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No.472へ返信

all 30分で何か書く翔菜さんといくみさん超かっこいい - かき - 2008/08/03(Sun) 23:33:06 [No.470]
代打バース! - ひみつ - 2008/08/04(Mon) 01:26:35 [No.476]
無題 - ひみつ@いくみ - 2008/08/04(Mon) 00:24:22 [No.474]
しょうじである - ひみつ - 2008/08/04(Mon) 00:11:51 [No.473]
物語はまだ始まっていない。 - ひみつ - 2008/08/04(Mon) 00:03:20 [No.472]


物語はまだ始まっていない。 (No.470 への返信) - ひみつ

「理樹、おい理樹?」
 午前中の授業が終わり、昼食に行こうとルームメイトを見ると、机に突っ伏したまま寝息を立てていた。歩み寄り、呼びかけながら肩をそっと揺する。
「なんだ、どうした?」
 幼馴染の剣道男が傍らに立って心配そうに問いかける。今朝も些細なことで本気の取っ組み合いをしたばかりなのに。
「ん、ああ。多分いつものやつだ」
「そうか。どうする?」
 目の前で寝息を立てるこの少年にとって、そして彼ら幼馴染にとっては日常のこと。言葉を尽くさずとも心得ている。
「とりあえず、飯食いに行こうぜ。戻ってもそのままだったら、寮まで運ぶ」
「そうだな。ならパンでも買っておいてやろう」
 今朝大太刀回りを演じたばかりの大男二人は、いがみ合うでもなく連れ立って教室を出て行った。
 残される少年。教室は弁当を食べる学生たちで賑わっているが、少年に目を留めるものはほとんどいない。
 風景として溶け込んでいる。時折寝苦しさに眉をしかめて身じろぎする様も。

「理樹?」
 少女が教室に戻ってきたとき、真っ先に探したのは幼馴染の少年だった。
 授業が終わると同時に教室を飛び出し、校舎の隅で猫と戯れる。彼女にとっては学校は全て義務教育だ。
 猫に食事を与え、ひとしきり戯れた後。学食に向かっていつもの顔を捜す。そこに少年が欠けているのはすぐに分かった。なぜいないかも見当は付いた。その上で彼らと共に昼食を摂ろうとしたのだが。
 今少女は教室にいる。机の前に仁王立ちして少年の寝顔を見下ろしている。
「なんかむかつく」
 少年の頬を指でつまんで弄ぶ。猫の肉球とは違うさわり心地。
「くせになるな」
 少年が起きないのをいいことに、弄び続ける。その口元が緩んでいることに少女は気付かない。

 一部始終を眺める長身の少年は、それでいいと思っていた。今は、まだ。


[No.472] 2008/08/04(Mon) 00:03:20

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