0096スレ - ジョニー - 2014/07/16(Wed) 22:19:50 [No.590] |
└ 宇宙世紀0095.シッガルト紛争 - ジョニー - 2015/02/07(Sat) 13:54:20 [No.620] |
└ シッガルト市鎮圧戦勃発前1 - ジョニー - 2015/04/18(Sat) 14:05:29 [No.622] |
└ シッガルト市鎮圧戦勃発前2 - ジョニー - 2015/05/24(Sun) 20:59:07 [No.623] |
└ [削除] - - 2014/07/17(Thu) 22:36:03 [No.592] |
└ [削除] - - 2014/07/16(Wed) 23:43:07 [No.591] |
└ 結局こうなりました( - ジョニー - 2014/07/23(Wed) 23:11:09 [No.593] |
└ ネオジオン残党旧グレミー派閥 - ジョニー - 2014/08/03(Sun) 22:12:42 [No.594] |
└ [削除] - - 2014/08/31(Sun) 22:51:19 [No.599] |
└ ネオジオン残党旧グレミー派閥2 - ジョニー - 2014/08/31(Sun) 23:54:39 [No.600] |
└ 連邦軍ベクトラ所属 - ジョニー - 2014/10/04(Sat) 23:01:17 [No.616] |
シッガルト市を制圧したネオジオン軍の臨時司令部となっている市庁舎の廊下を親子ほどの年の差がある二人の男女が歩く。 「では、現在のところは概ね予定通りですね?」 先を歩く若い女性が確認を取れば、一歩後ろに付き従う壮年の男が頷く。 「はい。核弾頭と核燃料の運び出しもつい先程完了しました」 お互いに視線を合わせ、頷く。 核弾頭と核燃料。これは計画を成功させる為に必要不可欠な存在で運び出しが完了しなければ行動を起こせないのは共通認識である。 「それでメイファ様の座乗艦はナポレオンで宜しいのですね?」 「はい、彼女はグワンバンは手放さないでしょう。それに私は此方よりも向こうに行くべきだと考えています」 シャーロッテがグワンバンを手放さないのはある意味では仕方がない事だと割り切っている。 何故ならグワンバンはシャーロッテにとってゼノン・マンサと共に求心力そのものであるのだから。 連邦艦ではあるが連邦艦であるが故にこれから行う作戦ではカイラム級戦艦であるナポレオンが必要になる、それにバーンズらダブルクロスのお蔭で運用には問題はない。 「それにハイドーガにはナポレオンのが適しているでしょう」 元々はHi−νガンダムであるメイファ専用機のハイドーガは確かにジオン艦よりも連邦艦の方が相性はいい、旗機の運用に適しているのだから座乗艦にする理由にもなる。 「ナポレオンといえば、あの提督も子狸でしたな」 「あぁ、そうですね。報告を受けただけで直接は会ってないですが流石はゴップ議長の甥といったところでしょうか」 散々見縊られて扱き下ろされている提督だが、二人の評価は低くない。 真っ先に降伏したのを批判する者が多いが、そのお蔭で双方共に死者はおろか重傷者すらいない。軽症者は流石に幾らか出ているが艦隊丸ごと拿捕されていながら死者・重傷者ゼロは驚異的な事実である。 特にあの艦隊は政府や軍の高官の親類が多い。もし提督が徹底抗戦を叫んで死者が多く出ればゴップ議長の立場も危うくなっていた可能性が高い。 それに核弾頭の資料も不完全ながらもその殆どが艦隊の明け渡しまでのドサクサ紛れに処分されていた。処分は不完全でそもそもシッガルト発電基地に核弾頭があるのは知っていたので結果的には余り意味がなかったが知らなければ核弾頭の確保には手間取っただろう。 狸と呼ぶにはまだ経験が足りないだろうが十分に子狸と呼べるくせ者である。 「まぁ我々が連邦の将官と繋がっているのを見抜けなかったのはまだ甘いですな」 それを見抜いていればもう少し違った立ち回りをしていたでしょうが、と語るハウエルの声には少々悪戯めいたものが混じっていた。 「仕方ありません。それを知っているのは私達極一部だけなのですから」 苦笑しながらハウエルの冗談を窘める。 メイファ達ネオジオン残党の中でもメイファやハウエルなどの極一部しか知らない事実である。 ネオジオン残党の大部分は彼らの資金源はグレミーの隠し遺産であるトト資金だと思っている、それも事実ではあるが実際はそれだけではない。第一、トト資金も確かに膨大であるが軍隊の維持には擦り減るばかりで長くは持たない。 信頼できる極一握りの者しか知らない他の資金源がメイファ達にはある。 ハウエルが事実上持っている、かつてキシリア配下の諜報機関が有していたフォンブラウン市にあるカジノや売春宿などもその一つである。 そしてもう一つ、あのティターンズのジャミトフが持っていた連邦政府の賭博組合インターナショナル国債管理公社。ジャミトフの死後、禿鷹のように貪られたその利権の一部をメイファは有している。 第一次ネオジオン抗争でのダカール制圧のドサクサでグレミーが確保したものだが、グレミー本人はその利権を握らずに既にグレミーに拾われていたメイファに委ねられた。 ジャミトフが持っていた利権のほんの一部だが地球連邦政府の賭博組合である公社の利権である、一部だろうとそこから得られる利益は凄まじいものがある。 その利権の利益がネオジオン残党に使われるのは皮肉だろう。そしてメイファ達はその利権を効果的に使った。 連邦の将官とアナハイムの役員達を、その利権を餌としてチラつかせることで抱え込んだのだ。メイファの持つ利権は決起から一か月後に何事もなければ自動的に二分されて将官と役員らの下に渡る。 無論、裏切りがあればそれは差し止める。どちらか片方だけなら裏切りの可能性が高いがお互いに誰かが知らないが将官と役員らが抱え込まれているのは知っている、自分は利権を得られずに相手だけが得られるのを我慢できるはずもない、そういう者達を選んだのだから裏切りの可能性は低い。 利権が相手に渡っても取引の証拠はメイファ達の手元に残る、そして証拠の一つでもあるが金の成る木の利権を彼らが手放すとは思えない。つまり利権を手放しても今度はその証拠で手綱を握れ、以後も裏切りを抑制できる。 汚い手だがジオンは弱体化し過ぎた。手段が汚くても結果を出す為にはやむを得ない。 「それよりも、これからどう出ると思いますか」 「そうですな。特殊部隊はダブルクロスが既に投入されている。という事になっていますからエコーズなどが投入される可能性は低いですな」 その言葉にメイファは頷く。それもまた二人の共通認識だ。 連邦軍情報部潜入特殊部隊ダブルクロス。元ジオン兵を中心として結成されたジオン残党勢力への潜入工作を主任務とした連邦軍の特殊部隊である、少なくとも連邦ではそういう認識だ。 どちらが本当の顔なのか知らぬまま。 そしてその潜入任務の特性上、他の特殊部隊と共同任務となることはまずない。 潜入メンバーは秘匿されるので下手に他の部隊と共同任務とすると味方の手で潜入した工作員が殺されかねないからだ。 故に本来は警戒するべきシッガルト発電基地への特殊部隊の攻撃は然程心配する必要はない、もちろん油断は禁物であるが。 「では、あとはアウーラの確保と私達が合流出来るかが鍵、ですね」 今度はハウエルが頷く。 決起前に予めシッガルト市を離れていたスキーズ・ブラズニルとジンドラの任務は捕虜交換後、シッガルト市防衛戦に紛れて資源衛星アウーラを占拠することにある。 資源衛星アウーラはいまだ運び込まれたばかりで本格的な採掘は行われていない。つまり中身が詰まっていて質量がある、なによりもまだ核パルスエンジンが付いたままになっている。 流石に核パルスエンジンの燃料は既にないのでそのままでは動かせないが、燃料となる核燃料は確保済みである。 そうシッガルト市防衛戦を囮に別動隊が資源衛星アウーラを占拠し、合わせてダブルクロスがナポレオンとラー・ケンプを核弾頭と共に奪還してシッガルト市を脱出する。 そのままダブルクロスは戦域を離脱してシッガルト鎮圧部隊から離れて、密かにアウーラを目指す。そしてアウーラの別動隊と合流してシッガルトから持ち出した核燃料で核パルスエンジンを点火する。 地球を目指すと見せて、地球の引力を利用して方向転換と加速を行いルナツーへの衝突コースを取る。 これが『ムーンクライシス計画』である。 この計画では一度アウーラに火が付くと地球の引力に引かれるまでに連邦軍はアウーラを停止するかコースを変えるかしなければならない。 何故なら一度地球の引力に捕まった時にアウーラをどうにかしようとすれば高確率でそのまま地球への落下コースに入ってしまう、メイファ達からすれば別にそうなってもいいのだ。 そしてルナツーへの衝突コースに乗ってしまえば加速の問題でもう止める事は出来ない。 つまり仮に途中でアウーラの真の狙いがルナツーだと気づいても、地球の引力に引かれるまでの時間で阻止出来なければ地球かルナツーかの二者択一を迫られる。 宇宙での連邦の最大拠点であるルナツーが崩壊すれば、その後の混乱を利用してメイファがザビ家の名を使いスペースノイドの決起を促して地球連邦を宇宙から締め出すことも不可能ではない。 シャアの隕石落としで弱った地球など宇宙を封鎖してしまえば徐々に崩壊するだろうという見通しである。 無論、そこまで上手くいくのは難しいだろうがルナツー崩壊とその後の混乱があれば今のネオジオン残党でもその力を結集すれば宇宙での主導権を握ることぐらいはできる。 仮に地球に落下すれば、それはそれでシャアの目指した地球寒冷化が成る。 「そう、ムーンクライシス計画が弱体化し過ぎた今のジオン最後の勝機なのです。私の命に代えても失敗は出来ません」 [No.623] 2015/05/24(Sun) 20:59:07 |