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all 第2回リトバス草SS大会(仮) - 主催 - 2008/01/22(Tue) 19:48:59 [No.135]
君の手 - ひみつ@激遅刻 - 2008/01/26(Sat) 01:47:47 [No.146]
普通よりも優しくない、他人よりも小さな世界の中で。 - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 22:04:40 [No.145]
We've been there - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 20:33:22 [No.144]
キャッチボール日和 - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 15:01:42 [No.143]
冬休み - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 05:47:08 [No.142]
えとらんぜ - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 01:30:24 [No.141]
幸せへ向けて - ひみつ - 2008/01/25(Fri) 00:45:23 [No.140]
責任転嫁は止めましょう - ひみつ - 2008/01/24(Thu) 22:58:31 [No.139]
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[削除] - - 2008/01/23(Wed) 03:12:18 [No.137]
感想会ログとか次回とか - 主催 - 2008/01/27(Sun) 01:02:50 [No.147]


冬休み (No.135 への返信) - ひみつ

 「う〜みゅ‥‥‥」
 あたしはいま自分の寮にいる。始業式まであと、‥‥何日か後だ。日にちは自分で考えろバーカ。教えない
時間は朝だ。もういいな。
 寒い、もうとにかく寒い、どれくらい寒いかといえばもうくちゃくちゃ寒い。
とにかくコタツから出たくない、いやだ。
こまりちゃんは寒いのにお買い物にいった。私はモンペチも冬を乗り越えるための分はまとめて秋のうちに買っている。
計画通りだ。こうしてコタツでゴロゴロしていられる。
 「ふーん、ふ、ふーん♪」
幸せ。

 「おい、鈴。」
 「おはよう、鈴」
 理樹と恭介だ。
 「帰れ、馬鹿兄貴」
 こうやって最近毎日やってくる。
 「おいおい、いきなり『帰れ』はないだろ。来たばかりだぞ。それに‥‥」
 「なんで俺だけなんだよおおおおおおお。理樹も一緒にきたじゃねえかああ」
 「ちょっと恭介?冗談だから落ち込まないでよ、鈴もほらなにか言ってあげて」
 「玄関はあっちだぞ」
 と、玄関を指さす。
 「ううおおおおおああああああああ」


 五分ぐらい経ってから、やっと立ち直った兄貴が
 「たまには外にでたらどうだ?いい気分転換になるぞ」
 なんて言ってくる
 「だが断る」
 「どこで覚えたのさ、そんなセリフ」
 「くるがやがいってたぞ。どうだ」
 「別にえらくねえよ」
 早く帰ってほしいなぁ。じゃないと‥‥‥
 「鈴、最近ずっと寮からでてないよ、猫たちだってご飯もらうだけじゃ寂しがってるよ。」
 「ああ、そうだな」
 う、どうしよう
 「そうだな、鈴どうだ久しぶりに」
 馬鹿兄貴がいやな事を言ってくる
 「だが断る」
 「それ気に入ってる?」
 でも、早くしないと‥‥‥
  にゃ〜
 「ふにゃ!!」
 しまった!
 「ん?なんだ?」
 「猫近くにいるのかな?だったら早くいこうよ鈴」
 「っそ、そ、そ、そうだな。」
  にゃ〜、にゃ〜、ぬあ、ゴソゴソ
 「「鈴」」
 2人が睨んでくる。
 「‥‥う」
 「うな」
 ドルジがのそのそとコタツから出てきてしまった。もういいのがれ出来ない
 「「「「にゃ〜にゃ〜」」」」
 ヒョードル、レノン、ヒットラー、ファーブル‥‥ぞくぞくと私や理樹や恭介のところへ散らばる
 「全員いるのか?鈴」
 「‥‥‥いる」
 「全員!?すごいね」
 「感心してる場合か」
 「うう」
 「寮は動物は入れちゃいけないのは知ってるな?」
 うなずく。もうどうしようもない、みんなでぬくぬくコタツもきょうまで、
 「どうりで最近猫たちを見ないとおもったら案の定か」
 「うん、鈴が寒いのは苦手なのは知ってたけど、猫たちをほおっておくとは思えなかったからね」
 やっぱりだ、わかっててきたんだな、理樹たち
 「もとのところに戻しに行くぞ」
 「‥‥うん」
 

 
 「行くぞ、お前たち」
  な〜、にゃ〜
 ぞろぞろとレノンを先頭に一列に並んであたしの後ろについてくる、もちろん理樹たちも
 途中で他の寮生がなんども振り向いて笑っていたがなにが面白かったんだ?
 また恭介がへんなことをやっていたのか?
 
※ 

 裏庭についた、やっぱりさむい、猫たちはこんなとこで冬をこすのだろうか?
 ふと、見ると馬鹿兄貴が紙袋を持っていた。なんだろう? 長いぞ理樹
 「うう〜〜、さむい」
 凍って死ぬ。あたしはもうだめだ‥‥理樹‥‥
 「凍って死ぬにはまだ早いな」
 そうやって笑いながら恭介が紙袋から電気ストーブをとりだしてなぜか近くまで伸びていたコンセントにさして電源を入れた。
 数十秒たって金属の部分が赤くなっていく
 あったかい
 「でも恭介?こんなの勝手に学校の電気つかっていいの?裏庭にまで延長コード引っ張ってきて」
 「大丈夫だ、来ヶ谷に許可はとった」
 「なるほど」
 くるがやにとったなら安心だ
 「納得できちゃうんだ!?」
 「なあに、心配はいらん。うまくやってあるから安心したまえ、少年」
 「うわぁぁ!!」
 一体いつからそこにいたのか、
 そういって理樹に抱きついていった
 「ふむ、理樹くんはあったかいな。報酬として少し君で暖をとらせてもらおう」
 「ちょ、ちょっと」
 理樹が顔を真っ赤にしてもがいている
 ‥‥‥‥なんだか不愉快だった
 ドルジと電気ストーブで暖をとりつつ背中を向けた
 

 
 十分くらいして来ヶ谷もどこかにいってしまった。そのころにはストーブのおかげでほとんどさむくなかった。そろそろめんどくさい。
 「おーほっほっほっ。あら、棗鈴じゃありませんの」
 猫たちのケアも終わった頃、突然、うしろから甲高い笑い声が聞こえてきた。
 「!!ささささささささ!!」
 「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・み、笹瀬川佐ヶ美ですわ!年を越してもまだ覚えていらっしゃらないの!」
 すこし、ほんのすこしだけ声が上ずっていた
 「ああ、そんな名前だったな」
 悪いことをしたかもしれない。でも
 「あら、猫たち戻ってきていたのね。最近見かけなかったから心配していましてよ?」
 一匹抱え上げて笑顔
 佐ヶ美が猫を好きなのはしってる、前にねこじゃらしをもってねことあそんでた
 「そうか。あのな、よく聞け」
 「なぜ上から言うかは知りませんけど、なんですの?今までねこがいなかった事と関係ありますの?」
 「実は‥‥‥」
 いろいろはなした。さむくて外にでたくないから寮に全員もっていったこととか。ストーブをもらったからまた外であそぶとかいろいろ
 
 
 ※

 「‥‥‥あなた」
 「なんだ」
 また、けんかになりそだ。身がまえた
 「そうだったんですの。猫たちが元気ならかまいませんわ」
   それ、いかがです?
 子猫のおなかをなでながら 
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんだ、いい奴じゃないか
 「?なんですの?さっきから私をみていますわよ」
 「お前はいい奴だ」
 佐ヶ美の顔が赤くなる。たぶんあたしも
 「唐突になんですの?」
 「だったら友達になってやらんこともない」
 「だからなんで上から目線なんですの!」



 本当は今日はしないつもりだったブラッシングとかを2人でした。
 なんだかやりたくなったからだ。悪いか?
 佐ヶ美はだいぶなれているみたいでなかなかうまかった。もちろんあたしほどじゃなかったけどな。どうだ
 馬鹿兄貴、理樹、たぶん友達になった。いわゆるキャッ友だ。
 冬休みはたのしかったぞ

        棗鈴


 教室、
 「なぁ理樹、なんだこりゃ」
 真人は疲れ果てていた
 「さぁ、でも一生懸命書いたんじゃないかな?」
 一通り読み終え、僕たちはため息をついた。
 「私としてはなかなか興味深かったが」
 長い黒髪を揺らしながら来ヶ谷さんがうなずいている
 「特にある一日の行動や心情を書く『冬休み感想文』のはずなのに書いているときの気持ちまで書いている
 所がすばらしい感性だとお姉さんは思うぞ」
 意味ありげな笑みをうかべ優雅に言った
 「やっぱりこの」
 文章の一部を指差し
 「『日にちは自分で考えろバーカ。教えない』『長いぞ理樹』『そろそろめんどくさい。』とかってそうなのか‥‥」
 「最初に読んだとき、なんだ?とおもったけど今見るとそうとう
 嫌だったんだね。感想文書くの」
 そう、僕たちは鈴が書いた『冬休み感想文』を読み終わったところだ。
 これは日ごろからあまり綺麗な言葉づかいの出来ていない鈴に
 恭介がだしたミッションだ
 題して『子供感想文でうはうは賞状ゲットだぜ』(by恭介)
 でもこれじゃだめだ。これを書き終わったのは一月30日、すでに応募は終了している
 しかも原稿用紙ではなく
 おそらく原稿用紙をなくしたのだろう、ルーズリーフ7枚で手渡された。
 せめて一枚の紙で最後まで書いてくれれば‥‥‥
 「お前ら揃ってなに暗い顔してんだ」
 いつものように窓から恭介が降りて
 「これ、鈴の感想文」
 「お、ついに出たか」
 
 

 読み終わった恭介の額には汗がにじんでいた
 「今までになかった考えだ、書くことに対して言っている文句をそのまま文章に起こすとは」
 現在鈴は感想文から解き放たれ、幸せそうに寝ている
 「でもさ。鈴に新しい友達ができたんだよ」
 本当に嬉しかった。
 幼馴染として
 鈴の彼氏としても
 鈴が自分で誰かと友達になろうとしたなんて
 今でも鈴は鈴のままだけど、だんだん変わっていって大人になっていく
 そんな嬉しさが
 「そうだな」
 「しかも、自分から!ほらここ『だったら友達になってやらんこともない』って」
 恭介は声を上げて笑った
 「っはははは、あいつらしいや」 


[No.142] 2008/01/25(Fri) 05:47:08

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