第3回リトバス草SS大会(仮) - 主催 - 2008/02/05(Tue) 21:24:01 [No.150] |
└ バレンタイン IN リトルバスターズ! - ひみつ@激遅刻 - 2008/02/09(Sat) 06:36:52 [No.160] |
└ 水に流す - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 23:02:13 [No.159] |
└ Rainymagic - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 21:59:05 [No.158] |
└ 亡きコウモリからの手紙 - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 21:38:30 [No.157] |
└ 水 - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 20:46:07 [No.156] |
└ 水辺の彼女 - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 20:29:41 [No.155] |
└ 2ぶんの1 - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 03:23:18 [No.153] |
└ 水符「河童のポロロッカ」 - ひみつ - 2008/02/08(Fri) 02:20:40 [No.152] |
└ 感想会ログとか次回とか - 主催 - 2008/02/10(Sun) 19:10:46 [No.164] |
私は静かな雰囲気が好きで、葉留佳はにぎやかな雰囲気が好きだ。 私は柑橘類が苦手で葉留佳は柑橘類が好きだ。 私たちは、双子といってもその実は結構違う。まるで水と油のように。 ―――だから。 だから、この想いは私の勘違いにすぎない。 いや、勘違いで、なければいけない。 だけど、 だけど――。 ああ、この想いは――認めたくないけど、本物だ。 『バレンタイン IN リトルバスターズ!』 **** 2月14日19:00 何やってんのよ、何やってんのよ、何やってんのよ! そういいながら、私は雨の中、傘を差して走っていた。 本当になにやってんだろう、私。私ってこんなに馬鹿だとは思わなかった。 そんなことを考えながら、私は今日あったことをおもいだしていった――。 **** 2月14日12:55 「これからはこんなことのないように、二木は風紀委員長なんだからしっかりしろよ」 「はい、すみませんでした」 「それではもういっていい」 「失礼しました」 私はそういって職員室の部屋を出る。 「何やってるんだろ、私」 ポケットに手を入れてもう一度つぶやく。 「少なくとも、全校生徒のためになることはやったのではないかな」 その声がして思わず飛びのいた。 「く、来ヶ谷さん驚かさないでください」 「驚かしたつもりはないのだが、驚かしたのなら謝る。それはそれとして今回の君の行動には、賞賛の拍手を送りたいな、たとえ、それが私利私欲のためであっても」 「おっしゃっている意味が全くわかりません」 「おやおや、おねーさんはなんでもお見通しなんだぞ?」 そういって来ヶ谷さんはにんまりと笑う。 「私は忙しくて、『バレンタインにチョコの持込禁止』の命をだすのを忘れただけです。たしかにチョコレート持込OKにするよう生徒からの要望は多かったですが、それに負けたわけではありません、もちろん他意はないですし、そもそもいわなかったから、といって、学校に関係ないものをもってきていい物ではありません」 『バレンタインにチョコの持込禁止』の命を出さなかったせいでさっきまで、怒られていた。実際今年は、チョコレートをもってきている女子が多いらしい。クラス連中のうわさによれば今年はクラス委員とか数人がクラス全員分のチョコレートをつくってもってきたりしているとか。 「いくら忙しかったから、といって、忘れるなんて言語道断ですけどね。今回は私は反省すべきでしょう。出来れば、こんな未熟な私を来ヶ谷さんがぜひ風紀委員会に入ることにより補助してほしいのですが」 「ほう?口もうまくなったようじゃないか?そんなことをいえるようになったなんて」 「何のことですか?」 「2月10日、私は君がどこで何をやっていたのか知っているんだからな、葉留佳くんと一緒に理樹くんに渡すためのチョコレートをつくっていたんだってな。二人っきりで。料理が苦手な葉留佳くんに一日中、つきっきりだったそうじゃないか。そして、そのまま二人、一緒の布団で寝たそうじゃないか」 その言葉で私の顔は一気に真っ赤になった。 「……くっ、な、なんで……」 そういっても犯人は一人ではない。私ではもちろんないのだから。犯人はつまり。 「葉留佳くんは私に隠し事なんかしないからな」 「……葉留佳ぁ」 「しかし、妹のために、こんなことやるなんてなぁ……」 来ヶ谷さんはけらけら笑う。 「二木女史もなかなかかわいいところ、あるじゃないか」 「いわないでくださいっ」 ああ、もうっ。葉留佳、あとでお説教ね。おとなしく聞く子じゃないんだけど。 でもそんな葉留佳がかわいいんだけど。自分でいうのもなんだけどほんとダメな姉だ、私は。 手がかかる妹、ってのはほんとかわいいことを葉留佳と和解したこの数ヶ月実感していた。 一緒に料理したり、一緒に登校したり、一緒に寝たり(念のためいっておくと、本当に一緒に寝るだけよ?私にそんな趣味はない)。小学生のころからずっとしたかった、そんな普通の姉妹がすることを葉留佳とできることに、幸せを感じていた。 小学生のときはそうでもないが、今やると、まわりからみればちょっと気持ちが悪かったりするかもだけど。そんなことはきにしない。 ついでにいっておくと葉留佳との和解が縁で今の私はリトルバスターズに入っていたりする。 「まったく、なんで葉留佳はあんなのがすきなのかしら」 数分たって、落ち着いたあと、来ヶ谷さんと再び話し始めた。 「私も理樹くんのことは好きなんだがな、今日の放課後、私直々につくったチョコレートを渡すつもりだし」 「……あなたも物好きですね、あんなののどこがいいんですか」 「いや、いや、結構いいヤツなんだぞ、彼は」 「そうですか……そろそろ私は教室に戻りますねもう少しでチャイムもなりますし」 「ああ、じゃあな……ああ、それとな、一つ聞きたいことがあるんだが」 「はい?」 「二木女史は、”あんなの”のどこがいいんだ?」 その言葉に凍りつくが、努めて冷静に言葉を返す。 ……なんで、わかったの? 「……おっしゃっている意味がこれっぽっちもわかりませんね」 だが、心の動揺を悟られないよう、努めて冷静に返す。 「おやおや。おねーさんはなんでもお見通しだぞ?もし君がチョコレートを渡したいのなら放課後にな、そういう指令が恭介氏から出ているから」 「だから意味がわかりません」 「おやおや、もうちょっと素直になったほうがいいぞ」 そういってにこやかに来ヶ谷さんはわらっていた。 ――素直になれるわけ、ないじゃない。 心の中でそう毒づく。 「……そろそろチャイムがなるので失礼します」 「おやおや」 もういちど、そういって来ヶ谷さんは肩をすくめた。 *** 私は、直枝理樹が好きだ。 この感情を認めない、わけにはいかない。 本当だったらこの感情を伝えたり、すくなくとも今日だったら、チョコレートをあげたりするんだろう。 でもそれだけは出来ない。 私はポケットの中を探る。 ポケットの中にはチョコレートがはいっていた。 家来る前にもってきた、チョコレート。 このチョコレートを渡すわけには、いかない。 だって。 頭の中に葉留佳の顔が浮かぶ。 ええ、渡すわけには、いかない。 *** 放課後、私たちは3ON3をやることになった。 試合に出ない人が、直枝理樹にチョコレートを渡すようになっていた。直枝理樹は今日ずっと試合に参加しないから他の女子は、休憩中に渡す、そういう手はずだ。 「ミッションスタート!」 その言葉とともに3ON3が始まり、同時にチョコレート私が始まった。 「お爺様からおくられてきたロシアのちょこれーとです、ぷれぜんと・ふぉ〜・ゆ〜なのです」 「あ、ありがとうクド、で、でもいいの、こんな高価そうなの」 「理樹だからいいのです」 「…あ、ありがとう」 「わふーっ、理樹の顔が真っ赤です」 「く、クドが変なこというから」 「はっ、私ひょっとしてものすごくはずかしいこといいましたっ!?」 「理樹くん、バレンタインチョコなのですヨ」 「ありがとう葉留佳さん」 「本命なので、じっくり食べてほしいですヨ」 「ははは……」 「少年、そろそろ少年は誰が好きなのか、はっきりさせたほうがいいんじゃないか?」 「そろそろ、っていわれても、こんなに好意をもたれているって知らなかったし…」 「鈍感だな、少年、……おねーさんと付き合わないか?」 「く、来ヶ谷さん、胸が…」 「あててるんだ、少年。どうだ、少年?私はスタイルがいいし、包容力もある、理樹君をまもってやれる強さもある。お買い得だとはおもわないか?」 「僕、男として形無しだよね、それじゃ」 そんなこんなで全員がチョコレートを渡していた。――私も、チャンスはあった。 だけど。私は。 「もてもてね」 「ははは……」 「まったくみんな物好きにもほどがあるわね」 「僕もそうおもう」 「あげないわよ、私は」 「うん」 そんな会話をしただけだった。 全試合がおわり。 「理樹、お前の置かれている状況はわかったと思う」 「う…うん」 「とりあえず、お前がなんらかの結論を出すことを期待しているぞ。迷うのはわかるが、時間は有限だからなるべく早めにな」 「がんばれよ、理樹」 「いいか、理樹、わからないときは筋肉に頼るんだそれできっと答えが出る」 「ははは…」 相変わらず理樹は苦笑いを浮かべていた。 そういって、解散となった。解散となったあと、私に棗恭介がよってきた。 「お前もチョコレート渡せたのか?」 その言葉に凍りつく。――だからなんでわかるの?そんな言葉が脳内を駆け巡るが、二度目だったのでまだ冷静に返すことが出来た。 「あなたも来ヶ谷さんも何を勘違いしているんですか?私は直枝理樹のことなんか好きじゃないですし」 「もうちょっと素直になったら、どうだ、二木?」 ――素直になれるわけ、ないじゃない。 そう、心の中で再び毒づいた。 ☆ 18:30。 「おいし〜ですか?ちょこれーと」 「ええ」 それから、夕食後、私はクドリャフカと一緒にチョコレートをたべていた。今日理樹にあげたのと同じチョコレートらしい。 「緊張しました〜」 さっき、直枝理樹のチョコレートを渡したことをいっているのだろう。 「ご苦労様、それにしてもクドリャフカもあいつのことが好きだったのね」 うすうすは感じていたけど、やっぱりそうだったか。 「はい、直枝さんはすごくいい人ですし」 そういってにっこりと笑う。 「それにしてもクドリャフカにあんな度胸があったとは以外だったわ、あれってすごく恥ずかしくない?」 試合中とはいえ、みんなが見ている前で渡すのだし。考えただけで結構恥ずかしそうだ。 「私もはじめ下駄箱に入れようと思ったのですが、恭介さんからとめられまして、ああいう形になりました。すごくはずかしかったから、渡すのやめようかとも思ったのですが昔の私だったら、そんなことなかったと思いますが。伝えなくて後悔したくなかったんです」 そういえば、今年度のはじめ、クドリャフカがすんでいる国でいろいろあったのを思い出した。 あのとき、クドリャフカの中でなんか、思うことがあったのだろう。 「……そう」 「佳奈多さんはどうなんですか?」 「私は好きな人はいないわ」 「わふ?チョコレート渡していないんですか?理樹さんに」 また、その質問? うんざりしながら私は言葉を返す。 「だからなんで、私が直枝理樹にチョコレートを渡さないといけないのよ」 「はぁ」 「まったく、来ヶ谷さんも棗恭介もあなたも勝手に勘違いしないでほしいわね」 「勘違い、じゃないと思っているんですが」 「はぁ…いい?クドリャフカ、私はね」 「もう少し、素直になったほうがいいと思います、佳奈多さんは。誰もあなたをせめたりはしませんよ」 前半だけだったら、よかっただろう、でも後半の言葉にカチン、と来てしまった。 「……うるさいわね」 「え?」 「何もわかっていないくせに!」 私はそういって部屋を飛び出した。 ☆ 19:00 「はぁ、はぁ、はぁ」 何やっているんだろう、私。あんなこといって、飛び出して。 「最低ね、ほんと、最低――」 一人で勝手にいらついて、クドリャフカに八つ当たりして。 ――なんで、あんなヤツを好きになってしまったんだろう。 あんな鈍感で、いつもニヤニヤわらっていて、ひょろひょろしていて――そして、葉留佳が好きになった男性を。 そもそもあきらめればいいのだ。 初恋はみのらないって、昔からいうから私がここであきらめてもあきらめなくても結果はおなじなの……、あ、これだと葉留佳の初恋が実らないことになるから今のなし。 とにかく、私は直枝理樹のことを好きになってはいけなかったのだ。でも――でも好きになってしまった。 葉留佳と同じ男性好きになるなんて、思わなかった。 でも葉留佳を失いたくない。 あの子の笑顔をみていたい、あの子といっしょにいたい、姉妹水入らずで、ずっとそばにいたい。もうあの子をいじめる必要はなくなったのだから。 だけど――。ああ、もう、本当にだめな姉だ。 決着を、つけよう。この想いに。 『私もはじめ下駄箱に入れようと思ったのですが』 さっきのクドリャフカの言葉を思い出し、私は学校にむかって、歩き始めた。 ☆ 下駄箱にたどり着く。私は、目的の靴箱を探す。 直枝理樹。そう書かれた靴箱をさがし、ポケットの中にしまっていた、チョコレートを入れた。 今日一日中、ずっとしまっていたチョコレート。一日中、ずっとしまっていたが、溶けてはいなかった。 私はチョコレートだけいれて靴箱をとじた。 「はあ」 葉留佳、ごめん。でもこれくらいは赦してほしい。もう奪わないから。これだけで、満足だから。 葉留佳を本当に失いたくないから。 「いやはや、おそかったですネ」 「は、葉留佳?」 なんで、こんなところに? 「お姉ちゃん」 その声に私は、縮こまる。 「私たち、仲直り、したよね?」 「…ええ」 私はもう観念した。私は、また間違いを犯してしまったらしい。 こんなことになるくらいなら、義理チョコっていってさっき渡せば本当によかった。 いえ、そもそもこんなことをしなければよかった。 今だったらもう言い訳は聞かない。 「だったら、だったらさぁ!」 その言葉にびくっと震える。 「もうちょっと素直になってよ!わかっちゃうんだよ!双子だから!同じ男性を好きになったんだから!」 「え…?」 「私に――遠慮しないでよ!そんなの本当の姉妹じゃないよ!」 葉留佳は泣きながら、そういった。 ああ、そうか、葉留佳はずっと気づいていたんだ。そして、私は、そんな葉留佳を無意識のうちにずっと傷つけていたんだ――。 「ごめん、本当に、ごめん葉留佳」 私はそういって葉留佳に抱きついた。 ☆ 「じゃ、そろそろみんな出てきてください」 数分後、そう葉留佳はいった。 「はい?」 みんな? 「では、ミッションスタートだ」 !? 「な、棗恭介、どうしてここに!?」 「おいおい、俺だけじゃないぜ」 「え?」 「わふわふ」 クドリャフカ!? 「いやいや、いいもの見させてもらったよ、姉妹の和解とはかくも美しい、か」 来ヶ谷さん!? 「ライバルまた一人ふえたな」 「直枝さんはそろそろフラグたてるの自重してほしいものです。下手するとそのうち刺されますよ?」 「ほえ、ふらぐってなに?」 「フラグってのは筋肉の一種か!」 「アホだな」 ……あまりの展開に声が出ない。 「では最後に、――少年、でてこい」 「あ、あははははは……」 苦笑い――というかひきつった顔をしながら最後に直枝理樹が出てきた。 これでリトルバスターズのメンバー全員がそろったことになる。 「な、なんであなたたちここにいるの!?」 「葉留佳君のメールのお陰だ」 「はい、私のメールですヨ。お姉ちゃんがきたときにおくっておきました。正直くるのか五分五分だったのですが、きてよかったデス」 「は、葉留佳、なんて――、なんてことを!」 「では、本日最後のチョコレートの贈与式を行う」 「ちょ、ちょっとまって、いくらなんでもこれは」 恥ずかしくて死にそうだ。さっきのクドリャフカの気持ちがよくわかった。 「こんな時間まで渡さなかった君がわるい。……葉留佳くん、下駄箱にあるチョコレートをとってくれ」 「はい、姉御、…あれ?」 「ん?どうした?」 「いや、ないんデスよ?」 その言葉に我にかえる。そうだ、渡したチョコレート、見つからないで、見つからないで、お願い。 だって…。 「葉留佳くん、もうちょっとよく探してみたらどうだ?」 「そんなこと、いってもチョコレートなんてみつか…」 葉留佳の顔がかわる。 「あ、あった」 そういって、とりだしたチョコはチロルチョコだった。 いや、私がもってきたんだけどっ。 「我が姉ながら、ちょっと泣けてきますよ、なんで本命チョコがチロルチョコなんです?」 「いや、いや、葉留佳くんにちょっとでも気があると思われてはいけない、二木女史なりの精一杯の気遣いだろう。しかし、気持ちは私たちと引けをとっていないぞ、はやく、佳奈多くん理樹くんに渡してくれ」 そういって、チロルチョコを来ヶ谷さんから受け取る。 「な、直枝理樹」 「は、はいっ」 「誤解しているかもしれないけど、私、そんなにあんたのことすきじゃないし、ここにきたのは気の迷いだけど――これ、あげるっ」 そういってチロルチョコを渡す。 ちゃんとしていないチョコだけに余計恥ずかしい。 「ああ、こういう佳奈多くんは新鮮でいいな…」 そう、来ヶ谷さんがつぶやいているのが聞こえた。 「ミッションコンプリート!」 この様子をみて、棗恭介がそういい、この場はお開きになった。 ☆ 帰り道。 私は葉留佳と一緒に帰っていた。 「はぁ…」 「お姉ちゃん、ため息ばかりついていたら幸せが逃げちゃいますヨ?」 「ため息もつきたくなるわよ…」 まったく、なんでこんなことになったんだろう。 「お姉ちゃんがもっと素直だったらよかったんデス」 「ごめん、葉留佳。それにしても私がくるのなんでわかったの?」 「だって、お姉ちゃんがこうなるよう、けしかけたの、私デスし。恭介さんと、姉御とクドに相談したんですよ、なんとかお姉ちゃんが素直になる手がないかって」 「あの3人がしっていたのあんたのせいなの!?」 「姉御と恭介さんはうすうす気づいてたたみたいですケドね。で、今回のバレンタインの運びになったわけです。正直ここまでうまくいくとは思いませんでしたケド」 「はぁ…」 私はため息をつく。 「でもほんと、なんで、好きになっちゃったのかしらね……私ね、昔こうおもったのよ、葉留佳と仲良くなっても、同じ男性を好きにならないんじゃないかって。それに好きになりそうになかったのをほっとしたの、私の両親のこともあったし」 「あーー」 「でもね、私と葉留佳って結構すきなの違うじゃない?私はどちらかというと静かな雰囲気が好きで、葉留佳はにぎやかな雰囲気が好きだし、食べ物でいえば私は柑橘類が苦手で葉留佳は柑橘類が好きだし。まるで水と油のようにさ」 「ああ、お姉ちゃん、それは簡単デスよ」 「?」 「理樹君は石鹸水、なんデスよ、私たちにとって」 その葉留佳の言に私は噴出した。 「石鹸水、ね、なるほど」 葉留佳もうまいことをいうものだ。 私たち二人は、笑いながら、寮にもどっていった。 [No.160] 2008/02/09(Sat) 06:36:52 |
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