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No.504へ返信

all 第15.5回リトバス草SS大会(仮) - かき - 2008/08/06(Wed) 22:57:13 [No.478]
第零種接近遭遇 - ひみつ@呆れるほどに遅刻。 8516 byte - 2008/08/09(Sat) 05:44:35 [No.495]
――MVPコウホココマデ―― - 主催 - 2008/08/09(Sat) 00:22:55 [No.493]
野郎どものクリスマス 3700byte - ひみつ - 2008/08/09(Sat) 00:11:06 [No.491]
野郎どものクリスマス - 雪蛙@5010byte 暇だったのでちょっと加筆・修正してみた - 2008/08/14(Thu) 02:19:01 [No.504]
二人、一緒に - ひみつ@まったく自重しない - 2008/08/08(Fri) 23:59:46 [No.490]
Re: 二人、一緒に - ひみつ@まったく自重しない 7104byte - 2008/08/09(Sat) 00:11:09 [No.492]
七人の直枝理樹 - ひみつ 10112 byte - 2008/08/08(Fri) 23:55:38 [No.489]
兄として思うこと - ひみつ 7531 byte - 2008/08/08(Fri) 23:49:39 [No.488]
円舞曲 - ひみつ 5331 byte - 2008/08/08(Fri) 23:26:58 [No.487]
とある夜 2852byte - ひみつ@初 - 2008/08/08(Fri) 22:34:32 [No.486]
彼が居ないと - ひみつ 10233byte - 2008/08/08(Fri) 19:25:47 [No.485]
寂寥は熱情の常 - ひみつ 8656 byte - 2008/08/08(Fri) 16:09:14 [No.484]
ガチ魔法少女なつめりん - ひみつ 9211byte - 2008/08/08(Fri) 02:12:04 [No.483]
ふぁみりー - ひみつ 10236 byte - 2008/08/08(Fri) 01:04:45 [No.482]
家族 - ひみつ@いまさら 7162 byte - 2008/08/10(Sun) 17:02:56 [No.500]
『そして誰もいなくなった』starringエクスタシー三人... - ひみつ 9912 byte - 2008/08/07(Thu) 23:50:04 [No.481]
宮沢謙吾の休日 - ひみつ 9673 byte - 2008/08/07(Thu) 23:00:22 [No.480]
ログとか次回とか - 主催 - 2008/08/11(Mon) 00:01:38 [No.501]


野郎どものクリスマス (No.491 への返信) - 雪蛙@5010byte 暇だったのでちょっと加筆・修正してみた

「「「かんぱーーーいっっ」」」

 カチンとグラスが打ち鳴らされ黄金色をした『麦茶』が嚥下される。毎年恒例となってるクリスマス会は三つのジョッキグラスの乾杯で幕を開いた。
 ここは学生寮の恭介の部屋。ルームメイトは聖なる今夜すでに彼女と外出済み。向こう三軒両隣も右に同じである。本来風紀を取り締まらなければならない寮長も女子寮長と翌日までしっぽりの予定だという。
 つまりはここにいるのはいわゆる負け犬(アンダードック)な連中である。

「ぷはーっ、この一杯のために生きてる気がするぜ」
「あぁ、全くだ」

 最初の一杯めを一息で空けた恭介と真人は早速と二杯目を注ぎだす。謙吾は半分ほど飲んではいるが飲み方自体はペースが遅い。机に所狭しと並べられたつまみを適当につまんでいる。

「しかし去年はえらく狭かったのにどうして。三人じゃあ少しばかり余裕があるなぁ」
「当然だろう。去年は理樹と鈴もいたのだからな」

 「麦茶」を片手にポテトチップスをバリバリと貪る真人。毎年この日は幼馴染五人が集まって食って飲んで騒いでをやらかすのだが今年は理樹と鈴が不在だった。
 人は日々成長していき人間関係もまた変化していく。やがて五人で集まることはままならなくなるだろうと誰もが思っていた。
まして今日はクリスマス。恭介や謙吾が未だに参加しているのは不可思議極まりない。

「初の不参加は理樹と鈴か。一気に二人も出てくるとは意外だったな」

 恭介のアンニュイな雰囲気は見る女性がいれば「ほぉ」と顔を赤らめそうだ。遠い目をしながら吐いたため息は重々しい。

「全く。ずっと願ってきたことなのに、いざそうなると寂しい気がするんだからな。ままならないもんだぜ」
「それには同意だ」
「あぁ。理樹なんてずっと俺の筋肉で守っていくもんだと思ってたのによぉ」

 当の二人は全く知らないことだが、三人で「その手」の話題が出たとき常々理樹と鈴が付き合うことを願っていたのだ。
 二人の願いによって全てが好転して終えた永遠の一学期。それから二人の関係は急速に変化していった。特に鈴の理樹に対するアプローチぶりは目を見張るものがある。元が消極的な性格なので見る者にしか分からない変化だったが。

♪♪〜♪

 と、そこで恭介の携帯がメールを受信する。手についた油をぞんざいに舐め取り画面を開く。送り主はまさに話題に上っていた鈴からだ。

「おっ、噂をすれば、か。……まぁ、大体内容の予想はつくが」

 横から真人と謙吾も覗きこむ。



『馬鹿兄貴、理樹の居場所教えろ』



 メールを開いた恭介は予想通りの文面に天井を仰いだ。
 真人はただただ(なぜか)アルコール臭のするため息を吐いた。
 謙吾は何も見なかったことにしてサキイカを咥えた。

 仕方なく恭介は「頼まれた」通りの返事を出す。

『知らん。自分で探せ』

 送信ボタンを押すと鈴からのメール拒否の設定をしておく。とりあえず今日一日はほっておくことにしたらしい。

♪♪〜♪

 と、続けざまにメールを受信。まさかと思って開いてみれば送り主は「神北小毬」。

「……」

 もちろんいい予感などかけらもしなかったが礼儀としてメールを読む。



『恭介さん、理樹くんがどこにいるか知りませんか?」



『俺には分からん。すまんが自分で探してくれ』

 鈴のときに比べてややソフトな文章で返信しておく。やや迷いつつもやはりメール拒否の設定。ついでにマナーモードにしておく。

ブブブブブ

 携帯が物言わず手の中で振動した。気がつかない振りをしたかったが相手がクドリャフカ(リトルバスターズのメンバー)からでは見ないわけにはいかない。恭介はどこまでも律儀だった。



『恭介さん、リキがどこにいるか知らないでしょうか。あとメリ〜クリスマスです」



『メリークリスマス、能美』

 返信を返した自分を心から褒めつつメール拒否設定。

ブブブブブ

 もちろんこの程度でめげないのが今のリトルバスターズの面々である。続いて葉留佳からメールが届く。どうやら今夜はそうゆう日になるらしい。



『お姉ちゃんのところにもいない理樹くんはさてどこにいるのですかネ?』



 真っ先に佳奈多の部屋に行ったらしい。素晴らしいほどの姉妹愛である。本当に和解したのだろうか、この二人は。

『俺は何も聞かされていないので答えることはできん。自分で探せ』

 もういい加減うんざりなので電源を切ろうかと恭介は思い悩む。が、そんな逡巡が命取りだ。

ビィーンビィーン

 今度は直接電話がかかる。相手は美魚だ。



『夜分にすいません。メールを送りたかったのですが、その、まだ不慣れでして』



 この場合問答無用に切ることができない分性質が悪い。さすがの恭介もちょっと涙目だ。

「すまん、西園。俺からは何も言うことはできない」
『……そうですか。分かりました』

プッ、ツーツーツー

 美魚のほうから電話を切ってもらえたことに恭介は心から安堵した。ようやく携帯の電源を落とすことができ恭介は(なぜか)瓶に入った「麦茶」をコップに注ぐ。

「最初からこうしておけばよかった」

 非常に疲れた様子の恭介に真人と謙吾は両脇から肩を叩いた。
 と、今度は謙吾の携帯にメールが届く。送り主は来ヶ谷。
 謙吾が恨めしげに恭介を見る。恭介は目で「すまん」と謝罪する。
 先ほどの恭介以上に気の進まない顔つきでディスプレイを見た謙吾の顔色が変わる。(なぜか)赤ら顔から蒼白へ。音が聞こえそうなほどに血の気が引いていく。
 先ほどとは違う、とてつもなく同情めいた目で恭介を見た謙吾は黙って文面を見せる。



『恭介氏に伝えておけ。血の雨降る聖夜を楽しみにしておけ、と』



「……」
「唐突だが俺は明日から旅に出る」
「いや、お前もう就職決まったろ」

 酔うほどになぜか突込みが冴える真人。注ぐのもめんどくさいらしく瓶をラッパ飲みにしている。なぜ「麦茶」で酔っているのかは諸般の事情により伏せておく。

 永遠の一学期を終えた迎えた日常。静かなる恋人たちの夜を巡るバトルの一端を垣間見てただただ重い雰囲気に見舞われるのだった。


[No.504] 2008/08/14(Thu) 02:19:01

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