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all 第20回リトバス草SS大会 - 主催 - 2008/10/30(Thu) 20:57:32 [No.656]
いしのいし - ひみつ・遅刻@EX分はない@4685 byte - 2008/11/02(Sun) 14:47:27 [No.675]
いしのいし 修正版(クドのセリフの途切れなどを修正) - mas - 2008/11/03(Mon) 01:29:49 [No.680]
MVPここまで - 主催 - 2008/11/01(Sat) 00:29:01 [No.669]
”初恋”を恋人に説明するとき - ひみつ@6566バイト EX佳奈多シナリオバレ - 2008/11/01(Sat) 00:26:11 [No.668]
[削除] - - 2008/11/01(Sat) 00:13:33 [No.667]
[削除] - - 2008/11/01(Sat) 00:08:59 [No.666]
いしに布団を着せましょう - ひみつ@ 13.095byte EXバレなし - 2008/11/01(Sat) 00:01:38 [No.665]
路傍の。 - ひみつ@初@6498byte EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 23:56:34 [No.664]
約束 - ひみつ@20161 byte EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 23:26:00 [No.663]
石に立つ矢 - ひみつ@12553 byte ネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 20:28:57 [No.662]
重い石なのに柔らかい - ひみつ@5791 byte EX微ネタバレ 微エロ - 2008/10/31(Fri) 16:23:12 [No.661]
『重い石なのに柔らかい』解説 - ウルー - 2008/11/03(Mon) 00:51:50 [No.677]
みんなの願い - ひみつ@4564byte 初めて EXネタバレなし - 2008/10/31(Fri) 01:25:44 [No.660]
死体切開 - ひみつ@ 6546 byte EXネタバレなし スプラッタ・猟奇注意 - 2008/10/30(Thu) 23:52:21 [No.659]
ともだち記念日 - ひみつ@14988byte - 2008/10/30(Thu) 23:40:37 [No.658]
10本目の煙草 - ひみつ@ 7033 byte EXネタばれ多分ない - 2008/10/30(Thu) 21:46:20 [No.657]
MVPとか次回とか - 主催 - 2008/11/03(Mon) 00:52:33 [No.678]


”初恋”を恋人に説明するとき (No.656 への返信) - ひみつ@6566バイト EX佳奈多シナリオバレ

 佳奈多さんを結婚式の会場から連れ出して、葉留佳さんと二木さん、それと僕の3人で共同生活を始めてから2ヵ月後の、ことだった。
「僕の、初恋について話をしたこと、なかったよね――」
 落ち着いて、出来るだけ落ち着いた声で僕は話し始めた。 今、この家に暮らしている僕と二木さんと葉留佳さんの3人が同じ部屋に集まっていた。二木さんと、葉留佳さんの二人は神妙な面持ちで、僕の話を聞いていた。
「あれはね、僕がリトルバスターズに入る前のことだったんだ――」


『”初恋”を恋人に説明するとき』



「はぁ……」
 下駄箱にいれられたゴミをすべて捨て、僕はため息をついた。……いじめが始まったのは、僕がナルコレプシーになってからだ。


 授業中、寝ていてもお咎めなし――。


 このことが、先生のひいきにみんなに映っているんだと思う。僕も実際にこんな病気になっていなかったら、確かに僕も同じことを思うと思う。授業中、他の生徒が寝ていると怒られているのに、僕だけはおとがめがない。それどころか大丈夫か、と心配されていた。本格化したのはこの前のマラソン大会。みんなが嫌々の中、走っていたけど、僕は大会開始直後、ナルコレプシーで寝てしまったため、参加しなくていいことになった。それまでは少しはいた友達もこの出来事で完全にいなくなり、そのせいで、僕は、今クラスメイトから孤立していた。みんなが、僕を無視する。僕が困っていても助けようともしない。話しかけても無視され続けていた。
 それはしょうがないことかもしれないけれど、でもだからといって――
「これは、ないよなぁ」
 もう一度、下駄箱の中から取り出したゴミをみる。クラスメイトの誰がやっているかしらないが、よくもまぁ、狭い下駄箱の中にこれだけのゴミを入れられたものだと感心する。
「帰ろ…」
 そういいながら、下駄箱から靴を取り出した。
「……いたっ…」
 靴を履いたとたん、足に針が刺さる感覚があった。僕はおどろいて、そのまま転んでしまった。 
「あ〜あ…」
 足をみると、皮がめくれていた。範囲は小さいとはいえ、すごく痛い。くつをぬぐと、画鋲がテープで固定されていた、どうやらさっきは見逃していたらしい。
「ここまで、やるかぁ…」
 思わず、僕はそうつぶやいた。でも、とりあえず、
「保健室にいって消毒してもらおう……」
 僕は深い深いため息をつきながら、保健室に向かった。



「失礼します」
 そういって、保健室のドアをあける。返る声はない。先生、いないのか…、そんなことを思いながら、部屋の中に入っていった。
「……」
 うわ、と声をあげそうになるのを飲み込んだ。自分の隣に座っている、保健委員の天川さんがいた。先生からいいつけられたのか、何か、書類の整理をしていた。
「あ……」
 相手も僕に気づいたらしい。なるべく、目をあわさないようにしながら、間をぬけようとした、そのときだった。
「怪我……しているんですか?」
 その言葉に、驚く。てっきり、無視されると思っていたからだ。
「うん」
 僕は、驚きながらもそれに、うなづいた。


 20分後、手馴れた手つきで処理を終える。
「はい、これで大丈夫です」
 にっこり、とした表情で天川さんはいった。
「あ…ありがと…でもどうして」
 助けてくれたの、という言葉を飲み込んだ。せっかく助けてくれたのに、こんなことを聞くのは失礼だと思ったからだ。でも相手にはつたわったようで、当然のように笑顔でこういった。
「だって、怪我している人を治療するのは、保健委員として、当然じゃないですか」
 そういう天川さんの笑顔は本当にいい笑顔だった。



「それから、彼女はいつも無視していることを謝った。僕に味方したら、いじめられそうで、他のクラスメイトと同じように僕の事を無視していたみたい――本当になんでもないような出来事なんだけど、それ以来、彼女のことをよくみることが多くなったと思うし、気にかけるようになったと思う。他のクラスメイトは無視していたせいで、この出来事がすごく鮮明にのこって――、今思えば、恋していたようなきがする」
「……理樹くんにも、いろいろあったんですネ」
 そういって葉留佳さんは、僕の話にうなづく。葉留佳さんはとりあえず、おいておいて――おいておいていいわけはもちろんないんだけど――問題は二木さんだ。僕は恐る恐る、二木さんのほうを見た。
「……#」
 怒っている、すごく怒っていた。話を始めたときよりも怒っているように思えるのは絶対気のせいではないだろう。こういってはなんだけど、二木さん、すごくわかりやすい人だし。
(やっぱり無理があったんじゃないですかネ?……ってか、初恋のことを現在の恋人に話すのはやっぱり駄目だと思いますヨ)
 葉留佳さんが耳元でささやく。うん、しゃべっている最中もおもったけど、現在の状況を正当化するには、やっぱり無理があったとおもう。あとね、初恋の人のことを話したくって話したわけじゃないんだ。初恋のことを今の恋人に話してもいいことなんて一つもない、そんなことはわかっている。だけどこれ以外に方法が思いつかなかったんだ。
「で?直枝理樹」
 僕の呼び方が、直枝から直枝理樹、になっていた。これはほんとに怒っている、うん、怒ってる。
「……今の話とあなたの今の状況とどのような関係があるのか、しっかりと説明してもらいましょうか」
 怒気を多分にはらんだ声で二木さんがいった。許す気はさらさらないみたいだ。僕はいまさらながら観念する。もっと早く観念してひたすら土下座しておけばよかったかな、といまさらながら思った。
「だからそれ以来、看病する女の子がいいと思えるようになって」
「……で?」
「女の医師がいいとおもえるようになって」
「……で?」
「昨日、バイト代で女医さんの衣装を買ってきたのに、二木さんがきてなかったから」
「葉留佳が着て、部屋にはいってきたから、つい襲ったと?#」
「み、みわけがつかなかったんだよ、直枝、って僕のことを呼んでいたし」
 僕と葉留佳さんの今の状況を説明すると、僕は裸で葉留佳さんはピンクの白衣をはだけている感じだった。それだけならまだしも僕は葉留佳さんとつながっていたりした(←理樹くん的婉曲表現)。つながったときになって初めて葉留佳さんだってことに気づいて、青ざめていたところを二木さんにみつかったのである。
「……いや、しかし、まさか、本当に襲われるとはおもいませんでしたヨ」
 葉留佳さんがのんきに言う。興奮して葉留佳さんにだいぶ酷いことをしてしまったのにこんなことを言える葉留佳さんは本当にすごいとおもった。
「しかし理樹くん、お姉ちゃんとこんなことしているんですか、お姉ちゃんも理樹くんもやりますね〜まさかココまでとはおもいませんでしたヨ」
 でも、お願いしますから黙っていてください、葉留佳さん。さっきまでのことを話せば話すほど、二木さんの怒りが増幅されそうです。 葉留佳さんを襲ってしまった僕にそういうこという資格はないんだろうけど、でも言わせてください、お願いします。
「……死んで、やるから」
 ポツリ、と佳奈多さんがいう。
「死んでやるから、死んでやるから、死んでやるからぁ〜」
 目にたっぷりと涙をうかべて、二木さんが言った。ああ、こういう二木さんもかわいいなぁ、とぼんやりと思う。…ってそんなこと思っている場合じゃなくてっ。
「ちょ、ちょっと落ち着いて、二木さん」
「お姉ちゃんがしんだら、私が理樹くんを独り占めですヨ?」
「〜〜っ、だったら、直枝を殺して私も死ぬわっ」
「ちょ、ちょっと落ち着いて二木さんっ、くび、首絞めようとしないで、ほんと、やばいっ」
「うわぁぁぁぁん」

 二木さんと葉留佳さんと、共同生活を始めて2ヶ月。
 こんなんで残り4ヶ月ちゃんとやっていけるのかな、と僕はおもった。
「何、他人事みたいにおもっているの、直枝ぇぇぇぇっ」



 ちなみにこの2ヵ月後。3人が同じ布団で朝を迎えたとか、迎えていなかったとか。



 おわれ


[No.668] 2008/11/01(Sat) 00:26:11

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