かつて宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー)と呼ばれた時代、人類は一度滅びかけた。 戦争という人類の宿業、禍の火はついぞ克服されることなく、極度に発展した科学技術がそれに油を注いだ。 資源は枯渇し、大地は疲弊し、人が人を食う地獄が地球圏を染め上げた。 強すぎる火は己の身までも灼く――人類史上幾度目かの警鐘に、ついに人類は科学技術とその発展の封印を決意する。 かくて歴史は宇宙世紀からリギルド・センチュリーへと移った。 地球の人々は軌道エレベーター“キャピタル・タワー”を神聖視する“スコード教”の統制の下、科学技術の発展をタブーとし、タワーが宇宙から運ぶ“フォトン・バッテリー”のみをエネルギー源として細々とその営みを繋いでいた。 結果もたらされた1000年の平和により、地球と人々は少しずつ宇宙世紀の古傷を癒し始めていた。 しかし、R.C.1014年。 千年紀に及ぶ安寧は人類に戦う活力を蘇らせ、宇宙世紀の悪夢を忘却させつつあった。 綻ぶタブー。胎動する各国の野心。天に蠢く宇宙世紀の謎。 全てはレコンギスタの始まりに過ぎなかったのだ。 [No.621] 2015/03/12(Thu) 19:49:33 |