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No.584へ返信

all こてふぁて/えくすとら - アズミ - 2014/01/16(Thu) 14:49:33 [No.579]
世界観(Fate/EXTRAより) - アズミ - 2014/01/16(Thu) 15:33:09 [No.580]
キャスタールート予選1(マスター) - アズミ - 2014/01/16(Thu) 16:03:51 [No.581]
キャスタールート予選2(サーヴァント) - アズミ - 2014/01/16(Thu) 17:41:09 [No.582]
キャスタールート一回戦1(マスター) - アズミ - 2014/01/17(Fri) 17:19:24 [No.583]
キャスタールート一回戦2(マイルーム) - アズミ - 2014/01/17(Fri) 18:08:34 [No.584]
セイバールート一回戦3(サーヴァント) - アズミ - 2014/01/17(Fri) 23:07:26 [No.585]
セイバールート一回戦終了 - アズミ - 2014/01/18(Sat) 00:44:05 [No.586]


キャスタールート一回戦2(マイルーム) (No.583 への返信) - アズミ

●STORY●

 ライダーとケイジの妨害は遭ったものの、手際よく暗号鍵を集め、決戦に備えるコウイチ。
 マイルームに戻り、改めてキャスターと共にライダーとの決戦に備えることにする。
 が、懸念が一つあった。
 コウイチは未だ、キャスターの真名を知らない。もちろん、その宝具もだ。
 真名は戦術の指針となり、宝具はそのまま切り札に等しい。
 決戦の前に出来れば熟知しておきたい情報なのだが……。

●EVENT●

「初陣、お疲れ様でした。御館様」

 机の上に敷いた畳の上にちょこんと座ったキャスターが、そう言ってこちらの労をねぎらう。
 と、同時に身体にどっと疲労感を感じた。
 ムーンセルが用意した敵性プログラム(エネミー)との戦闘は予選やアリーナでも経験したが、サーヴァントとの戦いから受けるプレッシャーはその比ではない。
 単純に戦力の増大もあるし、曲がりなりにも一定のルーチンにそって動くエネミーと違って生きている人間の行動はどうしても読みきれない部分がある。
 おまけに――――正しく死に物狂いだ。
 命がかかる、というのは戦いにおいてそれだけで一定の密度と質量を持つ。これはマスターとマスターの殺し合いなのだ。

「此度の采配、まずは御美事。五分の条件であれば我々があの主従に遅れを取ることはありますまい。
 ――……ですから。少し、肩の力を抜きましょう。
 四六時中気を張っていては、いざという時に十全な戦働きは望めません」

 こちらの内心を察したように、キャスターが柔らかく言い聞かせる。
 成る程、言うことは尤もだ。マスターとして少し頼りないところを見せてしまったかもしれない。
 そう言って謝意を示すと、キャスターはくすくすと笑った。

「初陣の若武者には間々あることです。浮かれ、増長するよりは幾分も好い傾向といえましょうや」

 増長など滅相もない。
 今回の緒戦、ライダーとて本気ではない小手調べに等しかったが……それでも、決して楽な戦いではなかった。
 否、“楽な戦いでない”程度で済んだことが望外の僥倖だ。
 彼女を侮るわけではないが、キャスターは俗に“最弱のサーヴァント”として知られる。
 その名の通り、現代の魔術師では及びもつかない魔術スキルの高さを誇る。固有スキルの陣地作成、道具作成にしろ然り。
 しかし、全7クラス中4クラスが備える“対魔力”スキル。そしてアリーナにおいての正面切っての決闘を強いられるムーンセルの聖杯戦争において、それらのアドバンテージは実質無効化される。
 ゆえに、最弱。
 重ねて言うが、キャスターを侮るわけではない。
 むしろ、彼女はその“最弱”でありながら、ライダーを見事に退けて見せた。
 戦闘中の身のこなしや装いからして、日本の武家に連なる英霊だと思うのだが……未だ、彼女はその真名を自分に明かしてはくれない。

「……申し訳ありません。決して、御館様を軽んじているわけではないのですが」

 なんとか真名を聞いてみようとすると、キャスターはそう言って恐縮した。

「英霊の中には読心の心得があるものも少なくありません。御館様の抵抗値(セキュリティレベル)では突破される恐れがあります。
 私は真名が即座に命取りになる類の存在ではありませんが、念には念を入れるべきかと」

 英霊は往々にして弱点を持つ。アキレウスならば踵、ジークフリードならば肩甲骨の下、といったように。
 そうした英霊にとっては真名の隠蔽は文字通り生命線になりうるし、それらを極端な例としても真名が知られれば戦術の大半は割れてしまう。
 出来うる限り隠蔽すべき、というキャスターの意見は正しい。

「宝具も……今宵の戦闘を吟味した結果ですが……現状の御館様では聊か手に余ると判断いたしました」

 これは悪い報せだった。
 宝具はサーヴァントにとって切り札に等しい。
 今回の戦闘では秘匿の意味もあって使用は考えていなかったのだが、宝具を封じたままライダーとの決戦はぞっとしない。

「非常に消耗の激しい宝具なのです。御館様の魔力量(ようりょう)では、一度開帳すれば命は無いでしょう」

 ごくありふれた理由だ。自分のような凡庸なマスターであれば、尚更に。
 であればこそ、解決策も幾らかは思いつく。礼装や工房による拡張が正道ではあるが――……果たして、7日目までに間に合うだろうか……?

「ご安心を。仮令、宝具を秘匿したままでもライダーは討ち果たして見せましょう。
 それよりも、まずは決戦場に辿り着かなくては」

 そういうキャスターの言葉には確かな自信が感じられる。
 彼女の言うとおり、まずは明日からの暗号鍵の入手に集中しよう――……


[No.584] 2014/01/17(Fri) 18:08:34

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