第20回リトバス草SS大会 - 主催 - 2008/10/30(Thu) 20:57:32 [No.656] |
└ いしのいし - ひみつ・遅刻@EX分はない@4685 byte - 2008/11/02(Sun) 14:47:27 [No.675] |
└ いしのいし 修正版(クドのセリフの途切れなどを修正) - mas - 2008/11/03(Mon) 01:29:49 [No.680] |
└ MVPここまで - 主催 - 2008/11/01(Sat) 00:29:01 [No.669] |
└ ”初恋”を恋人に説明するとき - ひみつ@6566バイト EX佳奈多シナリオバレ - 2008/11/01(Sat) 00:26:11 [No.668] |
└ [削除] - - 2008/11/01(Sat) 00:13:33 [No.667] |
└ [削除] - - 2008/11/01(Sat) 00:08:59 [No.666] |
└ いしに布団を着せましょう - ひみつ@ 13.095byte EXバレなし - 2008/11/01(Sat) 00:01:38 [No.665] |
└ 路傍の。 - ひみつ@初@6498byte EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 23:56:34 [No.664] |
└ 約束 - ひみつ@20161 byte EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 23:26:00 [No.663] |
└ 石に立つ矢 - ひみつ@12553 byte ネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 20:28:57 [No.662] |
└ 重い石なのに柔らかい - ひみつ@5791 byte EX微ネタバレ 微エロ - 2008/10/31(Fri) 16:23:12 [No.661] |
└ 『重い石なのに柔らかい』解説 - ウルー - 2008/11/03(Mon) 00:51:50 [No.677] |
└ みんなの願い - ひみつ@4564byte 初めて EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 01:25:44 [No.660] |
└ 死体切開 - ひみつ@ 6546 byte EXネタバレなし スプラッタ・猟奇注意 - 2008/10/30(Thu) 23:52:21 [No.659] |
└ ともだち記念日 - ひみつ@14988byte - 2008/10/30(Thu) 23:40:37 [No.658] |
└ 10本目の煙草 - ひみつ@ 7033 byte EXネタばれ多分ない - 2008/10/30(Thu) 21:46:20 [No.657] |
└ MVPとか次回とか - 主催 - 2008/11/03(Mon) 00:52:33 [No.678] |
腑分け場、そこが俺の糧を得る場所。慣れた手つきで人を切り刻む、それが俺の毎日。 俺は普通朝のテレビは欠かさない。通勤途中の新聞も欠かさない。どこかで大きな事故があった、とか、どこかで大きな事件があった、とか。そういった情報は仕事量に直結するから前もって見ておくにこした事は無い。 そして昨日は大きな事故があった。ニュースによると、どこかの学校の修学旅行のバスが崖下に転落したらしい。死者、多数。どうやらしばらくは忙し日々を送る羽目になりそうだ。 「ああ、めんどうくさい」 やがて辿り着いた仕事場。そこに用意されたモノ、爆発事故のせいか真っ黒なソレが仕事相手だ。最初の仕事相手は体格や体つきからして、きっと女だったモノ。いつもの通りにメスを使って皮膚と筋肉を切開。腑を外気に触れさせていく。 開いた中身は外と比べると格段に状態がいい。内蔵も損傷がほとんど無いし、肺も黒い灰がこびりついていない。 「アンタは現場から遠かったんだろ、ラッキーだったな嬢ちゃん」 これは会話と言うのか、独り言と言うのか。そんなどうでもいい考えが頭をよぎる。 「死因は肌の大部分を焼かれた事による酸素欠乏症ってとこか」 診断を下した所で所見を書き込み、初めて仕事相手の個人情報を見る。先入観に惑わされない為と、情を移さない為だ。写真の中でこっちを見てくるのは可愛らしい少女。 「神北小毬ちゃん、ね。葬式にはもう少しマシな姿で出られる。よかったな」 下らない独り言は止まらない。 次の仕事相手も真っ黒で、きっと生きている間は女の子と呼ばれていただろう。ただしさっきの子と違い、今度は足があり得ない方向に曲がっていた。骨折をしているのは一目で分かるが、それが生きているうちに折ったのか、死んだ後でどこかに叩きつけられて折ったのかの判断も仕事のうちだ。 「ったく、めんどくせぇ」 ブチブチと文句が口から漏れるが、まさか仕事を放棄する訳にもいかない。明日の朝メシが食えなくなってしまう。まずは手始めに足の方から診断する。さっきと同じように皮膚と筋肉を切開、骨折部位を露出させる。 「炎症あり、と。こりゃ死ぬ前に折れたな」 炎症はつまり腫れると言うことで、もちろん死人の骨を折っても生体反応ではない炎症は起こりにくい。厳密には死亡直後だったりした場合とかは僅かな炎症が見られたりするのだが、この子は結構派手に腫れている。死亡後に折れたとは考えにくい。 「落下から爆発まではタイムラグがあったらしいし、これはその時に折れたかな?」 その所見を書き込んで診断再開。メスを使ってお腹を開くと、中身は相当にグチャグチャ。大腸は4つ位に分裂して汚物が腹を汚しているし、小腸はあちらこちらが破裂してドロドロの何かが漏れ出ている。腎臓も片方が潰れ、心臓にも穴が空いている。テラテラと赤やら透明やらの体液が光を美しく反射させていた。 「ぅぇ」 とても見慣れた生理的に受け入れがたい光景に口から軽薄な声が漏れる。それでも体の中を切り刻んでいくと、灰が付着して真っ黒になった肺を見つける。他の臓器よりは比較的損傷は少なそうだが、しかしこれが死因だと長年付き合った仕事の勘が告げていた。念の為に大動脈も見てみるが、やはりくすんだ赤色をしている。 所見に『一酸化炭素中毒の可能性が濃厚。要血液検査』と書きこんで、サンプルとして大動脈の血液を抜き取って添える。 (まあ生きているうちに内臓がグチャグチャにならなかったのはある意味で幸せだったか? 腹の中はその後の爆発でやっちゃたんだろ。ったく、その所為でいちいち全部の内臓を見なくちゃいけないこっちの身にもなれっての) そして個人情報を開く。名前は西園美魚、穏やかそうな顔をして写真からでも落ち着いた雰囲気が伝わってくる。そして黒いソレに向かって一言だけ言葉を。 「御愁傷様」 今度の仕事相手は体格からして男だった。ただし先程の二人と同じように真っ黒なのはもちろん、肩とか腹に穴が開いているし、頭も割れている。 「ああ、めんどくせぇな、ほんと」 パッと見、どこが致命傷なのか全く分からない。外見からしてこれでは中を見ても分かるかどうか。 「うわぁ、中を見たくねぇなぁ」 メスを腹の中心に押し付けてやった。多少手が震えて歪な切れ方をするが、もちろん死体は文句を言わない。もしかしたら後で上から文句が出るかもしれないが。 そうして顔を出した内臓は想像以上にメタメタで、もう臓器の形をしていない。腹の中の肉はミキサーにでもかけられたのか。シェイクされた後に火であぶったのか。 「これで死因なんて分かるか、くそ! ロクな死に方してねぇなこのガキ。どんな死に方をしてもお前の勝手だが俺に迷惑をかけんなよ、チクショウ!」 死因が分からなければ後で言われる嫌味の量が増えるのに。顔を歪めながら、もしかしたら何か手がかりがあるのかと、レアのハンバーグを手で転がしていく。だが手の中の肉はただこねられていくだけだ。手がかりなんて全く見つからない。 「ああクソ、なら頭だ。せめて頭に死因があってくれよ!」 頭の皮膚を切開し、頭蓋をノコギリで削っていく。ギコギコと聞きなれた音と一緒に白い粉が舞う。一応マスクとゴーグルをしているとはいえ、思わず唇が歪む。 そして頭が外される。脳を守るべき液体がポタポタと溢れる中、脳みそは腹と比べてとても綺麗だった。 「くっそ、やっぱり傷は外側だけかよ! 死因は腹か、くそ、このクソガキ!」 嫌味はほぼ確定。さてどうしようかと腸が愉快な事になったコイツを睨みつけてやれば、対照的にほとんど壊れていない神経の塊が。 「は」 口から空気が漏れる。そうだ、もしかしたら頭の奥に何か腫瘍が出来ているかもしれない。それがタイミングよく破裂して、それが死因になったかも知れない。 「ああ、可能性はゼロじゃないからな」 どうでもいい事を口にしながら、柔らかい肉に手を触れさせる。 「さて」 外見は一応検査に見えるように、けれども死体相手の仕事な以上は多少の損壊は目をつむって貰える。結構な付き合いの長い仕事だからこそ、その線引きはほぼ分かっているつもりだ。 グチャグチャと脳みそを潰していく。神経が完全に死んでいるのでピクピクと解剖されたカエルのように痙攣する事はないが、それでも快感な事には違いない。人の体と命を弄ぶ、背徳感と爽快感。この調子だといつか生身の人間にも手を出すかもしれない自分が怖いような誇らしいような。 「と、仕事仕事」 壊すことに夢中になりかけた所で我に返る。今やっているのはあくまで検査。脳の中に死因がないかどうかを判断するだけだ。クチャクチャと音を変えた脳を探り続ける。 「はいはい、脳にそれらしきものは見当たらない、と」 それなりに気が済んだ所で検査終了。おからのようになった脳を頭の中にしまい直して頭蓋を接合。パッと見で頭の中がどうなっているのか、そんなのはもちろん分からない。所見には『死体の損壊が激し過ぎる為に死因の特定は困難』と書きこんでおく。 「さて、このスプラッタ君の名前は、と」 棗恭介。写真には強さと美しさを兼ね揃えたような男が。まあその男の顔は今、真っ黒焦げの炭素の塊になっているけど。視線をそっちに動かしてみれば、そこにはやはり黒い顔。 「ざまぁみろ」 餞別にせせら笑いを送ってやった。 三人が終った所で目を動かす。長年務めてきた職場、そこいっぱいにある死体死体死体。 「く、くく。めんどうくせぇなぁ」 次の死体はどれにするか。この全身が筋肉につつまれた男にするか、そこの髪が長くて比較的状態のいい美女にするか。首が270度曲がっている亜麻色の髪をした小さな女も捨てがたい。 「くくく、くく」 唇が歪む。ああ、なんて可哀想な子供たち。ちゃんと出来る限り死因を特定してあげるからね。 「ああ、ホントめんどうくせぇ」 メスをしっかりと握り直して近場の死体に向かう。めんどくせぇと口の中で繰り返しながら。 [No.659] 2008/10/30(Thu) 23:52:21 |
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