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この両手に、この両手に溢れ返るくらいの気持ちがあたしをいっぱいにする。 この気持ちが、凍えてしまいそうな闇を照らしてくれますように…… 『変心の実』 タン、タン、タン 小気味の良い音が鳴る。鳴らしたのは自分で、自分でこんなことを思うのもなんだと思うけど、実際他の人が聴いても小気味は良かったんじゃないかしら? 頭をぶち抜かれて粛々と消える影。 まだ始まってもいないゲームと、始まる前から適用されるルール。 「馬鹿の一つ覚えも良いところよね」 ため息を一つ付いて周りの状況を改めて確認する。何もない、ただ学校の誰もいない廊下の風景だけがそこにある。窓から入る月の灯りがあたしの他に誰もいないことを教えてくれた。 あたしにハッピーエンドはない。 分っていても悲しい事実。残された後、理樹君はあたしのことをいつまで覚えていてくれる? 返ってくる答えが分っていても抱いてしまう淡い期待。そう、答えは分りきっている。だって、これまでもそうだったんだから。 でも、前までとは決定的に違うことがある。淡々と過ごして、あたしの場所を守っていた前の時と、今自分が在る時。今も自分の中で確実に育っている気持ち、それは、あたしの中に育った小さな実。今も育ってる、少しずつ大きくなってる変心の実。 それまであたしの中で育ってきたどの実よりも、それは彩付いていて艶やかで、あたしを暖かくしてくれた。 「沙耶さん」 その一言一言が色々な彩を持ってあたしを包んでくれる。どん彩も理樹君から聴こえる声はきれいだ。そしてあたしの変心の実を彩付けてくれる。 理樹君が育ててくれたから、あたしはこのゲームを終わらせたいと思った。 あたしはあたしの場所があなたの中に欲しいと思った。 ハッピーエンドで終わって欲しいと、思った。 あたしの中で育ってる変心の実があなたの中にも育って欲しい。枯れて良いから、少しだけで良いから、残って欲しと思った。 あの時とは違う。闇雲に走っているわけじゃない。目的は一つ『ハッピーエンド』で、結果は私が望んでるコト。ただそれが、きっと彼を傷付ける。 それが心残り。 そしてそれがあたしの目的で望み。深く、深く彼の中に残って欲しい。あたしのことを忘れてしまってもいい。心の奥底に少しだけで良いからあたしの想いが残っていてさえくれれば……。あたしという人間が、あなたの心の中に少しでも場所をくれるなら、あたしが望む、あたしを待つバットエンドも、ハッピーエンドになるから。最後の最後はきっとハッピーエンドになるから。 だから理樹君。このゲームが終わる時に あたしの声があなたに聴こえますように。 このお話が終わった後も あたしの思いが、あなたに少しでも残りますように。 「理樹君、大好きだよ」 あたしの想いが…… [No.641] 2008/10/18(Sat) 00:57:20 |
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