第7回リトバス草SS大会(仮) - 主催 - 2008/04/09(Wed) 22:56:46 [No.217] |
└ 猫は笑顔を求める - ひみつ 初、甘、遅刻 - 2008/04/12(Sat) 16:48:51 [No.235] |
└ ある現実。 - ひみつ@初 - 2008/04/12(Sat) 14:30:58 [No.233] |
└ 私の幸せ - ひみつ@ちょいダーク - 2008/04/12(Sat) 05:43:01 [No.232] |
└ 幸薄い - ひみつ@ぢごく - 2008/04/12(Sat) 05:20:04 [No.230] |
└ 願い事ひとつだけ - ひみつ - 2008/04/11(Fri) 23:01:20 [No.229] |
└ 儚桜抄 - ひみつ - 2008/04/11(Fri) 22:15:05 [No.228] |
└ 幸多き妄想の海にて少女はかく語りき。 - ひみつ - 2008/04/11(Fri) 21:52:10 [No.227] |
└ ただ「生きる」ということ - ひみつ@容量越えのため厳しくお願いします - 2008/04/11(Fri) 21:48:46 [No.226] |
└ 幸福論 - ひみつ - 2008/04/11(Fri) 21:05:59 [No.225] |
└ 恭介の一問一答 - ひみつ - 2008/04/11(Fri) 03:53:14 [No.224] |
└ [削除] - - 2008/04/11(Fri) 03:51:42 [No.223] |
└ 個人の力は無力に近し - ひみつ - 2008/04/10(Thu) 23:03:31 [No.222] |
└ 棗家スタイル - ひみつ - 2008/04/10(Thu) 19:19:51 [No.221] |
└ シアワセの在り方 - ひみつ - 2008/04/10(Thu) 11:56:52 [No.220] |
└ [削除] - - 2008/04/10(Thu) 11:49:33 [No.219] |
└ 感想ログと次回と - 主催 - 2008/04/13(Sun) 02:33:14 [No.236] |
人気のないグラウンド 静まり返った中庭 ひんやりとした空気だけが漂う校舎 まるでここだけが世界から切り離されたような錯覚 「まぁ当然か。休みなんだしな」 平日ならまだしも休日の学校には、 部外者はもちろん生徒でさえよほどの用事でもない限り来たりはしない。 ましてやこの時期では尚更である。 「もうすぐここの学生でなくなるんだなぁ」 校内をぶらつきながらつぶやく。 3年間なんて月に換算すれば36ヶ月、日数にしたら1095(+1)日もある。 だがこうして過ごしてみると実にあっけなく感じてしまうのは何故なのだろうか。 しばらくぶらぶらとしていたら、いつのまにか理樹や鈴達の教室にたどり着いていた。 別段意識していなかっただけに苦笑してしまう。 「はっは、俺もまだまだ子供だったということか」 だがまぁ、今日ばかりはこんな俺でもいいだろうと思いつつ、 そろそろ歩くのも飽きたので教室に入ることにした。 ・・・そういえばこの教室にドアから入るのって滅多になかったな。 とりあえず俺の席と同じ位置の席に座り、教室を見回す。 別にどうということはないが、他の場所よりも静けさが際立っているように感じた。 それは多分、ここが他の何処よりも幸せに溢れていたからだろう。 そっと目をつぶり、考え事にふける。 今ならば、この場所ならば、きっと答えが見つかると信じて・・・ それぞれのシアワセ ・・・理樹 お前は俺のミッションその全てを乗り越えてくれた いつまでもそばにいなくても平気だよな? これからはお前がみんなのリーダーとして そして鈴を幸せにしてやってくれ ・・・鈴 お前も本当に強くなったな もう背中に隠れなくてもいいよな? あんまり理樹に迷惑かけないよう 二人で頑張ってくれよ ・・・真人 お前には本当に世話になったな でもこれでお前も分かっただろ? お前の馬鹿は世界を救うんだ だからこれからもありのままのお前を大切にな ・・・謙吾 お前は最後まで泣き虫だったな でもそんなとこも含めてお前のことも好きだったんだぜ? 確かに過去も大事だがそれよりも今をしっかりと見据えて それともう少し自分に素直にな ・・・・・・俺は 俺は今幸せなのだろうか そもそも俺の幸せとはいったい何なのだろうか 修学旅行のあの事件 本来ならば俺はあの時に死んでいた みんなの思いの力を借りて作った世界で やり残したこと やりたかったことを叶えようと思ったとき 俺の幸せは確かに存在していた だがその幸せは予想を遥かに超え 俺でさえ出来ずに諦めていた場所に辿り着いた 叶ってしまった幸せは消えてしまう ずっと叶えられないままだったならば あの世界にずっといられたのならば 俺は幸せだったのではないのか そんな事を思ったときもあった 無論そんなことは許されないことだ 確かにあの世界は温かく幸せに溢れていた だが所詮は作り物にすぎない そんなことを少しでも考えてしまったことを後悔したりもした だったら俺の幸せとはいったい何なのだろうか 俺は・・・ 『馬鹿兄貴こんなところにいたのか』 声がしたほうを向くと 教室の入り口に鈴がいた ドアの開いた音がしなかったとこをみると どうやら閉め忘れていたらしい 『どうしてこんなところにいるんだ?おかげで探す羽目になってしまったじゃないか』 俺は今鈴と一緒に廊下を歩いている。 鈴曰く、現在食堂で理樹達が俺のためにパーティーの準備をしていて、 鈴は俺を探して連れてくるよう言われたらしい。 で、寮の部屋や3年の教室を捜したが見つからず、 通りがかった自分の教室で見つけ、今に至るというわけだ。 「なぁ鈴」 『ん?』 「今幸せか?」 『???それはどういう意味だ?』 「いや、なんとなくな」 言ってから少し後悔した。 この質問を鈴にしても、戸惑ってしまうだけだろう。 ならば何故?と自分に聞いてみれば、 ・・・そう、なんとなく。 なんとなく今日の鈴が、ちょっとだけ頼りに思えたから。 でも流石に早すぎたらしい。 現にさっきから?がいくつも頭の上を飛び交っている。 俺が「何でもない」と話を切り上げようとしたとき、 『きょーすけの言う「幸せ」がどういうものかは知らんが、 あたしの「幸せ」は、振り返ったときに初めて気づくものだと思う』 意外にもまともな答えが返ってきて、正直びっくりした。 『たとえ何があったとしても今笑えるなら、きっとそれは「幸せ」なんじゃないのか?』 「・・・鈴?」 『あたしは今、理樹やこまりちゃんやクドやくるがややはるかやみおや馬鹿達と一緒にいることが、とても楽しい。 だからあたしは、今とても幸せだ』 そう言った鈴の笑顔は、これまで見たことないほどに温かいものだった。 振り返ったときに笑えるなら幸せ、鈴はそう言った。 ・・・なら俺は?俺は今笑えるのか? そんなことを考えようと思ったが、いつの間にか食堂前に着いていたらしく、 鈴は先に行ったのかその姿を消していた。 少し寂しかったが、仕方なく俺も中に入ることにした。 途端、クラッカーとみんなの笑顔が出迎えてくれた。 普段見慣れているはずのその笑顔。 そのはずなのに、いつもと違う感じ。 心の奥底から温かくなっていくような感覚。 気が付いた時には、俺もみんなに負けないくらいの笑顔になっていた。 ・・・ああ、そうか。これが鈴の言っていた「幸せ」 過去に何があったかなんて些細なことだったんだ。 こいつらと一緒にこんなにも笑顔でいられる。 俺は今、とっても幸せなんだ。 ふと心の中で 何かが弾けた音が聞こえた そうだ 幸せは「得る」ものではなくただ当たり前にそこに「ある」もの 最初から消えたり失われたりするはずがなかったんだ ただそのことに気づくだけで こんなにも幸せになれる だからもう 大丈夫 これから先 何があっても たとえ越えられないくらいの壁に出合い 挫けそうな日が来たとしても きっと 歩いていける そこにある 「幸せ」を信じて [No.220] 2008/04/10(Thu) 11:56:52 |
この記事への返信は締め切られています。
返信は投稿後 30 日間のみ可能に設定されています。