口をシャトルに向けているザクが1機だけだが当然それ以外にも艦内にMSが搭載されていると思われる。 現状、問題の議員と一般乗客がどうなっているかは不明だが残党の声明にあった要求は当然受け入れることは出来ず、さりとて人質の見殺しも出来ないのでジオン残党と集結した多くのパトロール部隊は膠着状態に陥っていた。 この連邦議員人質事件がジオン残党の陽動作戦であったとは、この時はまだ連邦軍は知ることが出来なかった。 時を同じくして、地球軌道上でジオン残党のムサイ級一隻がサラミス級二隻からなるパトロール部隊と交戦状態になっていた。 「ちぃ、此処まで来てパトロール部隊に見つかるとは……コムサイには指一本触れさせるな!」 残党軍はコムサイを目標地点に、地球の同胞の待つ場所に降ろすことの出来るタイミングまで死守の構えを見せ、連邦部隊は同時発生している連邦議員人質事件への優先度の高さからこの偶発的戦闘に対する士気は高くなかった。 この士気の違いが、数的劣勢である残党を救った。結果として彼ら残党は全滅しながらもその目的を達したのだから。 「何をしている! たかだかMS1機……う、撃ち落とせぇ!」 「クリスマスプレゼントを地球に降ろす邪魔はさせん……ジィィィィク、ジオンッッ!」 サラミスに特攻するリックドムは阻止せんとするジムを切り裂き、ジムの攻撃やサラミスの対空砲火に曝され満身創痍になりながらもサラミス艦橋に突っ込み、僅かな時をおいてサラミスを巻き込み大爆発を起こす。 このサラミス一隻の撃沈によって動揺した連邦の隙をついて、ジオン残党はクリスマスプレゼントと暗号を付けられた核弾頭を搭載したコムサイを地球に降下させることに成功し、その後暫くしてサラミスの復讐といわんばかりの連邦の徹底攻勢によって全滅した。 そして地球、海上にて。 「ようこそ地球へ、歓迎しますよ」 「シンリィ・サト伍長です、よろしく頼みます」 海面に浮上したユーコン級潜水艦と海面に浮かぶコムサイの合流が果たされていた。 コムサイに搭載されていた核弾頭、そしてMS2機がユーコン級に移されていく。 「これがクリスマスプレゼント、核ですか……急ぎましょう。何時連邦の糞どもが此処を嗅ぎ付けるともわかりませんからな」 コムサイは爆破処理され海底に沈んでいき、荷を受け取ったユーコン級は海中へと消えていった。 後に降下したコムサイを確認しに来た、連邦の航空機は海面に漂うコムサイの僅かな残骸を確認出来ただけであった。 こうして禁断の贈り物はジオン軍地球残党の手に渡ったのだ。 [No.578] 2014/01/04(Sat) 20:54:26 |